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インプラント治療術後に飲酒・喫煙を控えるのはなぜ?
23.01.29
インプラント治療は外科処手術を伴う、歯科治療の中でも大がかりな治療であるため、術後はできるだけトラブルは避けたいものです。そのため、一般的な歯科治療に比べ、より全身の健康状態に注意しながら治療を行います。
インプラント治療を円滑に進めるために、担当する歯科医師はいくつかの注意点をお願いします。その中には飲酒や喫煙に関してのお願いもあります。飲酒や喫煙習慣がある方が治療をご検討になることもあると思いましたので、今回はインプラント治療においての飲酒や喫煙に関して詳しくまとめました。ぜひ参考にしていただければと思います。
飲酒がインプラント治療にもたらす影響
インプラント治療に限らず、外科手術の前後は飲酒を控えるように注意喚起されることがほとんどでにす。アルコールには全身の血液循環を促進する効果があります。外科手術では傷口からの多量出血と細菌感染をしないように十分配慮を行います。
インプラント手術前も飲みすぎには注意が必要
インプラント治療前は禁酒するまでの必要はありません。しかし飲みすぎてしまうことで健康を阻害してしまうのは避けたいところです。インプラント埋入手術前の飲酒は、適度な量をお飲みいただくのは問題ありませんが、過剰摂取は免疫機能の低下の要因になりますし、身体の健康を阻害するほど飲むことは控えていただくことをおすすめします。
インプラント埋入手術前の飲酒は注意
虫歯の治療等とは違い、インプラントは装置を顎の骨の中に埋入します。そのために歯ぐきを切開し、顎の骨に歯科用ドリルで穴を開けます。そこで傷口からの細菌感染を防ぐことと、早期の止血が重要です。アルコールの影響で出血が止まりにくいと、血餅ができ辛く傷口の治りも遅くなってしまいます。傷口の治りが遅ければ、それだけ傷口が細菌感染を起こすリスクも高めてしまうため、どちらのリスクも低くするためにも、アルコールの摂取は控えることが必要となります。
インプラント手術日の飲酒について
インプラントを埋入すると、特に手術後~3日程度が腫れや痛みのピークになるため、3日程度は飲酒を控えていただくように注意喚起されることが多いです。
飲酒をする事によって血流が良くなってしまうと血が止まりにくくなったり、術後に伴う術部の腫れが更にひどくなったりする要因になってしまいます。また、出血が止まりにくいと血餅が作られず、傷の治りも遅くなってしまいます。
術後に痛み止めや抗生物質が処方されますので、服用することを考えても、アルコール類は控えることが望ましいと考えます。
インプラント術後の飲酒について
術後は、術前や手術当日のように制限はありません。ただし、過剰な飲酒は引き続き控えていただくことが望ましいと考えます。唾液の分泌が減ってしまったり、身体機能の低下を起こしたりする要因にもなってしまうためです。
特に唾液の分泌が減ってしまうと、口腔内が乾燥し、お口の汚れを落とす「自浄作用」が働きにくくなります。唾液にはお口の抗菌作用もありますし、細菌の繁殖を予防する役割もあるため、汚れが付きやすい環境になると「インプラント周囲炎」を起こしやすくなってしまいます。
インプラント周囲炎で歯ぐきが炎症し、顎の骨が溶けてしまうと、インプラントが支えられなくなり、動揺や脱落を招くことになってしまうかもしれません。インプラント術後にお酒を飲む場合には適度な飲酒を心がけましょう。
その他に気を付けたほうがよいこと
飲酒の他にも、インプラント術後は気を付けていただきたいことがいくつかあります。インプラントは丈夫な修復物ですが、術後の回復やインプラント体の安定が順調に進まないと、インプラント治療の失敗にもつながってしまいます。
インプラントを長く健康に保つためにも、ぜひ参考にされてください。
術後の傷口を触らない
傷口は術後すぐは腫れたり、微量の出血が起こることがあります。気になるかもしれませんが、舌や歯ブラシで触らないようにしましょう。傷を治すための血餅ができないと、傷口の治りが遅くなってしまいます。
歯磨きはしたほうがよいですが、傷口に毛先が当たらないように注意して、強いうがいも控えるようにしましょう。
術後当日は激しい運動、入浴を避ける
術後すぐは、傷口からの出血の引き金になることは控えていただくようにしています。激しい運動や入浴は血流を促進してしまい、出血が止まりにくくなる要因となります。血が出続けると血餅もできにくいので、術後当日は控えてください。デスクワークや学校にいくなど、日常的な活動は問題ありません。
傷に刺激の少ない食事
インプラント術後すぐの食事は、できるだけ柔らかいものをお勧めします。その後は少しずつ普段の食事に戻していって大丈夫ですが、辛いものや熱いものなど、傷口に刺激のある飲食物は避けておかれることをおすすめします。しばらくは固めのものは、術部以外の歯で噛んでください。
喫煙
タバコには「ニコチン」という成分が入っており、この成分は血流を阻害する作用があるとされています。インプラント治療後、周辺組織や顎の骨とインプラントが結合する際に、その働きを抑制してしまいます。傷口の治りも悪くなってしまうため、喫煙は控えておきましょう。
飲酒と同様に唾液が少なくなる要因でもあるため、汚れが着きやすい環境になったり、着色が付きやすく、デメリットが多いです。
まとめ
インプラントは「埋めたら終わり」ではなく、術後がとても重要です。傷の治りを促し、顎の骨とインプラント体がしっかり定着する期間として大切な期間ですので、術後は注意が必要です。飲酒に関しては、術前・術後の回復時期以外は飲めるようになりますが、インプラントを健康に長持ちさせるためにも、適度な量をこころがけることも大切です。飲酒や喫煙の週間がある方にとっては、少し窮屈な期間かもしれませんが、インプラントが安定すれば以前よりも良く噛める歯を取り戻すことができるので、気を付けてお過ごしください。