矯正 お悩み

歯列矯正で歯並びが整うと体の不調が治ることってあるの?

22.05.05

歯並びが悪いと「見た目」の問題だけでなく、さまざまな体の不調の原因になっているかもしれないということをご存じでしょうか?矯正治療を希望される方の大半が「見た目」を気にされています。もちろん見た目も大事ですが、歯並びが悪いことでお口だけでなく全身の不調や、老後の健康状態にまで影響する可能性があるのです。そこで今回は歯並びが悪いと起こるかもしれない体の不調や、老後どのような影響があるのかなど解説します。人生80年といわれる長寿の時代に、いつまでも健康に過ごすためにも、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

健康な体を維持するために必要なのは機能的な「口」

私たち人間にとって「衣食住」は欠かせません。その中でも「食」は健康に過ごすためのバロメーターです。また、高齢化社会を生きるみなさんが、いつまでも健康に過ごすためには「コミュニケーション能力」も大切です。これら2つは「口」という器官がとても重要な役割を担っています。

歯並びが悪いと起こす不調とは?

歯は並びはもちろん、正しい噛み合わせであることが重要です。歯並びが悪いと以下のような体の不調を起こす可能性があります。

・虫歯でもないのに歯が痛む
噛み合わせがズレてしまうと、噛んだ時の力「咬合圧」のバランスが悪くなります。一部分だけに強く当たったり、まったく噛めていない部分が生じたりします。過度な負担がかかっている歯はすり減りや神経へのダメージを受けやすくなり、虫歯でもないのに歯が痛んだりすることがあります。

・虫歯や歯周病
歯並びが悪いと歯磨きで汚れを落としにくい場所ができやすくなります。いつも同じ場所に汚れが蓄積してしまうため虫歯や歯周病になるリスクが高くなり、歯並びが良い人に比べると歯を失うリスクも高くなってしまうという研究データがあります。

・発音・発語が悪くなる
歯並びが悪いことで舌の当たり具合や空気漏れなどから、発音や発語がしにくくなったり活舌が悪くなることがあり、コミュニケーションに支障をきたすことも考えられます。

・口呼吸になることがある
不正歯列の中には骨格の歪みも生じている場合があります。出っ歯や開口というような不正歯列の場合、閉じた状態でも隙間があったり口が閉じにくくなってしまい、日常的な自然呼吸が花ではなく「口」で行ってしまうのです。

・顎関節症
咬合圧のバランスが悪いことは、歯だけでなくお口周辺の筋肉や顎関節にも負担がかかります。筋肉が過度な緊張を起こしてしまい、顎関節が痛んだり、開閉時の雑音や開口障害を起こすこともあります。

・肩こり・頭痛・腰痛
顎関節症の症状と同じく、顎から首、肩にかけて筋肉が繋がっていますので、同じく負担がかかることが考えられます。筋肉にコリができれば、肩こりや頭痛の原因になる可能性もありますし、肩の張りから腰へと繋がる筋肉のコリにも関係するかもしれません。

・消化不良
噛み合わせが悪いと、歯が行うべき機能を発揮できません。噛み切る・噛み砕く・すりつぶすという工程を行えないまま飲み込んでしまうと、消化不良を起こす可能性もあります。また、栄養が効率よく吸収されず、丸のみにもなってしまうと肥満の要因となる可能性も考えられます

正しい噛み合わせと歯並びが大切

このように、歯並びが悪いと、虫歯や歯周病歯を失うリスクが高くなりますし、顔周辺の筋肉や顎の骨に支障をきたすだけでなく、頭痛や肩こり、腰痛まで波及するかもしれないこと。また、消化不良や肥満の要因になるかもしれないことを考えると、「正しい噛み合わせ」であることはとても重要だということが分かると思います。また、歯の本数が少なくなることも同じで、オーラルフレイル(口の衰え)を早めて認知症に罹りやすくなるという研究結果も報告されており、QOL(生活の質)の低下を招くことになってしまいます。

噛み合わせも考慮した歯列矯正を受けましょう!

通院回数について

最近では、審美性の強い『部分矯正』や『マウスピース矯正』をご希望される成人の方が増えています。確かに「見た目に気になる部分だけ治せればいい」と思ってしまうのですが、それでは噛み合わせはズレたままです。もしくは気になる部分だけを動かしたことで、矯正前よりも噛み合わせがズレてしまう可能性もあります。歯は咬み合うべき部分で咬み合えば、自然に綺麗に整いますし、噛み合わせも考慮した矯正治療をすることで、歯の健康寿命も長くなります。

部分矯正についてよくある質問

Q:前歯のガタガタだけ治したい
A:ガタガタの歯を並べられるだけのスペースが無い場合は全体矯正になります

前歯がガタガタになっている方で多いのが「前歯だけ治したい」というご希望です。しかし前歯が並べていないということは、並べるだけのスペースが足りていないということです。ですから、奥歯も動かすもしくは抜歯してスペースを作る必要があります。無理に前歯だけ並べようとすると、前歯のアーチが前に突出して「出っ歯」になってしまう可能性もあります。

Q:出ている歯を1本抜いて並べたい
A:1本だけ抜くことは基本的にありません
歯は、上下左右に対象となる歯があり、噛み合わせたときに咬み合うべき部分が決まっています。ですから、1本だけ抜くと咬み合う歯がズレてしまい、噛み合わせに支障が起こる可能性があります。ですから気になる歯だけを抜くというような治療は基本行われません。スペース不足の対処として抜歯を行う場合は、できるだけ支障のない奥歯を上下左右4本抜歯します。

まとめ

健康維持のために、食事や運動に気を付けるということを思い浮かべる方は多いと思いますが、実は食事も運動も「健康な口」があってこそです。歯並びが悪いまま生活していると歯を失うリスクも上がり、噛み合わせのズレから起こる体の不調も起こりやすくなります。80歳まで20本の歯を維持することを目標とした『8020運動』が推奨されているように、いつまでも健康な歯でいられることで生活の質や健康な体の維持につながります。もしも本文内でご紹介したような体の不調があり、なかなか治らないという方は、矯正や噛み合わせ治療を行っている歯科医院にご相談されてみてはいかがでしょうか

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