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インプラントの寿命を長く保つために重要な治療後のメインテナンス
23.10.29
インプラントは失った歯を修復する方法の中で、最も丈夫で寿命も長いといわれる装置です。しかし、使い方によっては寿命を縮めてしまうこともあります。基本的な寿命を維持するためには、術後・治療終了後と、継続したメインテナンスが必要不可欠です。
そこで今回は、「インプラント治療後に必要なメンテナンス」にスポットを当てて詳しく解説します。治療後の方はもちろん、治療中の方、これからインプラント治療を検討される方も、ぜひ参考にお読みください
インプラントの「寿命」とはどれくらい?
現在、インプラント技術は進歩し、きちんとメインテナンスを行い正しく使用していれば半永久的に使用できるとされています。
インプラント治療を行った方のうち9割以上の方が、治療から10年後もインプラントを使えているという調査結果もあります。そう考えれば、インプラントの寿命は最低でも10年はあると言えるでしょう。
インプラント発祥の地アメリカで、世界で初めてインプラント治療を受けた方は、亡くなるまでの40年間m問題なくインプラントを使っていたという話もあります。
ただし、誰でも40年も使えるという保証はありません。健康に使用するために欠かせないのが「定期的なメインテナンス」なのです。
人工歯を装着するまでの間も定期的にメインテナンスが必要です
インプラントは他の修復装置とは違い、人工歯根を顎の骨に埋め込むので、安定感と噛み心地の良さがメリットです。とはいえ、安定してインプラントを使い続けるためには、インプラントが顎の骨や周辺の組織としっかり結合していることが必要となります。しっかりと噛む力に耐え得る機能を回復できなければ、10年と言われる長期的な装置の寿命は望めません。術後のメンテナンスを怠るとどんなことが起こってしまうのでしょうか。
インプラント治療には外科手術が必要になる
インプラントは顎の骨の中にインプラント体(フィクスチャー)を埋め込むことで、装置の安定や天然歯と変わらない噛む力の再現を行います。喪失した部分の歯茎を切開し、下のあごの骨を削って穴を開け、そこに土台となるフィクスチャーを挿入し、顎の骨や周辺組織と結合する期間を置きます。そしてしっかり結合して安定しているのを確認し、上部に人工歯を被せるといった流れです。ブリッジや入れ歯は歯茎よりも上の部分で完結しますが、安定性や機能性の回復のために外科手術が伴う治療ということをお知りおきください。
顎の骨や組織と結合しているかが重要
先述したように、インプラントは顎の骨に埋め込む装置のため、外科手術後は土台が安定することが第一関門です。ここで安定が見られなければ、人工歯を装着することができません。顎の骨や組織が回復し、インプラント体と順調に結合しているかを、定期的に受診していただき確認します。
骨と結合しなかったり、歯周組織との結合は術後の口腔ケアも重要になってくるので、プロの目で日常の口腔清掃などが適切に行われているか等も確認してもらいましょう。周辺組織が細菌感染を起こさないよう、インプラント周囲炎にはとくに注意が必要です。
人工歯装着後も定期的に検診を受けることがポイント
インプラント体が安定し、人工歯の装着が終ると「治療が終わった」という気持ちから、定期検診から足が遠のいてしまうと心配です。治療が終わったという気の緩みから、さまざまなトラブルによって、インプラントの寿命も縮めてしまうかもしれないからです。
一番警戒したいのが「インプラント周囲炎」です
やはり治療終了後もインプラント周囲炎は引き続き警戒が必要です。定期健診に通っていれば
定期的に装置の調子を確認することはもちろん、歯磨きの状況も確認できます。磨き癖は誰でもあるので、磨き残しやすい部分の磨き方を歯科衛生士と練習したり、その時のお口の状態に合わせたケアを教えてもらえます。また、定期的に歯石除去など口腔クリーニングを受けることも、インプラント周囲炎予防に最適です。
装置の不具合にいち早く気づくことができます
日々の噛み癖や経年に伴い、装置の劣化や破損など起こることがあります。例えば咬み合わせが合わなくなっていても「その時の咬み合わせに合わせて噛む」傾向があり、自身では気づきにくいものです。痛みや大きな破損で気づく位の大きな症状担った時には、インプラントを維持できなくなってしまう事もありますので、初期段階で異変に気づき、早期に対処するためにも、定期的にプロの目で診察してもらうことが必要になります。
インプラント周囲炎はインプラントの寿命を大きく左右します
インプラントは人工物ですが、周辺の歯ぐきは天然歯と同様に歯周病になります。これを「インプラント周囲炎」といいます。歯周病歯を喪失したという方は、口腔内が歯周病になりやすい環境であることが考えられるため特に注意が必要です。
インプラント周囲炎が起こる原因
インプラントはとても精巧に作られた修復物です。しかし天然歯と比べればどうしても歯周病菌が活動しやすい環境となってしまいます。たとえば人工歯根と人工歯の継ぎ目などに歯垢が付きやすく、不衛生な状態が続くと歯周病菌が繁殖します。そして細菌の出す毒素が原因で周辺組織が炎症を起こします。インプラント周囲炎になると、歯周病よりも進行が速い特徴もあるため、自己管理だけではどうしても追いつかないということもあるでしょう。術後は定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、もしも罹患していても早期発見・早期治療できるようにしましょう。
まとめ
インプラントは、損失歯の修復物の中でも、一番寿命が長い装置といってもよいと思います。しかし、インプラントが丈夫で長持ちする装置として機能するためには、術後、治療後のメインテナンスをしっかりおこなってこそです。日々の歯磨きなどセルフメンテナンスはもちろん、歯科医院で受けるメンテナンスを継続することでインプラントの寿命が長くなります。治療期間中はインプラントが安定するために。そして治療後は不具合が起こらないようにと、メインテナンスは欠かさないように継続していきましょう。