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インプラント治療に麻酔は必要? 方法や効果の違いについて

22.02.27

インプラント治療を検討される際、手術や麻酔というワードを聞くと不安を感じてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。そもそも歯科に対する恐怖心の強い方もいらっしゃるでしょう。そこで、インプラント治療をお考えの方へ、治療時に必要な「麻酔」について詳しく解説します。安心してインプラント治療をお受け頂けますよう、ぜひ参考にお読みください。

インプラント治療には麻酔が不可欠です


虫歯においては、局所麻酔(注射)を使用したりしなかったりするケースがあることはご存じかと思います。
この違いは「治療中に痛みを伴うかどうか」です。虫歯は表層の小さな虫歯の場合、麻酔をしなくても治療できますが、深い虫歯は切削時に神経に近いため痛みを伴います。そのため事前に局所麻酔を行ってから治療します。
インプラントは歯根の変わりを務める「インプラント体」を顎の骨に埋め込む手術を行うため、歯茎の切開や骨の切削を行うことから、事前に必ず麻酔が必要になります。

インプラント治療ではどんな麻酔を行うのか

インプラント治療における外科的治療(手術)の際、基本的には「局所麻酔」を用います。歯科治療時などの際にも行われている注射による麻酔法で、患部を局所的に除痛する方法です。
しかしこの方法は、術中患者さまの意識が明瞭のままとなるため、インプラント埋入時に発する音や手術独特の雰囲気などから恐怖心や不安を持たれる方も多いのではないでしょうか。

静脈内鎮静法の併用も有効的です

局所麻酔と一緒に「静脈内鎮静法」も併せて行うことがあります。全身麻酔ほど意識を失くすことはなく、眠くなる感覚はあるものの、意識は残っているので術中の呼びかけにも答えることもできる麻酔法です。
局所麻酔だけで手術を行う時に比べて、緊張感の緩和やリラックス効果があります。また、静脈内鎮静法だけでは鎮痛作用はないため、局所麻酔とを併用することで、より高い効果を発揮します。

インプラント埋入手術時の麻酔による効果


麻酔を行うと痛みを感じないようにするだけでなく、他にもさまざまな効果が期待できます。インプラント埋入手術を行う際に麻酔を行うことで得られる効果は以下のようなものがあります。

術中に起こる痛みの軽減

麻酔をすることで、歯肉切開や骨の切削などに伴う痛みを感じずに治療を受けることができます。

手術による不安や緊張の緩和

麻酔でウトウトした時のような心地よい状態になり、歯科に対する恐怖心や不安、緊張感を緩和することができます。

高血圧の方の血圧安定のため

術中の緊張で血圧が上昇することを抑止するため、高血圧の方に効果があります。

嘔吐反射が強い場合

口腔内が過敏で歯科用器具が入ると嘔吐反射を起こしやすい方は、麻酔で鈍感になるため、嘔吐を予防することができます。
局所麻酔と静脈内鎮静法は術中に意思疎通ができることや手術後すぐに帰宅することができることがメリットとしても考えられますが、患者さんが術中に意識が明瞭であることは「手術されている」という不安や緊張を感じることをゼロにすることは難しいです。そこで、点滴による「静脈内鎮静法」が活用されることもあります。

局所麻酔はどのように作用するのか


「麻酔」とは、薬物等によって一定の時間、無痛状態や反射喪失状態にすることをいいます。局所麻酔は術部周辺を局所的に狙って麻酔薬を注射し「末梢神経」抑制することで痛みを感じないようにさせないようにする方法です。
埋入本数が少ない場合には、局所麻酔のみで行う場合もあります。

静脈内鎮静法の併用はどのように行うのか

静脈内鎮静法は点滴によって麻酔薬や鎮静剤を体内に投与します。鎮静剤による不安や緊張、恐怖心を緩和し、リラックスした気持ちで手術を受けていただくために行います。ただし鎮痛作用はないため、鎮痛効果のある局所麻酔と併用します。
一般的な全身麻酔と違うのは「意識が明瞭のまま」ということです。歯科医師からの呼びかけにも反応できますし、術後の回復も早いため基本的に日帰り手術が可能です。
不安や緊張を和らげるのはもちろんですが、嘔吐反射が強い方や恐怖心の強い方に有効的である他にも、インプラントを埋め込む本数が多い場合など、手術時間が長くかかる場合にもお勧めの方法です。

インプラント治療の麻酔に関する疑問

全身麻酔は使わないの?

インプラント治療は全身麻酔を用いて行うほどの治療ではありません。術後の回復などを考えると、局所麻酔だけで難しい場合は静脈内鎮静法を併用する方法が最も効率的だと考えます。全身麻酔を使わない理由は以下の通りです。
・一般的な歯科医院での実施は難しい
大学病院や総合病院など大きな病院において、麻酔科医の監視の下行われる麻酔法です。開腹手術等では行われますが、一般的な歯科クリニックで実施されることは困難な方法です。
・全身麻酔のリスクも考慮
全身麻酔は脳も含め全身的に眠った状態になります。覚醒に時間がかかるため、用いる場合は入院が必要になります。
また、費用も高額になりますので、医療費の負担も大きくなります。

笑気ガスでは治療できないの?

歯科治療などで恐怖心の強い方やお子さんの治療などで用いられることがある「笑気ガス」は、インプラント治療には用いられていません。笑気ガスを吸入することで緊張の緩和を行う手軽な方法ですが、効き方に個人差があるため、手術には不向きです。最近では歯科医院でもあまり導入されている医院も少なくなってきています。

まとめ


インプラント治療は外科的手術を伴うため、麻酔をせずに行うことはできません。用いる麻酔法はできる限り患者さんの負担が少なく、且つ安全に行えるものを行います。局所的な歯科用麻酔を基本とし、症例や個々の特徴に合った方法を提案されますので、インプラント治療に対して痛みや恐怖心などの心配がある方もご安心ください。治療や麻酔に関して心配なことは、どうぞお気軽に担当歯科医師までご相談ください。

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