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インプラントはズレることはある? メイテンテナンスを怠ることのリスクとは
22.06.26
インプラントは、支えとなるインプラント体が顎の骨に埋まっているので、入れ歯のように「ズレる」ということは基本的にはありません。しかし、いくつかの要因によっては、ズレる可能性もあります。今回はその「要因」をご紹介したいと思います。そして術後ズレる可能性について知っていただき、インプラント治療後も正しいメインテナンスを継続していただくための参考にしていただきたいと思います。
インプラントは術後の定期的なチェックが重要です!
インプラント治療は「治療が終ったら終わり」と思っていると、ズレの原因につながってしまいます。インプラントに限らず、虫歯の治療や矯正治療なども同じですが、そもそもの歯の質を削ったり、歯を動かしたりしているので、治療というより「修理」とお考え下さい。
修復個所は経年とともに劣化や2次的な不具合を起こす可能性があります。
そこで「定期健診」がとても重要な役割を果たします。
特にインプラントは全体が人工物なので、不具合が起こっても気づきにくいかもしれません。
治療をも定期的にメインテナンスを行い、装置を長持ちさせることができるような対策をして行きましょう。
〇インプラント周囲炎の悪化
インプラントは人工物なので虫歯になることはありませんが、だからと言ってメインテナンスを怠り磨き残しや歯垢汚れが付いたままになっていると、周辺の歯ぐきは歯周病を起こします。インプラント周辺の歯周病を「インプラント周囲炎」といい、歯周病と同様に顎の骨を溶かしてしまうのでインプラントが支えられなくなり、傾いたりズレたりすることがあります。特にインプラントは天然歯にある「歯根膜」という歯と歯茎を繋ぐクッションの役割をする組織がありませんから、歯垢が溜まりやすく炎症を起こしやすいので注意が必要です。
〇咬み合わせがズレたまま使っている
歯は上下左右咬み合う位置が決まっています。虫歯など何らかの理由で残存歯が欠けたり抜けたりして放置していると咬み合わせがズレることがあります。そして、噛んだ時に歯が当たる部分と当たらない部分が生じます。咬み合わせが合わないまま日常的に噛んでいると、強く当たる部分は過度な負担がかかります。インプラントは顎の骨に埋まっているので、他の歯が動いても埋めた位置のままにあり、咬み合う場所が変わってしまいます。インプラントだけでなく、残存歯を健康に守ることも、インプラントを長持ちさせるために重要です。
〇加齢に伴う周辺組織の変化
年齢とともに歯ぐきや骨が痩せてきます。そのことで歯が動いたりする可能性もあり、編み合わせが悪くなったり、顎の骨の変形が起こったりするリスクが高くなり、必然的にインプラントもズレが生じます。食べ物が噛みにくくなり、気づかないうちに噛みやすい場所へ合わせる性質があるため、インプラントもズレるリスクが増えてしてしまいます。何も症状が無くても定期健診を受けてお口の状態を確認するようにしましょう。
インプラントがズレるとどんなことが起こるか
インプラントがズレても抜けたわけではないから良いのでは?と思われる方もいるかもしれません。
しかし、先にお話したように、ズレを起こすことでさまざまな弊害が起こり、それらによってさらなる不具合につながることも考えられます。インプラントがズレると起こる可能性がある不具合をいくつかご紹介します。
〇インプラントの破損
インプラントがズレて本来噛むべきところでない部分が強く当たっていると、過度の負担がかかってインプラントが破損したり、上部の人工歯が割れたりする可能性があります。
〇咬み合わせのズレ
インプラントがズレて咬み合わせ全体もズレが起こるため、噛む力のバランスが崩れてしまいます。過度な負担がかかることで顎関節症を起こしたり、顔周辺の筋肉のこわばりが起きてエラ張りの原因になったりもします。それらが原因で頭痛や肩こり、腰痛を起こすきっかけになることも考えられます。
インプラントがズレないようにするために
インプラントは上手にメインテナンスを続ければ、半永久的に使うことができるほど丈夫な装置といわれています。約9割以上の方が、インプラントを入れて10年以上温存出来ているというデータもあるほど丈夫なのです。しかしメイテナンスを怠れば、インプラントがズレたり脱落してしまうことになり、その寿命は短くなってしまいます。そこでインプラントを長持ちさせるためにできることをご紹介します。
〇定期健診を受けましょう
インプラントがズレていないかということを自分で気づくのは難しいかもしれません。定期健診を受けていれば、軽度なズレの段階で気づくことができるため早期に対処することができます。大きなズレになってしまい、痛みや噛み合わせのズレを感じて来院された時点では、調整だけでは済まない事態になってしまうこともあるため、早期発見・早期対処のためにも定期健診は欠かさないようにしましょう。
〇正しいセルフメインテナンスを継続しましょう
インプラントがズレたり不具合を起こさないために「インプラント周囲炎」に注意しましょう。そのためには日常的に行っている歯磨きを正しく行えているかどうかが重要です。特にインプラント周辺の組織は炎症を起こしやすいため、磨き残しが無いように磨きましょう。定期健診で歯科衛生士によるブラッシング指導を受けたりすることも磨き方の確認や意識を継続するために良いきっかけになります。
まとめ
インプラントは「丈夫」「虫歯にならない」といったイメージがあり、治療後メインテナンスを怠ってしまうとズレや破損をおこしてしまうかもしれません。また、ズレたまま気づかずに使っていると、全体の咬み合わせもズレて他の不具合につながることもあります。そして、残存歯が虫歯などを起こしても噛み合わせのズレにつながるので、治療後のお口のケアはとても重要です。インプラントのズレが起こることが無いよう、また、起こってしまったとしても早期に発見できるよう、定期健診や日々のメインテナンスをしっかり継続していきましょう。