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インプラントの寿命 治療後はどれくらい長持ちするの?
21.04.20
インプラントは他の修復方法に比べて費用もかかります。それゆえ治療をお考えの方は「インプラントってどれくらい持つのだろう」と考えることもあるでしょう。
ブリッジや入れ歯といった、喪失歯を修復するための治療と比べて、どれくらい長持ちするものなのでしょうか。
そこで今回はインプラントの『寿命』について詳しくご紹介したいと思います。
平均的な寿命や、寿命がながくなること・短くなることなども併せてお伝えしますので、治療方法を選択する際の参考にしてください。
インプラントの寿命はどれくらい?
一般的に歯科業界では10年の生存率は90%以上といわれています。しかし、実際はもっと寿命が長いと考えられるデータもあります。
厚生労働省の委託事業である「歯科保健医療情報収集等事業」の調査で、累積生存率が上の歯で90%、下の歯で94%。骨移植などを行っている場合87~92%というデータがあり、平均的な寿命は、10~15年以上と考えられているのです。
アメリカの例では、40年もの間その方がお亡くなりになるまでずっと使い続けることができた事例もあります。
入れ歯の寿命が約5年、ブリッジが8~9年といわれていますので、修復方法の中では一番丈夫で寿命の長い装置だといえるでしょう。
- なぜそんなに長持ちなのか?
- セルフメンテナンスを毎日継続する
- 歯科医院での定期的なメンテナンスを受ける
- 正しい噛み合わせで噛めていることも重要
- 施術を受ける歯科医院選びも大切
- 実はインプラントメーカーも重要なポイントです
インプラントが他の修復方法と一番違うのは、「顎の骨に直接埋め込まれている」という点です。
ブリッジや入れ歯は、歯茎の上に義歯があり、他の歯や歯ぐきを支えにして維持させます。
そのため、支えが緩んできたり歯茎が痩せたりすると、サイズが合わなくなって不具合を起こしやすくなります。
インプラントは土台となるインプラント体(フィクスチャー)を顎の骨に穴を開けて埋め込むことで、歯根の役割も再現します。他の歯に頼ることなく土台がしっかり安定するため、他の歯や歯歯茎にかかる負担も、装置のズレを起こすことも少ないのです。
ただし、この寿命は個々のお口の状況やさまざまな条件によって変わるため、どんな方でも半永久的に使えるわけではありません。インプラントの使い方によって寿命を縮めてしまうこともあるのです。
インプラントの寿命を維持するために必要な条件とは
インプラントは「入れたら終わり」ではありません。
治療後、適切なメンテナンスを継続してこそ、10~15年、それ以上に長く使っていくことができる装置です。
そこで、インプラントを健康に維持していくために必要な条件を5つご紹介します。
まず、これが一番の重要ポイントです。
インプラント事態は丈夫な装置ですが、支える周辺組織や顎の骨が健康を維持できなければ長持ちしないのです。
インプラント自体は素材がチタンで出来ており、虫歯になったり素材が腐食するような不具合はおこりません。
しかし、支える周辺の組織や顎の骨が歯周病菌で侵されてしまっては、顎の骨が破壊されインプラントを支えきれなくなり脱落に繋がってしまうこともあります。
毎日の歯磨きをしっかりおこない、お口を清潔に保つように心がけましょう。
はじめはセルフケアをしっかり行っていても、だんだん磨きグセが出てしまったり、慣れてくるとセルフケアが怠慢になってしまう方もいらっしゃいます。そもそも歯を失った原因が歯周病だった方は特に注意が必要です。
定期的に歯科医院でインプラントに不具合がないか、周辺組織は健康に保たれているか確認してもらい、セルフケアが正しく維持できているかどうかクリーニングやブラッシングのチェックを受けることが大切です。
インプラントは上部構造が人工物のため、強い力が加わることで破損することも考えられます。
また、噛み合わせのバランスが悪いまま使っていると、他の健康な歯に余計な負担がかかってしまい、天然歯の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
インプラントが常に正しい位置で天然歯と咬合圧をバランスよく分散して噛めていることでインプラントの寿命も天然歯の寿命も長く維持することにつながります。
噛み合わせのバランスのズレは本人では気づかないことも多いため、早期発見・早期対処するためにも、やはり定期検診は重要と考えられます。
インプラントはとても高度な技術を必要とする治療です。
肉眼では見えない歯茎よりも下の部分に外科手術を行うのですから、事前の精密検査はとても重要になります。歯科用CT等の先端機器を用いて埋入角度や深さの治療計画を正確に立て、埋入時に適切に処置をおこなうことができるかは、歯科医師によって知識や経験をふまえ技量に差があることもあります。
価格の安さだけで決めたりするのではなく、事前にしっかりリサーチして医院を選んでいただくことも、安心して治療を受けていただけるための方法のひとつです。
インプラント治療は自費治療で、費用は歯科医院によってさまざまです。
最近では安い設定金額のインプラントもありますが、費用を抑えるためには使用するインプラントの材料を安価なものにしている可能性もゼロではありません。
ノーベルバイオケアやアストラテック、ストローマン、ジンマーは、品質や強度において実績があり品質も高いとされているメーカーです。また、メーカーによってはインプラント自体に保証期間があるものもあります。
治療後の「安心感」という保険のためにも、どのメーカーのインプラントを使用しているのか事前に確認しておくのもよいでしょう。
まとめ
インプラントはブリッジや入れ歯に比べて不具合を起こしにくく、丈夫で長持ちな装置です。
しかし治療後にしっかりメンテナンスを継続していないと、寿命を縮めることにもなりかねないので注意が必要なのです。
また、寿命が長いだけでなく操作性も歯の再現性も優れていておすすめの治療法ですが、医院選びは慎重におこないましょう。
高度な知識と技術を持った歯科医師から施術を受けることが、安心だけでなくインプラントの寿命の長さにもつながります。
金額だけに左右されるのではなく、治療後もしっかりメンテナンスが受けられる医院を選ばれることをおすすめします。