歯科治療 お悩み

食事できない時どうする?親知らず抜歯後の食事術

24.03.31

親知らずの抜歯といえば「術後腫れる」「抜歯が痛い」といった症状が考えられることから、不安で抜歯に踏み切れないという人もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに一般的な抜歯に比べて、親知らずの抜歯は難しいケースも多いため、術後ケアが重要ではあります。
そして中でも「処置後の食事」に関するお悩みはよく耳にします。そこで今回は、親知らず抜歯後の食事をピックアップして解説します。
術後どんなものを食べたら良いのか、痛くて食事できない時にはどうしたら良いのかなど、ぜひ参考にしてください。

「痛くて食事できない」時は


痛くて食事できない時は無理に食事しなくても大丈夫です。とはいえ、栄養を摂ることが早く傷を治すためには必要ですので、何かしらの食事はした方がいいですし「痛くてもお腹は空くからどうしたらいいの?」という方もいると思います。
まずは「食べられるものを食べる」「食べやすいものを食べる」で構いません。
具体的にどの時期にどのようなものを食べたら良いのか、参考にしていただけるように、次の項で具体的にご紹介します。

痛み止めは飲んでもOK

痛くて食事できない時は、痛み止めを飲んで症状を緩和しましょう。親知らずの抜歯後は、細菌感染を防ぐための抗生物質と、痛みがあった場合に飲む薬が処方されることがほとんどです。歯科医師の指示のもと、用法・用量を守って服用しましょう。痛みが落ち着いたら「食べられるものを食べられるだけ」からスタートで構いません。

親知らず抜歯後の食事


抜歯後は痛みや腫れが起こりやすいので、その対処は意識しやすいのです。しかし実は、抜歯後のケアとしても食事は重要なポイントです。食事できないほど痛い時は、食べられるものを食べられるだけで構いませんが、痛みや抜歯からの時間経過に合わせて、少しずつ食べる種類も意識していただきたいと思います。

なぜ抜歯後の食事が重要なの?

抜歯は歯茎に埋まっている歯根(根っこ)を取り除くため、大なり小なり傷を伴います。抜歯した跡が顎の骨や神経のそばまで及ぶこともあり、万が一傷から感染を起こしてしまうと、炎症が悪化して腫れや痛みを増長させてしまいます。そうなれば必然的に傷の治りも悪くなってしまいます。そのため、親知らず抜歯後は傷口に刺激を与えないような食事の仕方に気をつけることも重要なのです。

抜歯直後の食事は?

抜歯直後からしばらくの間は、できるだけ柔らかいものを食べて、傷口に負担がかからないようにしましょう。抜歯当日は、おもゆ、味噌汁の汁のみ、ヨーグルトやゼリーなど、流動食に留めておきましょう。翌日以降はうどんやそばなどの麺類、おかゆや雑炊など、少しずつ固形にしても大丈夫ですが、抜歯した方とは反対側で噛むようにしましょう。
食べられる方は、ハンバーグや火を通した魚など、柔らかいものであれば食べて頂いても構いませんが、食べられない方は無理に摂る必要はありません。しばらく流動食で様子をみてください。

普通の食事はいつからできる?

抜歯の傷口は、約1週間〜10日ほどで落ち着きます。抜歯後3日は流動食や柔らかいもので様子を見つつ、徐々に固形も増やしながら、傷の治りに合わせて1週間後〜10日後頃には普通の食事(歯応えのあるもの)をしても問題ありません。ただし、極端に辛いものや熱いものなど刺激の強い食事はしばらく控えた方が無難です。唐辛子や香辛料などを使った料理(麻婆豆腐や激辛カレーなど)は腫れや痛みを再発もしくは増長させてしまう原因になることもあるので注意しましょう。

食事ができるようにするために


抜歯後すぐは食事できないにしても、徐々に食事できるようになります。ただ、痛みや腫れが長引けば、普通に食事できない日が長引いてしまうことになるかもしれません。抜歯後できるだけ早く普通の食事ができるようになるためにできることをいくつかご紹介します。

抜歯を片側ずつ行う

仕事や学校など予定が合わず「一度に両方抜歯して欲しい」と言われることがありますが、それはできません。と言うのも、両方一度に傷口ができると、食事ができない可能性があるからです。ですから複数の親知らずを抜歯する場合でも、右と左に分けて抜歯します。

麻酔が切れてから食事開始

抜歯当日は麻酔が完全に切れてから食事を開始しましょう。麻酔が効いたまま食事を行うと、感覚が戻っていないために、誤って傷口を傷つけてしまったり、熱いもので火傷を負ってしまったりすることがあります。

抜歯後すぐは血流がよくなる行為を避ける

激しい運動を行うと血流を促します。そのため出血が止まりにくくなってしまい、傷口を治すために必要な「かさぶた」の役割をする血餅(けっぺい)ができにくくなってしまいます。術後3日程度は激しい運動を避けましょう。同じく長時間の入浴も血流を促すので、シャワー程度で短時間に留めるようにしておきましょう。

食べかすが詰まらないように食べる

食べかすなどが傷口に入ってしまうと、取り除くのも躊躇われますし、傷口を触らなければいけなくなってしまいますので、できるだけ避けたいことです。そもそも食べかすが入らないようにするためにも、できるだけ傷口と反対側で噛むように心がけましょう。

食後の歯磨きに気をつける

歯磨きをしないのは、口腔内が不衛生になり細菌感染の可能性が高まります。感染のことを考えると歯磨きはしていただきたいのですが、行う際には傷口を刺激しないように気をつけましょう。毛先が傷に当たると傷口が開いたり、血餅が剥がれてしまい、雑菌が入ってしまう恐れがあります。歯磨き後のうがいもゆっくり行うようにしましょう。

しばらく飲酒を控える

アルコールは血管拡張を促します。運動の時と同様に傷の治りが遅くなれば、痛みや腫れが落ち着かず、食事もしづらい状況が続いてしまいます。

治療前から喫煙しておく

タバコに含まれるニコチンには、毛細血管を収縮させる働きがあります。これによって血液の流れが抑制され、血餅ができにくくなり、傷の治りが悪くなることが考えられます。血餅ができないと「ドライソケット」という傷口の細菌感染症を起こしてしまう恐れがあります。

まとめ


抜歯後食事できない時は無理に食べなくても良いのですが、栄養は摂っていただきたいため、まずは「傷口を刺激しない食事」を心がけることが重要です。また、傷みが落ち着いてきたら、傷口が早く回復できるように、徐々に栄養面も意識して食事を摂るようにすることをお勧めします。傷みが長引いて、なかなか食事できない日が続くようでしたら、感染症などの可能性も心配ですので、歯科医院へ早めに連絡しましょう。

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