矯正 お悩み

すきっ歯治療は歯科矯正? 原因ごとに合った治療法の見極めが大切

22.09.19

歯科矯正といえば、歯並びがガタガタの状態を綺麗に並べるイメージがあると思いますが、歯並びのお悩みの中には、歯の隙間が目立って気になるという方のご相談も多いです。ニッコリ笑顔をしたくても、「隙間が目だってしまって上手く笑えない」という方もいるでしょう。
単純に「隙間を埋めたら良いのでは?」と考え、歯に被せもので調整する治療を受ける方も多いと思いますが、隙間ができてしまった根本的な原因が分からないまま治療を受けてしまうと、すぐに後戻りしたり不具合を起こすということになりかねません。
そこで今回は、すきっ歯の原因にスポットを当てて、歯科矯正での治療をおこなう場合の方法なども併せてご紹介します。原因をしっかり見極めて、最適な治療に繋げていきましょう!

骨格が関係する不正歯列


咬み合わせが深い「過蓋咬合」(過蓋咬合)不正歯列の場合、下顎の前歯が上の歯の裏側の押してしまい、すきっ歯になってしまうことがあります。過度の力が常に上顎前歯部にかかっていることで、前歯がダメージを受けて動揺するといった不具合につながることもあり注意が必要です。

〇治療法は?

下顎前歯が上顎前歯を強く押し上げてしまうため、隙間を埋めるために上顎の前歯を後方へ下げたくても下げることができないので、歯の隙間を閉じるだけの治療はできません。矯正装置を使って過蓋咬合を治す歯科矯正を行いつつ、気になる上顎前歯部の隙間も無くなっていくというような流れになります。
上顎前歯の隙間を埋めるだけのセラミック矯正やラミネートベニアなどの審美治療では、隙間を失くすことはできても、日々慢性的に負荷がかかり続けていれば、装置が割れたり外れたりといった不具合を起こす可能性も高いです。過蓋咬合の場合は咬み合わせも重視した矯正治療を行うことをお勧めします。

舌を前に出す癖が原因

一部分の隙間というよりも、上下の前歯部全体的に隙間があるような場合んいは、舌を前に出して歯を押してしまう癖「舌突出癖」(ぜつとっしゅつへき)が原因かもしれません。
本来歯並びは、舌と唇の正常な位置と筋力バランスによって押されることで正しい位置に整えられるようになっていますが、舌を前に出す癖があると、前歯の裏側に過度な力がかかってしまい、前方へ歯が倒れてしまい、隙間ができてしまいます。

〇治療法は?

舌の突出癖がある場合は、矯正治療で歯並びを整えても、再び舌に押されて後戻りしてしまう可能性が高いです。そこで、舌の癖を治すことも必要となります。
また、軽度の隙間の場合は、舌突出癖を治すだけで、自然な口唇の力で歯並びが整い、矯正治療も必要とせずに治すことができるケースもあります。

①口腔筋機能療法(MFT)を行います
舌の癖を治すには、MFTという筋機能のトレーニングが効果的です。本来あるべき、舌の筋力を付け、お口周辺の筋肉を鍛えることで、歯列弓(顎の骨)に歯があるべき場所に舌と口唇で誘導されて歯並びも整うという仕組みです。
MFTはどの歯科医院でも受けられるという訳ではありませんので、治療をご希望の際にはMFTトレーニングを導入しているかどうか事前に確認しておきましょう。

②舌突出癖治療後の歯列矯正
舌で押す癖が治ってもまだ隙間が気になるという場合には、あらためて歯列矯正を行います。すきっ歯の場合、歯を並べることができるだけのスペースはあるので、奥歯が正しい位置に噛めている場合には、前歯だけの部分矯正で済むケースもあります。

歯の大きさが標準よりも小さい

単純なことなのですが、歯並びは上下左右に同じ種類の歯が生えており、数と大きさのバランスが良いことが綺麗な歯並びの条件の一つです。特に上下前歯12本(糸切り歯までの6本の上下)の比率が一定であることが、笑顔の時に言える範囲でもあり、歯並びの印象を決める部分でもあります。
前歯では通常の大きさよりも小さく形成される「矮小歯」(わいしょうし)という症状があり、上顎側切歯(中央から2番目の前歯)に起こることがく、その歯が生えることですきっ歯の原因になってしまうことがあります。

〇治療法は?

矮小歯の治療は、大きくわけて2つあります。
1つは、小さい歯を標準サイズに修復する「補綴」という治療で、もう1つは、矯正治療で隙間を埋める方法です。矮小歯の大きさによってどちらの治療が適しているかなど、歯科医師と相談して治療方針を決めていきます。

①補綴
・ラミネートベニア
付け爪をするように、薄い人工歯を歯の表面に貼り付けて隙間が無いように修復します。
・クラウン
人工歯を小さな歯の上に被せて、標準の歯の大きさに修復して隙間を失くします

②矯正治療
矮小歯の大きさが極端に小さくない場合、下顎前歯を0.5mm以内で削り上下の大きさのバランスを合わせることができるのであれば、矯正治療で隙間を埋めることができます。

歯が生まれつき少ない・多い

歯の数が生まれつき少ない「先天性欠損歯」(せんてんせいけっそんし)があると、歯が入るべき部分に歯が足りないので隙間ができてしまうことが考えられます。また、歯が生まれつき多い「過剰歯」が歯ぐきの中に埋伏している場合、その歯を避けて歯が生えることですきっ歯になってしまうことがあります。

〇治療法は?

先天性欠損が原因のすきっ歯は、どの歯が欠損しているかによって、矯正治療でできるのか、修復装置(ブリッジ、入れ歯、インプラントなど)治療方法が変わります。過剰歯の場合は、抜歯後矯正治療を行うか否かとなります。どちらの場合も、まずは歯科医師に治療方針を相談しましょう

上唇小帯が強い場合

上顎と歯ぐきをつなぐ部分にある「上唇小帯」(じょうしんしょうたい)が歯と歯の間に入り込むほど強く引っ張っている場合、前歯中央部に隙間ができることがあります。

〇治療法は?

まず「上唇小帯切除術」という外科手術で、筋を一部切除し、引っ張る力を弱めます。原因を取り除いた後、矯正治療で隙間を閉じる治療を行います

まとめ

すきっ歯になるには、さまざまな原因があります。原因に合わせた治療法を行わないと治療が上手くいかなかったり、一時的に改善しても不具合を起こしてしまうかもしれません。どのような治療法が合っているのか、歯科治療や矯正治療が必要なのかも含め、気になる方はまず歯科医院で相談されてみてくださいね

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