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矯正治療成功のカギ! 矯正後に保定期間が必要な理由とは
21.03.20
矯正治療は「歯並びが整ったら終わり」ではありません。
実は矯正装置を外してからのメンテナンスがとても大切で、歯並びが後戻りしないように『保定期間』に入ります。
矯正治療を受けるにあたり、保定期間についてぜひ知っていただきたいと思い、今回詳しくご紹介することに致しました。
装置の種類や期間、トラブルの可能性など気になる方はぜひ参考にご覧ください。
矯正治療の「保定期間」ってなに?
矯正治療の保定期間とは、せっかく綺麗に並んだ歯が動いてしまわないように安定させるための期間のことです。
「歯が並んだのだからもういいのでは?」と思って保定期間をサボってしまうと歯並びが後戻りして乱れてしまい、再治療になってしまうこともありますので侮れません。
歯を動かすための装置が終わったあとは、かかりつけの医院の指示のもと、保定装置を適切に装着しましょう。
- なぜ並んだ歯が「後戻り」をするのか
- 歯並びが整ったら保定装置を装着
- 固定式保定
- 可撤式保定装置
- マウスピースタイプ
- 固定式はいつまで装着するのか
- 壊れた装置で口腔内を傷つける
- 虫歯や歯周病の原因になる
- 活舌が悪くなることがある
矯正治療では歯に動かしたい方向への圧力をかけることで歯を動かすだけでなく、歯が入っている穴の形や向きを徐々に変える必要があります。
ですから1ヶ月ごとに数ミリ単位ですこしずつしか動かせません。
矯正装置を外してしばらくは歯を支えている骨や周辺組織が不安定ですので、歯がもっとあった場所へ戻ろうとする力が働き、歯並びが再度乱れてしまう事態が起こってしまうのです。
矯正方法にはさまざまな種類がありますが、どの矯正方法で歯を動かしても後戻りは起こります。
ですから必ず保定期間は必要です。
保定装置はほとんどが着脱できる装置で、床タイプ(歯科用プラスチックやワイヤー素材)のものやマウスピースなどを、1日に決められた時間装着します。
保定期間中も定期的に歯並びの状態や清掃状態などを歯科医院でチェックしながら、装置に不具合がないか確認や調整も行われます。
保定装置の種類
後戻りを予防する保定装置は、通称『リテーナー』とも呼ばれています。
いくつか種類があり、歯科医院によって取り扱うものに違いがあったり、行った矯正方法によっても異なることがあります。
保定装置は大きく分けて2つのタイプがあり、固定式のものと取り外せる(可撤式)が2種類あります。実際に使用する種類に関しては治療を受ける歯科医師に確認しましょう。
歯の裏に細いワイヤーを固定し現状から歯が動かないようにするもので、フィックスリテーナとも呼ばれる方法です。
固定は主に、動きやすい前歯の裏6本分もしくは第一大臼歯までの8本を連結します。
取り外す必要が無いので楽な面もありますが、ワイヤーと歯茎の境目に歯垢が溜まりやすくなるため、ワイヤー矯正をされていた方は引き続き歯磨きを気を付ける必要があります。
床と呼ばれるピンクの歯科用プラスチック素材とワイヤーで構成された装置で、上あごの裏(口蓋)に当て、ワイヤーが前歯の前を動かないようガードして後戻りを予防します。
取外しができる可撤式の装置で、レイリテーナーやベックリテーナーと呼ばれています。
メリットとしては取り外せるので清掃がしやすく衛生医的ですが、中には付けたままで不衛生の要因になってしまったり、外している時間が長く保定の意味をきたさない場合もあるので、自己管理がとても重要になります。
マウスピースタイプの保定装置もあります。
治療で用いるマウスピース動かしたい歯圧力がかかるように設計されますが、保定用は現状の歯並びを保つために指定された時間装着しておくだけのものです。
こちらも可撤式のため、食事や清掃時には取り外すことができるメリットがありますが、外す時間が長いと保定の意味が無くなってしまいます。
また、時間が経つと変色や傷によってくすんできたりしやすいデメリットもあります。
保定期間はどれくらい?
保定期間は2~3年が一般的です。これは元の歯並びの度合いにもよります。
とはいえ、どんな歯並びであっても、装置撤去後最初の1年間は歯並びを安定させるためにとても重要な保定期間です。
また、可撤式の保定装置を1日何時間入れておくかに関しては、歯科医師の方針や歯をどれだけ動かしたのかにもよりますが、最初の1年はほぼ1日中。
その後は就寝時のみや1日数時間といったように、装置を付けている時間を短くしていくことが多いようです。
固定式の場合は取り外しができないため、1日でいえば24時間つけたままです。
取り外す時期を設ける場合もあると思いますが、目安の2年を過ぎたとしても付けたままにしておくというパターンもあります。
要は、付けたままでも特に問題が無いのであれば、ずっと固定したままにできるというメリットがあるからです。
ただし、先ほども少し触れましたが、歯と歯茎の堺目とワイヤーの間に歯垢や歯石が沈着しやすく、歯茎のトラブルを起こしやすい要因になってしまうため、細かい歯磨きなどホームケアが重要になります。
保定装置で起こるトラブル
保定装置によって起こるトラブルはどんなものがあるでしょうか?
外して後戻りする場合だけでなく、装着していて起こる可能性のあるトラブルをご紹介します。
固定式のワイヤーを留めている接着部が外れてワイヤーが飛び出たり、可撤式のワイヤーの変形や破損した場合、口腔内の粘膜を傷つける原因になってしまうことがあります。すぐに歯科医院に連絡し、対処法を確認しましょう。
可撤式の装置であっても、毎日外して歯だけでなく装置もしっかり洗浄しましょう。
不衛生な状態では虫歯や歯周病になりやすく、また悪化しやすい要因になってしまいます。
床タイプの保定装置は歯茎や上あごを覆うため違和感を感じたり、舌が当たる感触の違いから発音がしにくくなることがあります。
ただしこれは、1週間程度で慣れて話しやすくなる方がほとんどなのであまり心配はいりません。
まとめ
保定期間は、歯を動かす矯正期間と同じくらい重要な期間です。
見た目が整うと「少し付けなくても大丈夫かな?」と思いがちですが、保定期間が終わった後も後戻りするケースも多いため、保定期間はしっかり取り組んでいただきたいと思います。
また、装置に関してトラブルが起こった場合は、できるだけ早く対処することが大切です。