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矯正歯科でおこなう「部分矯正」ってどんな治療?
20.10.30
矯正治療というと、歯の表面全体に装置を付けるイメージはありませんか?
実は「部分矯正」といって、一部分だけに装置を付けて歯並びを整える方法があります。
手軽にできそうに感じる部分矯正ですが、どんな歯並びにでも適応する装置ではありません。そこで今回、部分矯正のメリットやデメリット、どんな歯並びに適応するのかなどを詳しくご紹介します。
部分矯正とは
部分矯正は気になるところだけ一部を矯正する方法です。「プチ矯正」とも呼ばれます。
たとえば、「上の歯の1本だけ奥に引っ込んでいる歯並びを揃えたい」とか「下の前歯だけ重なりがあるのでそこだけ治したい」といった場合に、一部分だけ矯正装置を付けて歯を動かす方法です。
■どんな歯並びが治せるの?
基本的に軽微な歯並びのズレが適応です。
部分的に治すことが目的なので、どちらかといえば「審美的改善」目的が強いでしょう。
少し歯と歯が重なり合っていたり凸凹がある部分で、歯並びを整えられるだけのスペースがある場合。逆に一部分だけすきっ歯の場合などは部分的な矯正で並びを整えることができます。
■軽微なズレに見えても治せない場合もあります
歯並びだけ見れば軽微なズレに感じる歯並びでも、実は全体的に噛み合わせにズレがあるといった場合には全体的な矯正が必要になることもあります。
歯は上下左右の歯が噛み合うべき形状になっています。正しい位置で噛めていないと、たとえ見た目にきれいに並んでいても正しく機能していないこともあるのです。
「見た目だけ綺麗になればいい」という方は別ですが、歯並びだけでなく噛み合わせも整える治療を行うのであれば、全体に装置を付ける矯正治療を提案されるでしょう。
部分矯正のメリットとは?
部分矯正を行うことのメリットをまとめてみました。
治療を受けるにあたっての参考にご覧ください。
■矯正期間が短い
部分矯正で動かすのは一部の気になっている部分だけです。ですから、全体的に歯を動かす矯正に比べて治療期間が短く済みます。
たとえば、治療期間に感じる痛みや違和感を感じる期間も短く済むということになります。
全体矯正が約3年の治療期間であるのに対し、部分矯正は1~2年で済むといわれています。
■全体矯正に比べて価格がリーズナブル
装置が部分的に済むことや治療期間が短いこともあり、その分矯正治療費を押さえることができます。
全体治療の相場は約70万円~100万円です。これは金属ブラケットを上下表側に付けた場合の相場です。裏側矯正や目立たない透明や白の装置、マウスピースになるとさらに金額は高くなります。
それに対し部分矯正の相場は約20万円~40万円といわれているので、かなりリーズナブルに感じるのではないでしょうか。
■歯を削らなくて済む
審美的に一部分歯を整える方法として、ラミネートベニアや差し歯などがあります。
これらは健康な歯質を一部削り、セラミックなど歯質に似た素材で被せて歯並びを整える方法です。見た目にはきれいに整いますが、虫歯でもなかった健康な歯質を削ることになるリスクを伴います。
部分矯正は自身の歯をそのまま場所を動かすだけなので、歯質を傷つけることなく歯並びを整えることができます。
デメリットも知っておきましょう
部分矯正では、全体の矯正に比べて「できないこと」がいくつかあります。
これらのデメリットを理解した上で、それでもよいと了承されてから治療を始めることをおすすめします。
そのためにも、部分矯正のデメリットを理解しておきましょう。
■歯を動かす上での自由度が低い
先ほどもご紹介しましたが、部分矯正は一部分だけを動かす矯正なので、動かしたい位置に歯が並ぶだけのスペースがないと難しいです。スペースを確保するためには他の歯も動かす必要がありますが、部分矯正にはそこまでの作用が望めません。
■噛み合わせの改善は期待できない
部分矯正では全体の噛み合わせのバランスを整えるまでの作用はありません。
噛み合わせのバランスが悪いまま歯並びだけ整えたとしても、結局他の歯に負担が大きくかかることになるケースもあります。
歯並びは整って見えても、噛み合わせにズレがあれば、結局後戻りしてしまうリスクもあります。
■骨格的な改善はできない
噛み合わせと同じく、骨格的な歪みやズレは改善されません。
骨格的に上の顎が突出していたり、受け口になっている場合は、歯並びが揃っても出っ歯や受け口はさほど改善された感じがしないというケースもあります。
あくまでも部分的な歯並びを揃えるだけの効果であることを理解しておく必要があります。
部分矯正はマウスピースでも可能
部分矯正では、マウスピースを用た方法もあります。
マウスピースを装着した際にかかる圧力で、歯並びを本来の位置に整えていくのです。
透明な素材でできているため、矯正中であることに気づかれにくく、部分矯正よりも装着中の違和感が少ない装置です。
また、自身で着脱できるので、歯みがきしやすいのもメリットといえるでしょう。
■自己管理が必要です
注意しなければならないのは、マウスピース取外しができるという点です。
ブラケットの装置よりも違和感も少なく、歯みがきなどもしやすい装置ですが、自分で着脱できるため、装置の管理を自分自身で行わなければなりません。
違和感などで外したままの時間が長いと、思うような結果に結びつかないこともあります。
自己管理が苦手な人は、ブラケット治療の方がおすすめです。
■治療期間と費用のちがい
治療期間は半年~1年ぐらいが多く、費用は30万円~50万円が相場です。
ブラケット治療よりも若干治療期間は長くなり、金額は高くなります。
まとめ
「歯並びを治したいけど、気になる部分だけ治せないかな?」とお考えの方に、部分矯正は期間も費用面でも最適な矯正方法だと思います。
ただし、歯並びは本来きれいに並んでいるだけでなく、しっかり噛み合い、お口の機能が上手に使えることが大切です。
お口の状況によっては、部分的に治すだけでは悩みが改善されない可能性もあります。もしくは、改善された部分が後戻りしてしまったというケースもあります。
まずは部分矯正をおこなう前に、しっかり精密検査を受けましょう。