歯科治療 お悩み

親知らずはどんな時に抜歯が必要?

24.03.24

「親知らず」といえば、抜歯するイメージを持たれる方もいらっしゃると思います。
確かに全ての歯の中でも、抜歯することになる割合は多い歯と言えるでしょう。とはいえ、全てのケースで抜歯をすることはなく、実は抜歯をしなくても日常生活に支障のないケースもあります。
そこで今回は、「親知らずがどんな時に抜歯の対象になるのか」ということについて詳しくご紹介します。

「親知らずが生えてきたけどそのままにしてていいの?」
「親知らずが痛い気がするんだけどどうしよう…」

など、親知らずを抜かなくてもいいのか疑問のある方や悩んでいる方はぜひ参考にお読みください。

親知らずとは


前歯の中心から数えて8番目の永久歯で正式名称は「第3大臼歯」といい「智歯」と呼ばれることもあります。7番目の奥歯「第2大臼歯」までは12歳前後に生え揃いますが、親知らずは20歳前後と、他の歯よりも遅く、忘れた頃に生えてくるのが特徴です。名前の由来はその辺りからきています。

生え方はさまざまです

親知らずは全ての人が生えてくるわけではありません。先天的に親知らず自体存在しない(退化した)方もいらっしゃいます。また、生えてくる場合でも、一番奥にスペースがなく斜めや90度横を向いた状態で生えてくることも多いです。そのため、歯磨きがしづらいために虫歯や歯周病になりやすかったり、前の歯を押してしまい、痛んだり歯並びを悪くしてしまうなど、悪影響を及ぼすことも多い歯です。

親知らずは抜いた方がいいの?


親知らずは、必ずしも「抜かなければならない歯」というわけではありません
他の歯と並んでまっすぐ生えていて、痛みもなく、なんの支障もなく生活できているのに、生えてきたからといって抜歯することはありません。また、レントゲンで歯の元となる歯胚(しはい)が確認できたとしても、歯茎の中で横の歯を圧迫しているといった支障が怒っていなければ抜歯せずに様子を見ます。
ただ、「できるだけ早く抜いた方がいい」「時期を見て、時間に余裕が取れる時に抜いた方がいい」といったように、抜歯を勧められることもあります。それには以下のような理由が考えられます。

虫歯や歯周病の可能性がある場合に抜歯することがあります

親知らずが横向きや斜め向きに生えてきた場合、隣の歯と重なったり被ったりして歯磨きがしづらくなります。そのため汚れが残りやすく、虫歯や歯周病を発症するリスクが、他の歯よりも高くなります。すでに虫歯や歯周病になっている場合や、なる可能性がある場合に、歯科医師が抜歯を提案します。

できれば若いうちに抜いておくことがお勧めです

顎は生後すぐから成長し始め、5歳頃までに45%、10歳頃までに80%が完了しますが、その後も残り20%は20代まで成長を続けます。その後は顎の成長がストップして硬くなるため、親知らずの抜歯もしづらくなってしまいます。また、抜歯後の回復力も若いうちの方が早いので、抜歯の時期がきていれば、できるだけ若いうちに抜歯の提案がある可能性はあります。

親知らずが成長してしまう前の方が楽に抜けるかも?

生えてすぐの親知らずや、レントゲンで見つかった歯茎内部の親知らずは、根っこがまだ無い頭だけの状態だったり、根っこが未完成だったりすることがあります。成長して根っこの先まで完了した親知らずを抜歯するのは抜きにくく、特に奥の方にある上に、横を向いていたり神経のそばにある場合は「難抜歯」とされ、非常に難しい治療になります。そのため、抜きやすい状態のうちに抜いた方が、治療後の傷も浅く、痛みの軽減にもつながることから、痛みがなくても抜歯を提案されることもあります。

矯正治療開始前に抜歯することもあります

矯正治療開始前の精密検査で親知らずが見つかった場合、現状虫歯や痛みもなかったとしても抜歯を提案されることがあります。例えば、斜めや横を向いて生えていて、将来的に前の歯を押してしまう可能性がある場合は、矯正治療の妨げとなり、歯が思うように動かなかったり、動かした歯並びが後戻りしてしまう要因になる可能性が高いからです。

親知らずを抜いた方がいい状態は?


親知らずを抜いた方がいい状態は以下のような症例が挙げられます。

・奥の方の磨きにくい所に生えたため、虫歯や歯周病になってしまった場合
・隣の歯を横から押してしまっており、隣の歯にダメージを与えてしまっている場合
・親知らず自体が虫歯や歯周病になってしまい、腫れや痛みなど悪影響が出ている場合
・親知らずがあることで噛み合わせのバランスを崩してしまっている場合
・親知らずが隣の歯を押して、歯並びが悪くなってきている場合
・矯正治療を行うにあたり、影響が出ることが予測される場合
親知らずの抜歯は、痛みや腫れが酷い場合には早急に行われることがありますが、影響が出るかもしれないという場合や、矯正治療前の準備のためといった場合は、抜歯の時期を歯科医師と相談して計画することもあります。「抜歯に抵抗がある」という方もいらっしゃいますが、抜かない限りは再発のリスクや歯が動いてしまうリスクなどを抱えたままにもなってしまいますので、歯並びや口腔内の状況に応じて抜歯を検討しましょう。

抜かなくて良い場合は?

抜かずに様子をみる場合には、以下のようなケースが考えられます。
・隣の歯と揃って同じ向きにきれいに生えている
・歯磨きも歯ブラシがしっかり当てられる
・一部だけ生えているが特に何も支障がない
・完全に歯茎の下にあり、今後も問題が起こる可能性が低い状態
・移植に利用できそうな状態
・ブリッジの支台歯にできる

まとめ


親知らずは、生えたら必ず抜歯するというわけではありません。他の歯と同じように、虫歯や歯周病を発症し、残していくことが難しい場合は必然的に抜歯を行います。ただし「支障をきたすかもしれない」という場合でも抜歯を行うことがあるというところが、他の歯の抜歯と大きく違うところです。抜歯するか・しないかについては、自己判断ができないため、歯科医師に相談し、症状や状況に応じた最善の方法を検討しましょう。

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