矯正 お悩み

出っ歯を部分矯正できるかどうかはどうしたら分かるの?

24.01.31

出っ歯で歯科矯正治療をお考えの方は「気になる前歯だけ治したい」とお考えの方もいらっしゃると思います。しかし実際は、部分矯正だけで改善する症例はあまり多くはありません。まず必要なのが「部分矯正適応症例であるかどうか」を確認することです。そこで今回は、部分矯正について深掘りしてみましょう。全体矯正との違いや適応症例、部分矯正のメリット・デメリット、治療方法などをご紹介します。

出っ歯治療は部分矯正か全体矯正か


まずは出っ歯の治療をするにあたり、前歯だけの部分矯正ができるのか、もしくは全体矯正でないとできないのか、判断基準などを踏まえて詳しく解説していきます。

判断基準①:前歯の歯並びの状態について

まずは「前歯の歯並びの状態」を基準にします。部分矯正はその名の通り、部分的にしか歯を動かすことができません。

・前歯だけ治して全体のバランスを崩すことにならないか
・歯が並ぶスペースは十分にあるのか

これが重要なポイントです。

判断基準②:出っ歯にどれくらい悩んでいるのか

次に、患者様がどの程度出っ歯に悩んでいるのかによって、治療方法のご提案も変わることがあります。

・食事のや生活に支障をきたしている
・歯並びがとてもコンプレックスになっている
・できるのであれば治療したい程度
といったように、同じ出っ歯でも感じ方に違いがあれば、治したい程度も変わることがあります。悩みが深い場合には完成度の高い矯正治療をお勧めすることになりますし、「できるのであれば」や「今より見栄えが変われば」程度のお考えであれば、部分矯正ということになるかもしれません。

部分矯正できないケースは?


次に、部分矯正できないケースについて解説します。先述したように、部分矯正は部分的にしか歯を動かさないため、奥歯から動かさないと完成度の高い歯並びにすることが難しいケースも多いのが実情です。部分矯正できない歯並びのケースを具体的に挙げてみましょう。

前歯の歯並びが前後にガタガタや重なりが強い場合

歯並びが前後にガタガタしていたり、重なりがある場合は「スペース不足」である証拠です。顎が狭く、永久歯が萌出時に並びきれず、そのような歯並びになってしまいます。突出している部分を揃えたくても、スペースが足りないので、部分的に改善しようと思っても、思うように歯を動かすことができません。そのため、奥歯から全体的に動かすことと、正しい位置に歯を動かせるだけのスペース確保が必要になります。
⚪︎噛み合わせがズレている場合

時折「歯並びは良いので、出っ歯だけ治したい」と言われる方がいます。歯は「並び」だけでなく、上下左右の対象となる歯が噛み合うべき位置で噛み合っていなければ、噛むことに支障が出てしまいます。そもそもの噛み合わせがズレている場合は、関係する全ての歯を動かす必要があるため、全体矯正の適応となります。

顎の変形がある場合

出っ歯の原因が「上顎が前方に大きく出ている」という場合は、歯列矯正(動的治療)だけでは突出感(出っ歯)は治せません。上下の顎のバランスがとても重要で、上顎がした後に比べて大きく突出している場合には、外科手術が必要となるケースもあります。

受け口でもある場合

上下の噛み合いが逆になる「受け口」(反対咬合)の場合、出っ歯だけを治すことはできません。まずは上下逆になっている噛み合わせを上顎が上になるように治療が必要ですので、部分的な治療だけでは改善が難しいです。
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部分矯正のメリット・デメリット


それでは、もしも「部分矯正」となった場合の、部分矯正のメリットとデメリットをご紹介します。ただし、メリット・デメリットには、本来は全体矯正をお勧めしたが、患者側の希望により部分矯正で対応となった場合も含まれますので、あくまでも参考にご覧くださいね。

部分矯正のメリット

・治療費用が安い
全体矯正よりも歯を動かす範囲が狭いことと、通院回数も少なく済むことから、総額が全体矯正よりも安くなります。

・治療期間が短い
動かす範囲が狭ければ狭いほど、全体矯正よりも歯を動かす期間も短かくなるため、全体矯正であれば動的治療期間が2〜3年かかるところ、部分矯正は治療終了期間まで数ヶ月〜1年程度ということが多いようです。

・痛みや違和感が少ない
歯を動かす範囲も狭いことで、歯が動く際の痛みも少なく、装置も部分的であれば、粘膜に当たる部分も狭いので違和感も少なく済みます。

・抜歯しない
部分矯正はスペース確保のために行われる抜歯は行われません。

部分矯正のデメリット

・見た目の完成度
抜歯しないというメリットはありますが、動かす場所によっては、部分的に歯を削ってスペースを確保する方法があります。そのため完治後の見た目が全体矯正よりも劣ってしまう可能性もあります。

・突出感が残る場合がある
部分矯正にする場合は、もしも骨格に問題があったとしてもそのまま並べることになります。そのため、出っ歯の原因が歯列の形状の問題の場合には、その部分についてはそのままなので、歯並びは揃っても突出感は残ってしまうケースも考えられます。中には「矯正前よりも前にでた感じがする」という印象をお持ちになる方もいます。
・後戻りしやすい可能性も
部分的に揃えた歯並びは、根本的な「噛み合わせ」はそのままです。ですから、日々の食事で噛み合わせるためにずらして噛んだりと、慢性的に負担がかかる場合もあります。
そのため、せっかく並べた歯並びも、元の歯の位置に戻りやすくなってしまうこともあります。

まとめ


部分矯正ができるかどうかは患者サイドの希望だけで決められるものではありません。もちろん希望を伝えることは大切ですので、まずは初回のカウンセリング時に「部分矯正できるのか」ということを確認しておきましょう。また、部分矯正適応症例でないのに受けてくれる医院を探すのはお勧めできません。思っていた歯並びにならないことや後戻りなど、治療後のトラブルにつながる可能性があるからです。部分矯正は診断・治療がとても難しいため、高度な治療でもあり、適切な診断と治療が必要です。

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