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矯正治療中に引っ越しすることになったらどうしたらいいの?
23.09.30
矯正治療途中に転勤や留学、進学など引っ越すこになったとき、今まで通っていた歯科医院や矯正歯科に通院できなくなる可能性を考え、矯正治療を躊躇する方もいらっしゃるでしょうか。
そこで今回、矯正治療中に引っ越しする場合に矯正治療はどうしたらよいか、よくあるパターンをご紹介します。治療中に急に引っ越すことが決まってしまった方や、これから矯正したいけど、引っ越す可能性があるという方はぜひ参考にご覧ください。
矯正治療中に引っ越すことになったら?
虫歯や歯周病の治療であれば、引っ越し先で歯科医院を探して治療を再開したとしても、さほど大きな問題なく治療を引き継ぐことができます。
しかし、矯正治療はそうはいきません。治療開始前の歯並びから、正しい歯並びと咬み合わせにするまでの治療計画を立案し、定期的に調整しながら治療を進めていくため、転院先の歯科医院が治療を引き継ぐことができるかどうかも重要になります。
〇できれば治療終了まで同じ医院で
矯正治療を開始したら、出来る限り治療が終了するまで同じ医院で治療を受けるのが理想です。
先ほどもお話したように、治療計画を立案した歯科医師が最後まで治療を行うことが歯列矯正を行うにあたってとても重要だからです。
矯正治療は、装置が入ってしまえば、定期的な検診は1カ月に1度、もしくは2、3カ月に1度といったように、頻繁に通う必要がなくなります。引っ越し先から通えなくはない範囲へのお引越しであれば、これまでと同じ歯科医院で治療を受けることをおすすめします。
〇遠方への引っ越しでどうしても通院できない場合
転勤などによる遠方への引っ越しや、留学などで海外に引っ越すなど、実質的に治療を開始した歯科医院に通えない場合には、転院をすることになります。
転居先エリアで受け入れ医院を探し、かかりつけの歯科医院に紹介状や治療開始時に採取した資料を作製してもらい、持参もしくは郵送してもらうなどして、治療を引き継いでもらうことになります。
転院時に注意すべきこと
転院に際して注意しておきたいことは「転院前と転院先の歯科医院では、治療方針が同じとは限らない」ということです。治療終了までの方針が違えば、用いる装置や治療終了までの期間も、当初の予定通りにはいかないかもしれません。
〇受け入れ先の矯正装置を確認しておきましょう
矯正装置にはさまざまな種類があります。転院先と治療開始した歯科医院で始めた装置が異なる場合、装置を付け替えなければならなくなることも考えられます。そのため新しい装置の費用がかかるなど、転院先での治療費が、新規開始の場合とさほど変わらなくなってしまうかもしれません。
転院先は、できれば現在治療中の装置と同じ装置の治療法を引き継いで行える医院を探すことをおすすめします。もしくは、治療開始前から、転院しやすい装置で治療開始しておくことも方法のひとつです。
〇装置を一旦外す可能性
裏側(リンガル)矯正を行っている方や、矯正用インプラントを用いている場合などは、導入医院が多くないため、転院先に同じ方法では治療できないとなることがあります。その場合には、転院前に装置を撤去し、転院先で新たに装置を装着しなければならなくなることもあります。
〇海外に引っ越す場合は?
海外へ引っ越す場合は、表側矯正もしくはマウスピース矯正のインビザラインであれば、紹介が可能になることが多いです。海外でも表側矯正はスタンダードな歯列矯正装置ですし、マウスピース矯正「インビザライン」は世界シェアNo,1の装置なので、治療計画時点で終了までのプログラムが出来ており、転院もスムーズと言われています。治療前に海外へ行く可能性があるのであれば、引っ越す前に転院先を探しやすい装置にしておく。また、調整時期が調整できるのであれば調整間隔が長くなっても大丈夫な装置を選択するということも方法のひとつです。
また、もしも短期間の留学などであれば、帰国のタイミングに合わせて治療を再開するといったことも可能な場合がありますのでかかりつけの矯正歯科医師に相談してみましょう。
転院したら費用はどうなる?
転院に際し、気になることのひとつが「治療費」だと思います。費用については、日本矯正歯科学会の会員である矯正歯科医院で治療していれば、学会の指針に基づき、治療の進行状況に応じて清算や返金を行うことになっています。ですから、治療完了までの費用をすでに支払っている場合には、その指針に基づいて計算した費用が返ってくる可能性はあります。
〇総合計が上がる可能性
転院先の費用規定によって総額が変わる治療の進行状況に応じて清算され、一部費用が戻ってきたとしても、転院先の治療費は戻ってきた費用ですべて賄えるとは限りません。
受け入れ先の定める治療費に含まれる装置や治療にかかる調整料、保定期間の費用など、転院前の医院と治療方針や費用設定が異なり、総合計が上がることが多い傾向にあります。
転院することが決まったら、費用についても事前に十分確認しておきましょう。
「難症例」と言われる、大きな重なりがあったり骨格が関係する不正歯列の場合、転院せずに同じ矯正歯科に通った方がよい場合があります。
矯正治療は思ったよりも複雑な動きや調整が必要な場合があり、どのように動かすべきかを、治療開始前の状態から緻密に計算して治療計画を立案しています。ですから、初めの状態やどのように動かしていくかということを一番よく分かっている歯科医師の治療を受けることが、失敗しない治療にも大きく関係します。
例えば「1カ月に1回は無理だが2カ月に1回の通院であればできる」など通院頻度を下げたり、「一時帰国時であれば受診できる」など、転院せず治療を受けられる可能性があるのであれば、結果的にスムーズに治療が進むことにも繋がります。
まとめ
矯正治療は長期的な治療になるため「引っ越しの予定があるかもしれない」という方にとっては、治療開始に踏み切れないという方もいるでしょう。ですが、そう考えていれば、いつまでも治療を始めることができません。極力転院せずに同じ医院で治療できる方法はあるのか。もし難しい場合には転院しやすい治療法は?といったように、カウンセリングを受ける際に歯科医師に転院の可能性もふまえて相談してみましょう。きっと良い方法が見つかります。