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意外!実は歯周病と糖尿病には深い関係性があった

23.12.03

歯周病はさほど自覚症状もないことから軽視されがちですが、歯茎の「病気」のひとつです。世界で最も患者数が多い病気ともいわれおり、厚生労働省の調査では、日本人の約7割が歯周病に罹患していると発表されています。この歯周病は近年全身疾患にも悪影響を及ぼす要因となることが分かってきており、特に「糖尿病」とは深い関係性にあるといわれています。

そこで今回は、歯周病と糖尿病の関係性についてご紹介したいと思います。
当院でも歯周内科、インプラントなど、歯周病と関係する治療を行っておりますので、参考にご覧ください。

歯周病と糖尿病には深い関係性があります


歯周病と糖尿病というと、一見、全く関係のない2つの病気のような気がします。しかし実は、関係性が深い病気です。
歯周病に罹患している人は、そうでない人に比べて糖尿病罹患率が約2倍も高いといわれています。もしくは糖尿病でなくとも血糖値が高い「糖尿病予備軍」である人も多いようで、歯周病の方は糖尿病になりやすい傾向にあると考えられます。もしくは、糖尿病やその傾向にあると、歯周病になりやすいとも言えるのかもしれません。

歯周病になるとなぜ血糖値が高くなるのか

歯周病菌が出す毒素によって歯ぐきが炎症を起こし、出血したり膿が溜まったりして、血液と共に排膿が起こります。このように汚染された歯茎から侵入した炎症に関係する化学物質が、血液を介して全身に広がってしまいます。そして血糖値を下げるための「インスリン」を効きにくくしてしまうため、糖尿病を発症したり進行させてしまう要因となると考えられています。

糖尿病の人は歯周病になりやすいのか

糖尿病患者はさまざまな病気に対しての抵抗力が低くなります。そのため、歯周病になりやすい口腔内環境に陥りやすくなっています。糖尿病患者は唾液の分泌量が低下する傾向があり、唾液は口腔内の汚れを流したり、殺菌したりする作用があるので、その効果が低いということは歯周病になりやすいということになります。また、唾液中の糖分の濃度が上昇するため、歯垢が作られやすくなり、細菌も増殖しやすく、歯周病のリスクが高くなってしまうことになります。

歯周病治療が糖尿病の改善の糸口になるかも!


歯周病と糖尿病の関係性は現在も研究が進められており、歯周病の治療をすると血糖コントロールが改善し、血糖値が下がるというデータも報告されています。

一番効果的なのは日々の正しいブラッシング

まずは患者自身が行う日常的な歯磨きの改善をおこないます。そして、歯科医院で歯垢や歯石除去など、歯のクリーニングを受けるといった継続的なケアを行い、歯周病改善を図りましょう。これにより歯肉の炎症が改善しインスリンを抑制してしまう原因が解消されれば、インスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールも改善するということが、多くの臨床研究で報告されています。

糖尿病の改善をすることも歯周病改善につながる

糖尿病で歯周病も発症している場合は、糖尿病の治療だけを続けても、治りにくかったり、改善しても再発するリスクが高いままである可能性もあります。
糖尿病になると免疫機能が低下することは先述しましたが、ダメージを受けた歯茎など歯周組織の修復が遅れ、高血糖による欠陥損傷があるとさらに歯周病になりやすい状況になってしまいます。
歯周病治療と糖尿病治療を並行して行うことが、どちらの症状も改善しやすい環境を生み出します。

歯周病治療におけるセルフケアをご紹介


歯周病は歯科医院で専門的な処置とアドバイスを受けることが症状の改善・治療の近道です。しかしいくら歯科医院で処置を受けても、自宅で行うセルフケアが一番の治療です。
そこで、歯周病治療に効果的なホームケアをご紹介したいと思います。

まずは正しく効果的なブラッシングを継続しましょう!

歯周病の原因は口腔内に常在している細菌です。細菌は歯垢を宿巣として増殖して毒素を出します。これが原因で歯茎が炎症するため、何度も繰り返しのお伝えになりますが、毎日の歯みがきで歯垢をしっかり取り除くことが大切になります。
また、すでに炎症を起こしてしまっている歯茎に歯ブラシの毛先を当てることがマッサージ効果となり炎症の改善に繋がります。最初は毛先が歯茎に軽く触れただけで出血することもありますが、症状が改善してくると出血しなくなります。怖がらずに歯と歯茎の境目を狙って斜め45度の角度で毛先を当てて微振動を与えるように磨くようにしましょう。

デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう

歯垢は歯ブラシだけでは汚れの60%程度しか落とせないといわれています。歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、どうしても汚れが残ってしまいがちになります。ここにデンタルフロスや歯間ブラシを通すことをプラスすると、歯垢除去率は80~85%にまで上昇します。歯ブラシで歯を磨いた後は、デンタルフロスや歯間ブラシを歯と歯の間に通す習慣も付けましょう。歯と歯の間が詰まっている場所はデンタルフロス、隙間がある場所は隙間の大きさに合わせたサイズの歯間ブラシを使用しましょう。

洗浄剤で歯周病予防

抗菌作用のある口腔内洗浄剤(マウスウォッシュ)は、お口の中のある菌の活動や増殖を抑えるための手伝いをする清掃補助具です。習慣にすると細菌数を減らすのも歯周病予防につながります。

食べ物も意識してみましょう

食べ物も口内細菌の活動に影響すると考えられています。ですから、歯垢形成の要因になる甘いものを控えたり、よく噛んで食べる食事で唾液をたくさん分泌する事も意識してみましょう。自浄作用・抗菌作用が働いて歯周病治療・予防につながります。

まとめ


糖尿病や血糖値高めの方は、歯周病になりやすいということ、お分かりいただけたでしょうか。
関連のなさそうな2つの病気が、実は相互的に作用してしまい、どちらも改善しないと悪化の原因になることがあるということです。
もしもお心当たりのある方は、糖尿病の治療と歯周病の治療を同時進行でおこなうことをお勧めいたします。

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