歯科治療 お悩み

親知らずが痛いのは虫歯のせい?

24.04.23

親知らずは「痛む」「しみる」という症状で歯科医院を受診する方が多く、親知らずといえば虫歯になりやすいというイメージをお持ちの方も多いと思います。奥歯に違和感があると「親知らずが不具合を起こしているのでは?」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、親知らずの虫歯について解説します。参考にしていただき、歯科医院を受診する際の目安にご活用ください。

親知らずが起こしやすいトラブル


親知らずは一番奥に生えていて磨きにくい歯ということもあり、汚れが溜まりやすくなります。そのため、歯茎が炎症を起こす智歯周囲炎(ちししゅういえん)と虫歯になりやすい歯です。親知らずが痛むとすれば、この2つのどちらかを起こしている可能性が高いといえます。

智歯周囲炎

親知らずの周りは、歯ブラシの毛先が届きにくいことから、磨き残しが出やすい場所です。また、隣の歯と同様にまっすぐ生えることも少ないため、食べかすや歯垢が溜まりやすくなります。それらが刺激となって歯茎が炎症を起こし、歯周病を発症します。これが智歯周囲炎です。一般的な歯周病の場合は適切な歯磨きで改善を図りますが、親知らずはとても歯磨きしづらく、他の歯周辺の歯周病よりも改善が難しいため、結果的に抜歯することも多い歯です。

虫歯

親知らずはまっすぐに生えてくることの方が少なく、斜めや横向きに生えることが多い特徴があります。そのため磨きにくく虫歯になりやすい傾向です。進行すると痛みを伴いますが、虫歯の痛みは症状が進むと一旦おさまってしまうことがあります。これは痛みを感じる神経が壊死したことで生じるため、決して虫歯が治ったわけではありません。痛みが治っても、穴が空いていたり、時折冷たいものがしみるなど、気になる症状がある場合は、早めに歯科に相談することをおすすめします。

虫歯になった親知らずの治療はどうする?


親知らずが虫歯になってしまった場合、多くの症例は抜歯という選択をすることが多いです。削って埋めることも可能ですが、根本的改善が見られないと予測される場合には「抜歯」ということが最善の治療方法として行われます。

なぜ抜歯になりやすいのか

・歯磨きしにくい環境であるため
親知らずが虫歯になった原因として「磨きにくさ」が解消されない限り、同じことを繰り返すことになるため抜歯を行います。他の歯のように、虫歯治療をして詰め物をしても虫歯が再発してしまうリスクが高い生え方をしていることが多いため、抜歯することが最善の方法となるケースがほとんどです。もちろん、隣の歯と同様にまっすぐ生えており、噛み合わせや歯並びにも何も影響がない場合には、虫歯の治療を行って様子を見ることもあります。

・噛み合わせに問題がないため
健康に毎日美味しく食事をするためには、正しい噛み合わせが重要です。横向きや斜めに生えている親知らずが歯を押すことで歯並びに影響を与えることも多く、噛み合わせがずれてしまうことを考えて抜歯することになる場合もあります。また、歯列矯正を行う際には、虫歯や歯周炎を起こしていなくても、矯正治療の妨げにならないように事前に抜歯を行うことも多いです。

・本来無くても支障がない歯であるため
親知らずは退化傾向にあり、そもそも生えてこないという人も増えています。その中には、歯胚(歯の元となるもの)が歯茎の中で未完成(根っこがない)で埋まったままの人や歯胚すら持っていない人もいます。噛み合わせに関して、親知らずが生えていなくても支障はないため、問題があるのであれば無理に残す必要はないと考えられます。

抜歯せずに治療で様子を見ることはある?

親知らずが虫歯になってしまった時、将来的なリスク(虫歯や歯周病の悪化、歯並びへの影響など)を考慮し、基本的には抜歯を勧められます。ただし、以下のような場合には親知らずを抜歯せずに治療して様子をみることがあります。

・正常な向きで生えている場合
親知らずが横の歯と揃ってまっすぐに生え、上下でしっかり噛み合っている場合、他の歯と同様に虫歯治療を行います。
・移植に活用できると判断された場合
親知らずのように、失っても噛み合わせに問題ないと判断された歯を、他の歯が抜けた箇所に移植して補う治療法があります。移植に使用する歯のことを「ドナー歯」といいます。すでに失っている部分がある方や、抜歯になりそうな歯があるなど、口腔環境によって、虫歯になっていたとしても親知らずの抜歯をせず温存しておくことを検討します。

まとめ


親知らずについては、抜歯を推奨する機会が多いかと思いますが、中には「どうしても抜きたくない」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。虫歯治療で様子を見るのか、抜歯をするのかについては、単に患者様のご希望や歯科医師の治療方針だけで決められるものではなく、その時の口腔内の状況によっても変わります。現在の親知らずの状況と残した場合のリスクなど総合的に考えた上で治療方法が提案されますので親知らずの治療に関してお悩みの方は、まずは歯科医院にご相談されてみてくださいね。

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