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矯正治療中の「歯磨き」の重要性と不良時に起こしやすいトラブル
21.04.20
矯正治療中は特に歯磨きを入念に行わなければならなくなります。
といいますのも、矯正治療期間中は矯正装置が邪魔をしてしまい、普段通りの歯磨きでは虫歯や歯周病になりやすくなってしまうからです。
そこで今回、矯正治療中の歯磨きにスポットを当てて詳しくご紹介したいと思います。
歯磨きが不十分だと、どのような不具合が起こるのか、またどのような歯磨きの方法をおこなうのかなど、ぜひ参考にご覧ください。
矯正装置別 清掃不良によって起こりやすいトラブル
矯正治療では、大きく分けて2つの装置を使用しています。1つはブラケットという小さな装置とワイヤーを用いた方法と、マウスピースを用いた方法です。
2つの大きな違いは「固定式か可撤式か」ということです。ブラケットは矯正期間中、特殊な接着剤で歯の表面に装着したままの固定式で、マウスピースは取り外し可能な可撤式の装置となっています。
それぞれに起こり得るお口のトラブルを挙げてみたいと思います。
- ブラケット装置で起こりやすいトラブル
- マウスピース装置で起こりやすいトラブル
- まずは歯ブラシで通常通り歯磨き
- どの装置にも有効な「デンタルフロス」を併用しましょう
- ブラケット矯正には「ワンタフトブラシ」が効果的です
- 広めのすき間には「歯間ブラシ」を使いましょう
- 定期的なブラッシングチェック
- PMTC(歯面清掃)
固定式のブラケット装置にワイヤーを連結させている状態になることで、歯ブラシの毛先が歯面に当たりにくくなってしまいます。
そのため、歯と歯の間やブラケット装置と歯の境目などに歯垢や食べかすなどの汚れが残りやすい傾向にあり、同じ部分がいつも汚れていると、虫歯や歯周病を発症しやすくなってしまいます。
マウスピースは自身で外すことができます。そのため歯磨きの際は取り外して行うことができますので、ブラケット装置よりも歯磨きはしやすいでしょう。
しかし歯磨きをおろそかにしてしまう傾向にある方の場合、マウスピース全体で歯列を覆っている時間が長いため、やはり虫歯や歯周病のリスクは高くなってしまいます。
どちらの装置も「しっかり磨く」が基本!
磨きやすさに違いはありますが、どちらの装置もしっかり歯磨きで汚れを落とすことが基本です。
清掃不良の状態が続くと「矯正治療期間が終わって装置を外したら虫歯や歯周病になっていた」ということになってしまうかもしれません。
マウスピース矯正の方は取り外せて便利なため、慣れてくると歯みがきがおろそかになってしまうという人もいます。
磨きやすさのメリットがあるからこそ、しっかり歯磨きして、歯並びだけでなく「歯」そのものも健康でキレイにしてあげましょう!
矯正期間中の適切な歯磨き方法を解説
マウスピース矯正の場合は、食後のたびにマウスピースを外してしっかり丁寧に歯磨きを行いましょう。
食後すぐに歯磨きができない場合は、うがいをするかお茶を飲むなどして、できるだけ食物残渣を歯面に残さないようにしてから再度マウスピースを装着します。
ブラケット装置の場合は、どうしても歯ブラシだけでは届かない部分がありますので、清掃補助用具を用いて隅々まで歯磨きを行います。
はじめに、いつも使っている歯ブラシで歯磨きをします。
どうしても毛先が装置に当たって磨けない部分もあると思いますが、当てられるだけしっかりと歯面に対して垂直に毛先を当てて、無理に強くこすらないように、1本1本丁寧に磨きましょう。
これは、矯正治療をしていなくてもおすすめの清掃補助具です。
歯と歯の間は毛先が入らないため、汚れが残ってしまいます。そこで、デンタルフロスを歯と歯の間に通し、隙間に残っている食物残渣や歯垢汚れを落とします。
ワイヤーが邪魔をして歯のくびれ辺りまで届かない場所は、他の清掃補助具を用いますので、通る場所だけで構いません。
毛先が筆先のように細い「ワンタフトブラシ」は、ブラケットやワイヤーがあって歯ブラシが届きにくい細かな場所の清掃にとても有効的なブラシです。
装置と歯面の境目や、ワイヤーがかかる歯と歯の間あたりにピンポイントで充てて汚れを落とします。
歯間ブラシも同様に、隙間や当たりにくい場所に有効的な清掃補助具です。
ただし、歯と歯の間にすき間が無い部分に無理に押し込むのはおすすめできません。
矯正期間中、抜歯して一時的に隙間が大きい場合や、もともと隙間が合ってフロスでは不十分な場所に用いるようにしましょう。
歯間ブラシは隙間の大きさによってブラシのサイズも変える必要があるため、最適なサイズは歯科医院で歯科医師や歯科衛生士に確認して使うようにしましょう。
正しい歯磨きの維持には定期的なチェックが不可欠
矯正期間中は歯並びが変わっていくため、同じ歯磨き法で磨いていても正しく歯ブラシが当たるとは限りません。
段々歯が動くにつれて、その状況に合わせた歯磨きが必要になります。
そのためには、歯磨きの専門科である歯科衛生士のブラッシング指導を定期的に受けることが大切です。
装置装着後は、ブラケット矯正もマウスピース矯正も、月に1度のペースで来院します。
歯を動かしたい部分に力が加わるように、ブラケット矯正はワイヤーを調整し、マウスピースは新しいものと交換します。
来院の際には調整だけでなく、歯科衛生士によるブラッシングチェックを行い、磨けていないところの確認や歯ブラシの当て方などを教えてもらいます。
必要に応じ、歯に取れにくい歯垢や歯石が沈着してしまっている場合には、歯のクリーニング「PMTC」を行うこともあります。
定期的に行うことで、虫歯や歯周病の予防はもちろん、初期虫歯や歯肉炎(歯周病の初期段階)にいち早く気づくことができます。
対処が早ければ、矯正期間中に虫歯や歯周病が悪化してしまうような事態は避けることができるでしょう。
まとめ
歯並びだけが綺麗になっても、健康なお口になったことにはなりません。
虫歯や歯周病が悪化すれば、ぜっかく並んだ綺麗な歯を削らなくてはならなくなったり、歯を支える顎の骨が弱って歯を維持できなくなってしまう恐れもあります。
歯並びはもちろん健康な歯や歯ぐきを継続していくことで、美味しい食事をとることや若々しい口元の維持にもつながります。
長い治療期間を経て矯正治療で歯並びを美しく整えるのですから、治療期間は歯や歯ぐきの健康も意識しながら矯正治療期間を過ごし、美しく健康的な口元を手に入れましょう!