インプラント お悩み

治療前に知っておきたい インプラント治療で重要な「歯茎のトラブル」について

23.01.29

インプラント治療は、歯茎のトラブルに術前よりも注意が必要です。術後にインプラント周辺の歯茎が炎症を起こす「インプラント周囲炎」を起こしてしまうと、せっかく治療したインプラントが長持ちせず、脱落や撤去しなければならなくなることもあります。
治療後、健康で長くインプラントをお使いいただくために、インプラント治療をお考えの方へ事前に知っていただきたい内容ですので、ぜひお読みください。

歯茎のトラブル「インプラント周囲炎」になる原因


インプラント周囲炎は歯周病と同じで「口腔内の清掃不良」が原因です。治療後のホームケアや定期的な歯科医院でのメンテナンスを怠ると、インプラント周辺に歯垢(プラーク)や歯石が停滞し、歯周病の原因菌が繁殖して歯茎が炎症を起こします。歯周病の原因菌がインプラントを介して、支えている顎の骨に感染すると、骨がだんだん溶けてインプラントは支えを失います。
グラグラ揺れ始めるとうまく噛めなくなり、噛み合わせが悪くなる、インプラントが脱落してしまうなどの不具合を起こしてしまいます。

歯茎トラブルの原因となる要素

・広汎型歯周炎
 そもそもインプラントにすることになった歯が抜けた原因が歯周病だった場合、歯周病になりやすい口腔環境の可能性があります。インプランド周辺だけでなく、残っている天然歯周辺の歯茎が歯周病であれば、インプラントも細菌感染しやすくなってしまいます。

・全身疾患がある
持病をお持ちの方で、症状によっては歯周病を起こしやすい体質の方もいます。特に糖尿病の方は、歯周病になりやすいとされているので注意が必要です。

・喫煙習慣がある
タバコに含まれる「ニコチン」には、顎の骨の周辺組織に血液行き渡らせる作用を阻害してしまうとされています。また、唾液の分泌量も減ってしまうため、お口の中が乾きやすく歯周病の原因菌が繁殖しやすい環境を作ってしまいます。

インプラント周囲炎の症状を知っておきましょう

・インプラント周辺の歯茎が赤くなる
・歯茎が腫れて痛む
・出血や膿が出る
・インプラント体と歯茎の間の溝が深くなる
・歯茎が下がる(退縮)
・インプラント体が埋まっている顎の骨が溶ける
・インプラント体を支えられなくなり動揺、脱落する

インプラント周囲炎は気づきにくく進行しやすい

インプラントは人工物なので、天然歯の周辺組織にある栄養を運ぶ血管が少なく、埋まっている部分にある「歯根膜」からの血液の供給がありません。そのため、炎症が進行・悪化しやすくなってしまいます。インプラント周囲炎は歯周病と同じく、初期には自覚症状がありません。また、歯周病に比べて進行が早くインプラントを維持できなくなる要因になってしまうため、できるだけ早急に対処が必要です。

放置はNG!インプラント周囲炎


インプラント周囲炎は自然に治ることはありませんので、放置は絶対に厳禁です。放置して炎症が孫攻したらインプラントを維持することが難しくなり、撤去しなければならなくなったり、突然抜け落ちてしまうこともあります。インプラント周囲炎の症状に気づいたら、早期対処が重要となります。

インプラント周囲炎を放置すると起こる弊害

・天然歯への影響
インプラント周囲炎を起こしているということは、歯周病の原因菌が繁殖しているということですし、歯垢や歯石が天然歯周辺にも沈着している可能性が高いため、周辺の歯茎も歯周病になっている可能性があります。
また、インプラントが支えを失いグラグラしているまま食事をしていることで咬み合わせがずれてしまうと、健康なはずの歯に大きなダメージを与えることにもなりかねません。

・全身への影響
歯周病の原因菌が増殖すると、歯茎の深層部まで感染が及び、血管を通じて血液中に侵入したり、唾液を介して器官から体内に侵入すると考えられています。体内に侵入した歯周病の原因菌は、糖尿病や心臓病、呼吸器系の病気、動脈硬化、脳炎などの病気の発症や進行に悪影響を及ぼすといわれています。

「歯周病」があるとインプラント治療できない

即日できる治療法
そもそも、インプラント治療を受けたくても、歯周病で歯茎が不健康な場合はインプラント治療を受けることができません。治療を希望する場合には、歯周病の治療を行ったり、歯周病で顎の骨が溶けて不足している場合には、増骨治療を先に行う必要があります。

なぜ治療できないのか

歯周病で歯が脱落した人がインプラント治療を受けたい場合には、まず、歯周病を治療することから始めます。お口の中に歯周病の原因菌が蔓延している中でインプラントを埋め込む手術を行えば、さまざまな弊害を起こしてしまう可能性が高いからです。

・インプラント体が細菌感染を起こす
 インプラント埋入手術中にインプラント体が歯周病菌に感染したことに気づかず埋め込まれてしまうと、内部で細菌感染が起こり、インプラントが正常に組織や顎の骨と結合するのを妨げます。

・外科手術ができない
 歯周病の場合、歯茎が炎症しているので、少し触れただけでも出血しやすくなります。また、歯周病から糖尿病なども併発している方は、手術中に血が止まりにくくなることもあるため、外科手術を行うことが難しいと診断されます。

・術後再度炎症を起こしやすい
 仮にインプラントを埋入したとしても、周辺の歯茎に炎症があれば、インプラント周辺の歯茎も細菌感染します。インプラント周囲炎を起こせばインプラントは安定しないと予測できるため、埋入手術をすることはできません。

まとめ

インプラントは歯茎の内部にある顎の骨に埋め込む手術を要するため、歯茎の健康状態が良いことは必須条件です。歯茎にトラブルがある状態のままではインプラント治療はできませんし、治療後も歯茎にトラブルが起こらないように気を付けなければいけません。
インプラント治療をお考えの方で、今歯茎にトラブルがあると感じている方や治療後のケアなどに不安がある方は、まずインプラント治療を行う歯科医院を受診し、現在の症状について適切な治療の進め方や、治療後のケア、管理方法なども含め、ご相談されてみてください。

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