マイクロスコープ

マイクロスコープとは

マイクロスコープとは、「拡大顕微鏡」のことを言います。医科ではよく使用されるマイクロスコープですが、歯科用マイクロスコープは医科用顕微鏡を歯科治療用にアレンジされたもので、肉眼では見にくい細やかな疾患を逃がすことなく、精密な治療を行うことにおいて欠かすことができません。

医科の手術用マイクロスコープの最大拡大倍率は7倍と言われていますが、歯科用マイクロスコープは最大20倍まで拡大することができるため、より精密で正確な治療を提供することが可能となります。

マイクロスコープの使用法

  • 根管治療

    歯科治療で最も大切なことは、「精密で正確な治療を行うこと」です。特に根の治療である根管治療は歯を残すことができるかどうかの分岐点となるため、緻密さ、そして正確さが問われる治療と言っても過言ではありません。
    そして根管治療の成功率を高めるのは「マイクロスコープ」の併用が大きなカギを握ります。

    根管治療とは、虫歯菌で汚染された根の中をきれいに消毒し、無菌状態にして歯の機能を存続させる治療のことを言い、歯科治療の中でも最も多い治療のひとつです。虫歯が神経まで到達すると激しい痛みを伴うため、根の中の治療が必要になります。

    根管治療は、レントゲンや局部的な写真と、歯科医師の手指の感覚で行われます。
    しかし根の中は非常に細く暗く、細菌を完全に取り除くのは至難の業です。少しでも細菌が残っていると根の中で細菌が増殖してしまいます。

    また根の形状は人により異なり、中には曲がっているものなど複雑な形状のものも少なくありません。

    根の治療がうまくいかなかった場合、再発の可能性が非常に高くなります。根の治療を繰り返すたび歯はどんどん削られて歯質が薄くなってしまいます。その結果、歯を残すことが難しくなり、最悪の場合、歯を残すことができなくなってしまいます。

    マイクロスコープには拡大および照射機能も付いているため、マイクロスコープを使うことで、暗く狭い根の中でも視野を確保しながら治療を行うことができます。その結果、細菌の取り残しの可能性が非常に低くなり、根管治療の成功率を高めることが可能となります。

    また先端が曲がっている、いくつかに枝分かれしているなど複雑な根の形の治療においても高い効果を発揮します。
    このように、マイクロスコープは精密な治療を必要とする根管治療において、欠かすことができないものなのです。

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  • 細かいクラック(ヒビ)の発見

    歯はとても丈夫なエナメル質に覆われていますが、長年使用することでクラックと呼ばれる小さなヒビが入ることがあります。このクラックが原因で歯の根っこまで割れてしまう「歯根破折」を起こすことがあります。しかし小さなクラックは肉眼で見つけることはほとんど不可能です。 マイクロスコープを使うことで、肉眼では見つけることができないクラックを見つけることで適切な治療や処置を行い、歯の破折を防ぐ可能性を高めます。

  • コンポジットレジンによる修復の向上性

    浅い虫歯の場合、虫歯部分を削り、コンポジットレジンという樹脂で修復をします。レジンによる修復は最も一般的な治療法ですが、大切なことは、歯を削り過ぎず、虫歯部分だけを確実に取り除くことです。
    その上できちんとレジンで修復することで、非常に精度の高い治療を提供することができます。

    マイクロスコープは、歯を必要以上に削り過ぎず、虫歯部分だけを取り除くことにおいて欠かすことができません。最も単純に思われがちな歯冠修復治療であるコンポジットレジンは、虫歯を取り残すことで二次カリエスという、虫歯の再発リスクを高める結果を導く可能性がある治療法です。

    単なる虫歯治療であっても、マイクロスコープを使うことで、その向上性を高めるものとなります。

  • この他にも歯周病治療や歯と補綴物の適合性など、治療の精度を飛躍的に高めるマイクロスコープは、精密な歯科治療に不可欠なものと言えるでしょう。