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インプラント治療前に知っておきたい 歯周病との関連性
21.02.24
インプラント治療を受けるにあたり、歯周病に罹っている人はすぐに治療を受けられない場合があります。
また、治療後に歯周病に罹ってしまうと、インプラントが脱落または撤去しなくてはならない事態を招くこともあります。
それほど、インプラント治療を受ける際に歯周病は気を付けなければならない病気です。
そこでインプラントと歯周病の関連について詳しく解説したいと思います。
なぜ歯周病だとすぐにインプラントできないのか
歯周病は歯茎が細菌感染によって炎症する(腫れる)病気です。これにより歯を支えている周辺の組織や顎の骨が破壊されます。
インプラントは顎の骨に埋め込む外科手術を伴う治療のため、治療過程や治療後に悪影響を及ぼす要素になってしまうのです。
そこで、インプラント治療前に歯周病が見つかった場合には、先に歯周病を治した後にインプラント治療を行います。
- インプラントが安定しにくくなってしまう
- 歯茎や顎の骨が健康でないと手術ができない
- インプラント周囲炎を起こすリスクが高くなる
歯周病であるということは、歯茎が細菌に侵されている状態です。そこにインプラントを埋入するとインプラント体に細菌が感染してしまうことがあります。
インプラントは埋入後にインプラントの土台と顎の骨や周辺組織が強靭に結合し、噛む力に耐え得る修復物となります。
しかし内部で細菌感染が進行してしまうと結合を阻害し、いつまでもグラグラ揺れて安定しないといった不具合を起こすことがあるため、歯周病が治ってからでないとインプラント治療を始めることができません。
もしも歯周病があるのに治療を受けてしまうと、外科治療で歯茎を切開したり顎の骨に埋め込むための穴を開ける手術で細菌感染を起こす可能性があるのです。
また、糖尿病を患っている人は歯周病を発症しやすい特徴があるといった、他にも心臓病など持病を抱えている場合は、担当医師の診断が必要になることもあります。
歯周病は他の病気と関連性がある場合がありますので、持病がある方は問診等で尋ねるようにしましょう。
インプラントは人工物ですが天然歯と同じように細菌感染を起こします。
もしもインプラント手術が成功したとしても、術後に歯茎の下で細菌感染が起こるとインプラントを支えていた顎の骨が破壊され、歯周病の症状と同じようにインプラントが支えられなくなり脱落してしまったり、撤去せざるを得ない状況になってしまうこともあります。これを「インプラント周囲炎」と呼んでいます。
そもそも歯を失った原因が歯周病の悪化だった方は、お口の中が歯周病になりやすい環境であることが考えられます。お口の環境を健康な状態にしてからでないと手術を受けることができません。
歯周病のメカニズムを知っておきましょう
なぜ人工物のインプラントを維持できなくなってしまうのでしょうか?これは先ほどお話しした「顎の骨の破壊」が原因です。
特に先ほどお話しした、インプラントをすることになった部分の歯が抜けた原因が「歯周病の悪化」が原因である方は、なおさら歯周病になりやすいお口の環境である可能性が高いため、しっかり治療や今後の予防策をおこなった上でインプラントを受けることが大切になります。
恐ろしい歯周病にならないためにも、歯周病が進行するメカニズムを知っておきましょう。
歯周病の原因
歯磨きが行き届かない部分には、「歯垢(プラーク」という汚れが沈着したままになります。
歯磨きには一人ひとり磨きグセがあることが多く、しっかり磨いたつもりでも、いつも同じ部分に毛先が当たっていない。
また、歯並びが悪く磨きにくい部分など、磨き残してしまう場所が決まっています。
歯垢は細菌の温床で、最近が出す毒素が常に同じ場所の歯茎を刺激してしまい炎症が起こります。
初期症状はわかりにくい
初めは軽い炎症で「歯肉炎」と呼ばれます。この段階で気づけば、まだ日常的な歯磨きの時に毛先を歯と歯茎の境目に当たるように磨くことで改善します。
この時期には痛みや出血といった自分で気づける症状がないため、歯周病へと進行してしまいやすい傾向にあります。
気づかないうちに進行することから別名「サイレントキラー」とも呼ばれる病気です。
気づいたときには悪化している?!
歯肉炎を起こした歯茎は歯と歯茎のすき間「歯周ポケット」を広げてしまうため、歯面も細菌感染してしまいます。炎症が進行して歯周ポケットがどんどん大きくなると、感染は歯の根っこにまで及びます。
この頃になると歯ブラシなどが軽く当たっただけでも出血するようになります。
また、内部に膿が溜まり歯ぐきが腫れ排膿をおこしたり、痛みを伴う症状を感じるようになります。
排膿や細菌の影響で口臭も強くなりますので、周囲の人に指摘されるようになることで気づく場合もあります。
この頃には根っこの感染から顎の骨や周辺組織を破壊し、歯を支える骨がどんどん薄くなってしまいます。
歯が脱落・抜歯することになる
顎の骨は自分で再生することはありません。顎の骨が薄くなると歯を支えきれなくなってしまいグラグラ揺れるようになります。
この時点で歯科医院に来院された場合、歯周病治療を施しても歯を残すことが困難で抜歯せざるを得なくなります。
もしくは自然に抜け落ちてしまうこともあるのです。
歯周病は他の病気のサインでもあります!
歯周病は関連性がある病気が多く、さまざまな病気の症状のひとつであったり、また逆に歯周病になってしまうとなりやすい病気もあります。例えば代表的なのは糖尿病です。
歯周病が悪化すると、炎症性の化学物質が出血や排膿を通して体内に放出されます。
そして血糖値を下げるインスリンの効果を阻害してしまい、糖尿病の発症や進行を促してしまいます。
また逆に、糖尿病を患っていると免疫力の低下からさまざまな感染症に罹りやすくなります。
歯周病の原因は歯垢という細菌の塊なので、歯垢に対しても抵抗力が弱くなり、歯周病が悪化しやすくなるという悪循環が起こるのです。このようなことから、持病をお持ちの方は場合によってインプラント治療ができないと診断されることもありますので、問診時には申告するようにしましょう。
まとめ
インプラント治療は、失った歯の修復方法の中でも、機能性・審美性共に優れた画期的な治療法です。
ですが、歯周病との関連性が深く、歯周病にである人も今はそうでない人も、治療前・治療後と注意しておかなければなりません。
インプラントはメンテナンスを欠かさず使えば、半永久的に使える装置です。
少しでも長く健康的に食事や日常生活を送るためにも、歯周病についてしっかり理解してからインプラント治療を受けられることをおすすめします。
もしも歯周病に関して不安な点がある方は、インプラント治療の相談時に必ず申し出ておきましょう。