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親知らず抜歯後のおすすめ食事術
24.02.26
親知らずは、生え方や隣接する他の歯への影響によって、抜くか・抜かないかを検討します。奥の方に生えていることや、正しい方向に生えることのほうが少ないため、抜くのがとても大掛かりになることもあります。そのため「治療後の生活に支障がないか」と、抜歯をためらう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、親知らずの抜歯と抜歯後の食事についてお話しします。抜歯後の食事の重要性や、食事の際の注意点、おすすめの食事術などを詳しく解説したいと思います。
抜歯後の食事の重要性
親知らずの抜歯後は、出血や傷口が気になって「食事を摂ることがとても不安になる」と言う方が多いかもしれません。ですが、まずは傷口回復のためにも、バランスの良い食事は必要不可欠です。傷口の回復に必要な栄養素の摂取を意識してみましょう。
抜歯後の食事が回復に与える影響
1:栄養摂取の必要性
抜歯後の傷口が気になり、何を食べたら良いのか分からず食べられるものが限られてくると、栄養が偏ってしまいます。早く傷口を回復させるためにも、まずは健康第一!バランスの良い栄養摂取を意識した食事を心がけましょう。
2:食事が傷口の治癒に与える影響
ビタミンCや亜鉛、プロテインなどの栄養素は傷口の回復に必要な栄養素です。抜歯後すぐは「食べやすいもの」を食べることになってしまいがちですが、傷口を少しでも早く回復するためにも、傷口の回復に良い影響を及ぼしてくれる食事を選択しましょう。
抜歯後の痛みや腫れを軽減する食事
1:抜歯後すぐ
抜歯後数日間は、抜歯した傷口を刺激しないよう、柔らかい食事を摂るようにしましょう。主食はおかゆやうどん、栄養を考えての副菜は、野菜スープやポタージュスープ、クリームシチューなどがおすすめです。豆腐やヨーグルト、プリンなども負担なく召し上がっていただけると思います。
2:抜歯後1週間以降
抜歯後1週間が経過したら、徐々に通常の食事に戻しても大丈夫です。ただ、しばらく流動食のような食事が続いていることも予測されます。できるだけ消化が良く栄養価の高い食品を選びながら、刺激の強くないものを意識して食べることをおすすめします。魚や野菜などを柔らかく煮たり、食物繊維やビタミン類を含む穀物や果物を取り入れていきましょう。
3:腫れを和らげる方法
腫れを和らげる効果を期待するならば、抗炎症作用のある食品を摂取してみてください。ビタミンE、オメガ3脂肪酸など含む商品を意識してみましょう。抗酸化作用のあるブルーベリーなどもおすすめです。食事で摂取することが難しい場合には、サプリメントや漢方薬を活用することも方法のひとつです。使用の際は、担当歯科医師や薬剤師と相談の上、用法・容量を守って摂取しましょう。
抜歯後の腫れは、傷が治るために起こる一時的なものですので、順調であれば1週間程度で徐々に引いてきます。腫れがなかなか引かないのであれば、傷口が治ってきていない証拠です。「腫れがなかなか引かない」「腫れがひどくなった」など、症状が悪化する場合は抜歯を受けた歯科医院へ早めにご相談ください。
抜歯後の食事の注意点
親知らず抜歯後、栄養のあるものを食べた方が良いと分かってはいても、痛みや腫れ、食べづらさなどから、「何をどう食べたら良いのかが分からない」という方も多いと思います。そこで、抜歯後の食事の注意点をご紹介します。
なぜ抜歯後は食事に注意しなければならないのか
抜歯後は出血や腫れが起こります。そのため痛みも伴うことが予測されます。1日も早く傷を回復させるためには
●傷が治りやすい環境にすること
●傷をできるだけ刺激しないようにすることがポイントです。
固いものや冷たいものを控え、傷口に負担が少なく済むようにすることはもちろんですが、傷口の治りを促進する食事を、代替品で賄うことも必要です。
固い食べ物が与えるリスクとは?
硬いものを抜歯した部位で噛んでしまうと、塞がりかけていた傷口を刺激してしまい、再度出血を起こしてしまうこともあります。治りが遅いと、親知らずの抜歯後に治療を控えている場合、なかなか進めることができない場合もあります。傷口が治るまでは、栄養を摂りつつ代替できる食事を心がけましょう。
冷たい飲み物の注意点
歯が痛い時など「冷やすと痛みが軽減する」といった経験から、親知らずの抜歯後冷やす方がいますが、それは間違いです。冷やすことで炎症を悪化させてしまう可能性があります。また、血行障害が起こって組織が硬結し、かえって治りが遅くなってしまいます。治療期間は暖かい食べ物がおすすめです。熱すぎるものも火傷の危険性などあるため注意しましょう。
その他注意が必要な食材
1:タバコやアルコール
タバコやアルコールといった嗜好品は血流を抑制する作用があるため、傷口の回復を遅らせてしまいます。治療期間中は控えるようにしましょう
2:糖分
砂糖は口腔内細菌の増殖を促し、口腔内環境を悪くさせてしまう可能性があります。抜歯後は傷口が細菌感染しないようにするため、砂糖は控え目にすることが望ましいでしょう。
親知らず抜歯後におすすめの食事
親知らず抜歯後に食べて欲しい、柔らかくて栄養価の高い食品や、加工品として市販されているソフトフードの選択肢をご紹介します。
栄養価が高く柔らかい食品
1:オートミール
オートミールは栄養価が高く、血糖値やコレステロールの上昇を抑え、糖尿病や動脈硬化のリスクを低減させる効果があるとされています。そのままグラノーラとして食べられることも多い食材ですが、水分を含むと柔らかくなり、おやゆやリゾットなど和洋中さまざまなアレンジができる食材です。
2:うどん
炭水化物を中心に、出汁の栄養成分としてビタミンやミネラル、具材をプラスすることでさらに栄養素をバランスよく摂取することができます。温かいうどんで、血行促進、疲労回復も期待できます。
3:卵
食物繊維とビタミンC以外の栄養素を全て含む、良質なタンパク源です。さまざまな食材と相性がよく活用できます。茶碗蒸しにしたりと柔らかく加工して食べることができます。
4:バナナ
腹持ちも良く、栄養バランスも良い果物です。皮を剥くだけで手軽に美味しく食べられますし、加工もしやすいので、焼いたり混ぜたりと、ヨーグルトやオートミールとも相性が良いです。
5:長いも
便秘予防やむくみ解消、高血圧予防にも良いとされる食材です。すりおろして生で食べることもできますし、お好み焼きと混ぜるなど加工して食べることもできます。
ソフトフード(加工食品・代替品)の選択肢
1:おかゆ
お米には澱粉、タンパク質、脂肪、ビタミンB1、ビタミンEなど、栄養素が豊富です。作るのに時間がかかるイメージですが、おかゆの状態でレトルトパックでも市販されていますので、手軽に取り入れることができます。
2:野菜スープ
市販の野菜スープは、手軽に摂れる栄養満点のソフトフードです。
ドライタイプのものや、レトルトパックのものなど種類も豊富です。ポタージュ系は牛乳のカルシウムやタンパク質も一緒に摂ることができます。
3:はんぺん
魚のすり身から作るので、DHAやEPA、カルシウム、ビタミンB12など、栄養素が豊富な加工食品です。柔らかく調理方法もさまざま活用できます。
4:豆腐
タンパク質を多く含む栄養価の高い加工食品です。そのまま食べることもできますし、お味噌汁に入れれば、温かく栄養価も上がりおすすめです。
5:ヨーグルト
果物や野菜などと合わせて、簡単にたくさんの栄養を摂取できます。ただし、あまり冷たいものを摂取しすぎるのもお勧めできないので、ヨーグルトばかり摂るのはお勧めできません。
おすすめの飲み物とその効果
回復期間には水分補給もとても重要です。そこで、おすすめの飲み物とその効果をご紹介します。
1: 喉越しの良い飲み物の選択
抜歯をした後の歯茎にできる穴には、食べかすが詰まってしまうこともあります。そのままになってしまうと、歯ぐきの回復を阻害してしまう原因にもなってしまいます。だからと言って、歯磨きの際に、ゴシゴシと強くこすることもし難いでしょう。口腔内の洗浄効果も期待できますので、水分をよく摂取することを心がけることも大切です。飲み物はドロドロとしたものやアルコール類などはお勧めできません。喉越しの良いもの(水やお茶がおすすめ)を選択することも意識しましょう。
2:飲み物が与えるリフレッシュ効果
抜歯後は口腔内が乾燥しやすくなります。適切な水分補給を心がけることで、口腔内のリフレッシュ効果もアップします。また乾燥予防は口腔内細菌の増殖を予防し、傷口が細菌感染することの予防にも繋がります。抗酸化作用のあるローズヒップティーやカモミールティーなどを飲むことで、リラックス効果も一緒に期待できます。
まとめ
親知らず抜歯後の食事を適切に摂取することで、痛みや腫れを和らげ、傷の回復を促進することにもつながります。ポイントを抑えておけば、柔らかい食材もさまざまな工夫で栄養を摂取することができます。今回ご紹介した食材やアイデアをぜひ参考にしていただき、抜歯後の回復期間を快適に過ごしてくださいね。