矯正 基礎知識

失敗しないマウスピース矯正 成功するために必要なこととは?

23.05.28

機械でシミュレーションして装置を作ることなどから、一見どの矯正歯科でもできると感じるかもしれません。しかし実は治療方針が難しく、安易に始めると失敗することも珍しくはないようです。
そこで今回は、マウスピース矯正をお考えの方へ、マウスピース矯正の失敗例やなぜ失敗してしまうのか解説します。失敗しない矯正治療を受けていただくためにもぜひ参考にご覧ください。

マウスピース矯正の失敗例


マウスピース矯正は、透明で目立ちにくいことや、取り外しができるという管理の手軽さから、矯正治療の中でも人気の装置です。最近ではSNSやネット広告でも目にする機会が増えたこともあり、希望者が増えています。
しかし同じくして「マウスピース矯正してみたけど思ったように歯が動かなかった」「咬み合わせがずれて治療前よりも噛めなくなった」といったように、治療の失敗例のお声も増えています。
これらは事前の精密検査や治療計画に問題があることが多いです。また、患者側と歯科医師側の目指す歯並びに相違があった場合にも起こるトラブルでもあります。

出っ歯になってしまった

一番多いのが「マウスピース矯正をしたら出っ歯になってしまった」というお声です。顎のスペース不足でガタガタに並んだ歯を治療をするにあたり、スペース確保をせずに奥歯から手前だけを動かせば、ガタガタは改善したとしても前方向に出っ張りやすくなります。事前の診断で奥歯の抜歯や歯と歯の間を全体的に0.2mm~0.5mm削る(ストリッピング)処置を行わず並べたことで起こることが多いです。これは単純に、治療前の診断が合っていなかったと言えるでしょう。

前歯で噛めなくなってしまった

上下に咬み合わせた時、下の歯と噛み合わない、隙間が開いてしまうなどの症状です。出っ歯になる理由と同じように歯を前に出すことになることが原因で起こってしまいます。
正しい歯並びとは「並び」すなわち見た目だけが綺麗に整っているだけでなく、上下に咀嚼する際に噛み合うべきところで噛めている「機能」もとても重要です。この診断を誤ってしまうと咬み合わせがズレた位置で噛んでしまい、食事という機能面の不具合や強く当たる部分の歯のダメージにつながることがあります。

「これ以上は動かない」と診断された

マウスピース矯正の中で、前歯のみを動かす「部分矯正」も増えています。奥歯を抜歯せずに治療ができるというメリットを感じて始める方もいるようですが、十分なスペースがない場合でこの方法を行うと、どんなにマウスピースを交換しても、動かせる限界に達することもあります。
歯科医師によってはそれ以上の治療ができないと診断することもあり、理想の歯並びでなくても「ここまでが限界です」と、マウスピースでの治療終了となることもあるようです。

後戻りしてしまった

「並び」が揃ったとしても咬み合わせがズレてしまったまま噛んでいると、お口は「噛める位置」に自然と歯を動かして咀嚼します。日々ズレた位置のまま噛んだときに圧がかかるので、だんだんと歯並びがズレてくることがあります。マウスピースによる部分矯正で前歯の並びだけを整えて終了した場合に起こりやすい後戻りです。

マウスピース矯正の失敗はなぜ起こる?


では、「なぜこのような失敗が起こってしまうのか」について考えてみましょう。マウスピース矯正だから失敗が起こるのか、もしくは別の問題もあるのか。マウスピース矯正で起こる失敗の原因について解説します。

咬み合わせを重視していない

マウスピース矯正の中には、奥歯を抜歯せずに前歯だけを動かすものがあります。通常は「部分矯正」として軽度の歯の乱れの場合に適応されますが、スペース不足の症例の方に使用した場合、前歯が揃うためのスペースがなく前方に押し出されてしまい「出っ歯」や「開咬」になってしまうことがあります。

歯科医師の診断・技術の問題も

マウスピース矯正の失敗例にもあったように、原因は歯科医師の技術力が関わることもおおいに考えられます。歯科医師免許があれば歯科医師は矯正治療を行うことができますが、矯正治療は虫歯や歯周病治療といった一般的な歯科診療とは大きく違い、専門性が強い治療です。ですから、矯正歯科を主に希望する歯科医師は、歯科医師免許を取得した後、さらに矯正治療についての研鑽を積みます。
しかし、あまり研鑽を積まないままマウスピース矯正を導入している場合、診断や治療計画を見誤ることが起こることも否めません。

マウスピース矯正の特徴が関係する?

マウスピース矯正は専用の機器によるシミュレーションを行い、それに伴って計画された交換用マウスピースが作製されます。決められた間隔で定期的に交換していくことで、徐々に理想の歯並びへ誘導していく治療法ですが、さまざまな要因で、計画通りに歯が動かない事も起こり得ます。たとえば、患者さんが決められた時間装着しなかったり、定期健診を怠り、計画通りにアライナーを交換しないといったこともあります。その際に正しい診断や軌道修正、計画の立て直しができない歯科医師の場合「これ以上は動かない」という結果になる可能性があります。

失敗はリカバリーできる?


もしも治療に失敗したと思った時は、どうしたらいいのでしょうか。リカバリーできるかが一番気になるところだと思います。歯並びによって変わることもあるので一概に正解はありませんが、マウスピース矯正で失敗したと感じたときにどうしたらよいのか、対応策をいくつかご提案します。

治療を受けた医院に相談してみましょう

納得がいかない結果になったときは、まずは治療を受けた歯科医院に相談してみてください。医院によっては、再治療や保証などを決めている場合もあります。

再治療先を探す

もしも「これ以上できることがない」という結果であれば、セカンドオピニオンとして転院先や新規で再治療を受けてくれる医院を探すのも方法のひとつです。
症状に合わせて、抜歯やストリッピングを入れてからの再治療を行ったり、ブラケットワイヤー矯正で細かな部分を調整するという方法もあります。

まとめ


矯正治療は高額な治療ですので、失敗するような自体は避けたいものです。見た目も重要ですが、機能性も同じように重要視しておかないと、残念な結果につながってしまう恐れがあるということを理解して、安心してマウスピース矯正を受けられる医院選びをしていただきたいと思います。

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