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受け口で口元のEラインが気になる! しゃくれ顎は矯正治療で治せるの?

22.01.30

「受け口」や「しゃくれ」といわれる顎の形状は、口元の美の基準といわれるEラインが整わず気にされる方も多いのではないでしょうか。
美容整形で治すと思っている方もいるかもしれませんが、症状によっては矯正治療だけで改善することもあります。
また、骨格的な外科手術を必要とする場合でも、歯の健康と寿命を考えると矯正治療を併用することがおすすめです。
今回は受け口の原因や治療方法を歯科的見解から詳しく解説します。口元にお悩みのある方、まずは矯正治療で治すことを検討されてみませんか?

「受け口」とは?

前歯は通常、上の歯列が外側、下の歯列が内側で咬み合うようになっています。
このかみ合わせが反対になっており、下の歯列が上の歯列よりも前に出ている状態が受け口です。
「しゃくれ」といわれることもありますが、正式には「反対咬合(はんたいこうごう)」といいます。

受け口は大きく分けて2タイプ

受け口は下顎の過度な成長もしくは上顎の成長の弱さによって起こる骨格性の受け口と、歯並びや歯の傾斜角度によって反対に噛み合ってしまっている歯性の2つに分類されます。どちらの性質であるかによって、可能な矯正方法や治療課程なども変わることがあります。

受け口は矯正歯科で治療できます!

見た目を気にされる方が多い受け口ですが、美容整形でなくても歯列矯正を行うことで治療できます。
矯正装置でゆっくり歯に力をかけて正しい位置に動かし、歯並びや噛み合わせをととのえるため、時間はかかりますが、歯を削ったり無理に動かすことはありません。
受け口が骨格性の場合、顎の骨の外科手術を要する場合もありますが、歯を動かすのは同時におこないませんので、長い目で将来の歯の寿命を考えると、矯正治療がおすすめです。

受け口による弊害はどんなことがある?

かみ合わせが反対ということは、従来の役割を果たすことができないことが考えられます。
通常、前歯は上の歯が下の歯の上に1/3ほど重なり、食事をするときに食材を捕らえる役割があります。
捕らえた後肉を嚙み切ったり麺類をすするなど、次の咀嚼へつなげるための重要な作業です。これができないと、さまざまな弊害に繋がることがあります。

十分に咀嚼ができない

一番の弊害は咀嚼です。捕らえられない、噛み切れないとなると、食材をそのまま奥へ送り込むことになるため、丸のみしやすい環境になってしまいます。栄養素を十分に摂りにくくなったり、早食いになりがちなので、胃腸への負担も気になります。

発音がしにくい

発音は、舌や歯が大きく関係します。発音する言葉によっては、舌を歯に充てることもありますので、かみ合わせが逆だと思うように動かせなかったり、息がもれて聞き取りにくくなることもあります。

下の歯裏の歯ぐきを傷つけることがある

上の歯が下の歯の裏側に当たるため、噛み合わせによっては歯ぐきを傷つける原因になることがあります。口内炎ができやすいという方もいるかもしれません。

下顎が目立つ

下顎が前に突出したフォルムになることが多く、いわゆる「しゃくれ」といわれる顔貌になりやすいです。口を閉じていても目立つため、Eライン(横顔の鼻先と口唇、顎先が一直線になることが美しいといわれているライン)を気にされる方も多いのではないでしょうか。食べ物をよく咬むことができなかったり、 下顎がしゃくれた感じになってしまい、下顎ばかり目立ってしまう、 発音が不明瞭で聞き取りにくい等の悩みを持つ患者様が多いです。

受け口の原因は?

どうして「受け口」になってしまうのでしょうか?原因として考えられることを挙げてみましょう。

骨格性

・遺伝によるもの
家族に受け口の方がいる場合は、遺伝による要素も考えられます。また、遺伝要素だけでなく、家族は同じ食事や同じ生活環境ですので、ライフスタイルによって顎の成長が同じようになるということも考えられます。
・顎の成長の不調和
顎の成長は生まれてすぐから始まります。母乳やミルクの吸い方、離乳食の食べ方、ハイハイなどの成長過程など、さまざまな要素が顎の成長が順調に関わります。成長期に顎の成長に不調和(上顎の成長が弱い、もしくは下顎の成長が過度だった)が原因となっているかもしれません。

歯性

・乳歯から永久歯への生え変わりの不具合
乳歯から永久歯へ生え変わる際、顎が狭いことで重なったり本来生えるべき場所から生えなかったりした場合、前歯の向きや角度が乱れてしまいます。これにより本来の噛み合わせとは逆になってしまうことがあります。
・舌の悪習癖
普段から嚙むときに顎を前に突き出したり、舌で下顎の前歯を押してしまったりする癖があると、歯に慢性的な力が加わり、前方へ突出してしまうこともあります。

適している矯正治療方法は?

ワイヤー矯正、マウスピース矯正ともに可能ですが、装置の種類によっては装着が難しいものもあります。また、骨格性の場合、外科手術が必要な場合もありますので、それぞれ解説します。

小児矯正の場合

お子さんの反対咬合は骨格性であることは少なく、歯が生える課程で一時的なことが多いです。特に奥歯が生える前は噛み合わせの位置が安定していないため、上下の前歯が逆に噛んでいるというお子さんもいらっしゃいます。顎は12歳ころまで成長が続くため、成長する力を利用して治療することがほとんどです。
・顎の成長が弱い傾向にあると診断された場合
可撤式または固定式の拡大装置を上顎に取り付け、顎の成長を促すことで受け口も解消されることが期待できます。
また、上下の成長に不調和がある場合は、下顎の成長を抑えるための装置や上顎を前方に成長させるための装置などを用いることもあります。

顎の成長が終わってから(成人矯正の場合)

基本的には歯を動かす自由度の高いワイヤー矯正が用いられることが多いですが、骨格性出ない場合にはマウスピース矯正でできる症例もあります。また、場合によってはスペース不足解消のために奥歯の抜歯が必要になることもあります。
・骨格性と診断された場合
矯正治療だけでは改善が難しい骨格性であると診断されたら、顎の外科手術を併用した矯正治療が必要となる場合もあります。
「セットバック法」といわれる下顎骨切り術で、大きい下顎の骨を必要な分だけ切除し、全体的に後方へ下げてから矯正治療で歯並びを整えます。

裏側矯正はできないことも…

ワイヤー矯正の中でも、歯の裏側にブラケットという装置を取り付け、ワイヤーで連結する「裏側矯正(リンガル矯正)は、上の歯が装置に当たりやすく外れる原因となってしまうため、用いることができないことが多いです。
もしも目立ちにくい方法をご希望の場合はマウスピース矯正で行うか、マウスピースが難しい場合には、上顎だけ内側に装置を取り付け、下顎は表面にに取り付ける「ハーフリンガル矯正」をおすすめします。

まとめ

受け口は下顎が前方に突出した顔貌になりやすいことから「見た目の改善」で治療したいと思われる方も多いでしょう。
長い目で見て、将来歯の寿命を長く保つことを考えると、矯正歯科で治療されることをおすすめします。
骨格性であるか歯性であるかによって治療方法が異なることもありますので、気になる方はまず、矯正歯科医院にご相談ください。

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