矯正 お悩み

子供の歯科矯正でマウスピースを使った方法は効果があるのか

22.09.30

子供の歯が永久歯に生え変わり始めると、歯並びの悪さが気になるという親御さんも多いと思います。
子供の歯科矯正と言えば、一昔前まで全ての歯が永久歯に生え変わってからワイヤーを付けるのが主流でした。しかし最近では乳歯の時期からできる歯科矯正を推奨する歯科医師も多く、その方法のひとつとして、マウスピースを用いた歯科矯正を選択される方も増えてきています。
そこで今回は「子供のマウスピース矯正」にスポットを当てて詳しく解説します。装置の種類や、いつから始められるのか、どんな歯並びが治るのかなどを含め、治療のメリット・デメリットなどもご紹介します。「子供の歯並びが気になる」「マウスピース矯正の効果が知りたい」という方はぜひ参考にご覧ください。

子供の歯科矯正は大人の歯科矯正と「目的」が異なります

歯が永久歯に生え変わり始めるのは6歳前後から始まり、14、15歳くらいまでに永久歯が生えそろいます。顎の成長は12歳前後まで行われ、顎の成長と共に、唇や頬、舌の筋肉なども手伝って歯列に歯を並べていきます。最近では食生活の欧米化なども影響してか、子供の顎の成長が弱い傾向にあり、スペース不足から歯並びが悪くなることが多いようです。
そこで、顎の成長完了を待つのではなく、乳歯の時期から顎の成長を促し、お口周辺の筋肉トレーニングできるように促す装置を用いて歯並びをできるだけ自然に整えられるように誘導する「小児矯正1期治療」を導入する歯科医院が増えてきています。

〇大人の歯科矯正との目的の違い

大人は顎の成長も完了した上での歯並びを矯正するため、審美性や噛み合わせを整えることを重視します。見た目を気にして始める方が多い傾向にありますが、歯並びが悪いと虫歯や歯周病になりやすかったり、うまく噛めずにっ消化不良や肥満にもつながる可能性がありますので健康のために始められる方もいます。
顎はそれ以上広げることができないことの方が多いので、歯を動かして並べるためにワイヤーやマウスピースによる圧力を利用した歯科矯正を行います。

〇小児歯科矯正は1期治療と2期治療に時期を分ける

小児矯正は、乳歯列期~顎の成長が完了するまでに行う治療を「1期治療」とし、顎の成長が完了して永久歯列になってから行う治療を「2期治療」としています。1期治療では、大人の矯正のように歯に圧力をかけて並べる動的治療を行うのではなく、顎の成長を促すことで自然に歯が歯列に整うように促す治療を行います。
治療方法としては、顎を成長させるために内側から顎に圧がかかるようにする拡大装置を用いたり、マウスピースを装着して顎への圧力がかかることを利用する方法が主流で、その他、骨格の変形などを矯正するため、頭から顎にかけて外部から力を加えるようにする装置を使う場合もあります。

小児矯正1期治療の種類

では、小児矯正1期治療でよく用いられる方法を装置ごとにご紹介します。治療開始時期やどのような歯並びに手式しているのか、メリット・デメリットなどを理解し、治療選択の際の参考にご覧ください。

〇床矯正

「拡大床装置」といわれる矯正装置です。上あごに装着し、子供の顎の成長を促し、正常な大きさへ成長するよう内側から圧力がかかるように継続して調整を行います。
適応時期としては顎の成長時期である6~12歳頃までが、顎の骨が柔らかく動かしやすいので用いられることが多いです。しかし床矯正は歯列に歯が並ぶためのスペース確保を目的としているため、歯が綺麗に並ぶとは限りません。

〇マウスピース矯正

マウスピースタイプの装置です。歯列全体を覆うので、顎の拡大と歯列を整えるための圧力療法に作用することができます。また、装置を口腔内に維持するために口を閉じるので、口周辺の筋力を鍛えることもできます。装置によって適応年齢が異なりますが、乳歯列期に顎の成長を促すことを目的としたものや、顎の成長とともに歯列も整えるための力がかかるものなど、お口の状況に合わせて装置を変更市ながら様子を見ることもあります。

〇チンキャップなどの外部装具

顎の歪みや過度な成長を起こしている場合には、それ以上の歪みや成長が起こらないようにするための装具を頭から顎にかけて装着する装置もあります。種類もいくつかありますが、取り扱える歯科医師が少ないことや装置が目立つので子供が嫌がる事も多く、なかなか治療が難しいというケースもあるでしょう。必要に応じて、専門性の高い医院では提案がある場合もあります。

小児矯正治療のメリット・デメリットは?


「どうせ永久歯になって矯正治療するなら、永久歯になるまで待つ」という考えもあるでしょう。確かに小児矯正1期治療を5歳ころから始め、2期治療まで罹ると考えると、治療期間がとても長く感じると思います。しかし、小児矯正を1期治療から始めることで、治療期間が短くなる可能性もあるので、一概にそうとも言えません。また、費用に関しても「治療期間が長いこと=費用がかかる」という訳ではないので、歯科医院ごとの治療計画や費用についてしっかり事前調査してから治療開始されることをお勧めします。

〇小児矯正1期から始めるメリット

小児矯正1期から始めるメリットは、顎の成長を促すことができることです。乳歯列の段階で、すでに顎の成長が弱いと予測できる場合、拡大装置やマウスピースを用いて顎の成長を促進すれば、自然と永久歯が歯列に沿って整ってくる可能性が増えます。特にマウスピース矯正は、お口周辺の筋肉の発達も促してくれるので、口唇や舌で歯列を整える手助けにもつながります。
また、万が一顎の成長が完了するころになっても歯並びが整わない場合は2期矯正(成人矯正)に移行しますが、1期矯正をしなかった場合よりも顎は成長しているので、2期矯正の時期になるまで待っていた場合よりも矯正期間は短く済む傾向にあります。

〇小児矯正1期治療のデメリット

小児矯正1期治療は早いお子さんで5歳ころから始められますが、装置は拡大装置もマウスピースでも可撤式(取り外し可能)なため、決められた時間装着することはお子さんの協力が必要となります。嫌がったり、勝手に外したりすることが多ければ、装置の破損や紛失につながりますし、思ったように顎の成長が進まないこともあるでしょう。
また、幼いころから矯正治療を開始することになるので、2期治療も必要となった場合、トータルの矯正機関としては長いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

まとめ

最近の子供たちは顎の成長が弱いことが多いため、通常の成長だけでは顎の大きさが足りないことが多いようです。矯正歯科も永久歯になるのを待つのではなく、乳歯の時点で顎の大きさや形状、お口周辺の筋肉の発達を診て、永久歯が正しい位置に並びきれないことが予測されるお子さんには「小児矯正」からスタートすることを勧める歯科医師が増えています。装置の中ではマウスピース矯正が注目されており、顎の成長促進だけでなく、お口周辺の筋肉トレーニングにも有効的ということから、導入している医院も増えています。マウスピースにもいくつか種類があるので、装置の特徴や治療費など、医院のカウンセリングを受診して確認されることをオススメします。

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