インプラント 基礎知識

歯を失う原因にもなる「歯周病」とは一体どんな病気?

23.07.27

歯周病は、歯茎が炎症を起こすことから始まる歯茎の病気です。進行すると歯を健康に維持することができなくなり、最悪の場合抜け落ちてしまったり抜歯せざるを得ない場合もあります。
「日本人の8割は歯周病」と言われるほど罹患率は高い病気ですが、初期段階は自覚症状が無いため、罹っていることに気づかない人も多いようです。
45歳以上になると約半数以上に歯周病の症状があると言われ、歯を失う原因としては虫歯よりも多いとされているため、早期発見・早期治療が大切です。
そこで今回、当院も力を入れて取り組んでいる「歯周病」について詳しく解説したいと思います。

歯周病とはどんな病気?


歯周病は、歯と歯茎の間にある溝「歯周ポケット」に侵入した細菌が原因で歯茎が炎症を起こす病気です。通常、健康な歯周ポケットの負荷さは3mm以内とされています。しかし、歯茎が炎症を起こして腫れてこの歯周ポケットが深くなり、4mm以上になると「歯周病」と診断されます。

いつから歯周病になる?

歯周病菌は生まれたときにはお口の中にはいません。虫歯菌と同じで、離乳食を始めたころから口移しや親と同じスプーンを使うなど何らかの要因で口腔内に感染し、10代後半ごろまでには口腔内常在菌として定着すると考えられています。
感染しても必ず症状が出るというわけではなく、日ごろから正しい歯磨きを行い、口腔内を清潔にしておけば大丈夫です。ただし歯に汚れが残ったままの状態が続けば、歯肉炎は低年齢児でも起こり、歯茎の腫れや出血は低年齢でも見られることがあります。10代後半からホルモンバランスの影響で歯茎が腫れやすくなったりすることもありますが、正しいブラッシングを行うことで症状を改善することができます。
20代になると徐々に歯周病へと進行しやすくなり年齢を重ねるにつれて罹患率が高くなります。

「歯肉炎」とは違うの?

歯周病は進行度合いによって呼び方が変わり、初期段階を「歯肉炎」といいます。ですので、歯肉炎も歯周病と同じです。
まだ炎症が歯肉に限局して起こっている状態で、若干歯茎が発赤しますが、痛みや出血を伴わないとこから、なかなか気づくのが難しい段階です。
正しいブラッシングで汚れが患部に残らないように継続して清潔な状態を保ち、歯茎を歯ブラシの毛先で優しくマッサージすれば、自然に症状が改善することがほとんどです。

一般的に「歯周病」とは

歯肉炎の時期に歯周病になり始めたことに気づかず、炎症が徐々に広がると、感染は歯根の方へ及びます。この段階になると一般的に「歯周病」と呼ばれる段階です。炎症が進行すると歯周ポケットはどんどん深くなり、感染が歯根膜繊維や歯槽骨に広がって、内部組織が破壊されていきます。歯磨きした時やリンゴなど固いものを食べたときに歯茎から血が出たり、歯茎の間から膿が沁み出てきたりするので、ここで気づく人も多いのですが、その時点ではすでに自力で症状改善する事が難しくなっている状態ということも多いようです。

歯周病を予防する方法はある?

歯周病の主な原因は「口腔内が不衛生である」ということです。日々の歯磨きが不十分で、歯面に汚れが溜まったままになっていることで歯周病を引き起こします。
その他、歯周病に罹りやすくなったり、進行しやすい環境になる要因もあります。例えば経年にともないホルモンバランスが関係して、歯周病になりやすくなる時期もありますが、食生活の乱れや喫煙、日常のストレス、持病など、生活習慣や基礎疾患が関係することもあります。
歯周病の原因は人それぞれであることもあるので、個々の状況に合わせた予防方法を知ることで、予防もしくは初期段階での対処を行うことができます。

正しい歯磨きの継続

「毎日食後に必ず歯磨きをしている」という方でも歯周病になることがあります。個々に歯磨きのクセが出てしまうことがあるためです。日々の歯磨きを丁寧に行うことはもちろんですが、「全体的に磨けているか」ということを意識して磨くことが大切です。

歯周病になりやすい時期

歯周病菌は女性ホルモンに含まれる成分を好むという研究結果があります。特に10代半ばから後半の女性や妊娠中の方はホルモンバランスの変化が口腔内にも影響すると考えられており、この時期は「若年性歯肉炎」や「妊娠性歯肉炎」といわれる一時的な歯周病を発症してしまうことがあります。
時期的なものはいずれ改善しますが、この時期に口腔内が不衛生であれば、症状が悪化することにもつながりますから、より口腔内を清潔にしておくことを意識しておきたい時期です。

生活習慣の見直し

「ダラダラお菓子を食べてしまう」「ジュースを日常的に水分補給代わりに飲んでいる」「喫煙習慣がある」など、口腔内が不衛生になりやすい生活習慣を行ってしまっている場合は、歯磨きだけでなく生活習慣の見直しもプラスで行うことが必要になることもあります。

歯科医院の定期健診の活用

歯科は虫歯や歯周病の症状が出てから通うだけでなく、何もなくても定期的に「予防」の目的で通院していただけます。歯周病治療が終わって症状が安定している人も、その状態を維持するためや、自身の歯磨きが正しく維持されているかどうかのチェック、ブラッシング指導を受けるなど、定期的に受診することをお勧めします。口腔内を健康に維持できるだけでなく、もしも歯周病が再発していたとしても早期発見できることで早期対処を行えば、重症化することを予防することができるためです。

まとめ


歯周病は「歯肉炎」として幼いお子さんでも罹る歯茎の病気です。歯周病菌が口腔内に存在するだけでは悪い影響はありませんが、口腔内が不衛生な状態が続くと歯茎が炎症を起こし、最悪の場合には歯を失ってしまうこともある恐ろしい病気です。
正しい歯磨きを継続することはもちろんですが、なかなか自分の歯磨きでは行き届かないことも多いので、気になる方は、ぜひ早い段階で歯科医院にご相談ください。

                                   記事一覧へ戻る