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インプラントは虫歯になるの? 治療後に気を付けたいことを解説
22.07.31
インプラントといえば、歯を失った部分の修復方法であることから「もう二度と失いたくない!」と思う方も多いのではないでしょうか。歯を失う原因といえば歯周病や虫歯が悪化したことによるものが多いため、治療後にインプラントが虫歯にならないかと不安に思われる方もいらっしゃいます。
そこで今回は「インプラントは虫歯になるのか」ということや、治療後のケアやメンテナンスについて解説します。虫歯の悪化からインプラントを失ってしまった人は、ぜひ参考にお読みください。
インプラントは虫歯にはなりません
インプラントは顎に埋まっているインプラント体も含め人工物でできているため虫歯になることはありません。上部構造はセラミックなど歯質感に近い素材、またインプラント体はチタンなど、酸で溶ける素材ではありませんし、もしも劣化や破損が起こったとしても、虫歯のように削って修復したり痛みを感じるなどの症状が起こったりといった不具合は起こりません。
虫歯は「歯」の病気です
そもそも虫歯とは、天然歯に起こる病気です。お口の中に常在している細菌が、食事やおやつから摂りこんだ砂糖をエサにした副産物として「酸」を作り出します。そして、歯質表層のエナメル質が酸によって溶け始め、下の層の象牙質まで広がってしまうと痛みを感じるようになります。
象牙質の下にある歯髄(神経)に虫歯が達してしまうとさらに激痛を伴いますが、しばらくすると歯髄が壊死してしまい治療していないのに痛みを感じなくなるため、そのまま放置してしまうと膿が溜まって歯を維持しておくことができなくなってしまいます。
対してインプラントは上部構造の人工歯から歯根部分に当たるインプラント体まで全体が人工物ですので、酸によって溶ける「虫歯」になることは無いといえます。
虫歯にはならなくても他の病気には注意が必要
治療後、虫歯にならないからといってメンテナンスをしなければ、同じようにインプラントを失ってしまうこともあるので注意が必要です。定期健診を受けることで、トラブルを早期発見早期治療できたり、インプラントの寿命を長く保つことにもつながります。
インプラントの寿命を縮めてしまう最も代表的な病気と言えば「インプラント周囲炎」です。虫歯になることは無いのですが、治療後はこの病気にならないように、日常的にメンテナンスを継続して行きましょう。
インプラントを失う原因「インプラント周囲炎」とは
インプラント及びその周辺の歯周組織が歯周病の原因菌に感染してしまう病気です。歯ぐきの炎症から始まり、悪化すると出血、排膿などを起こします。進行するにつれインプラント体を支える顎の骨が溶けてしまい、最悪の場合インプラントが脱落してしまうこともあります。歯周病と同じような症状で歯を失う可能性があるということです。
インプラント治療後に気を付けたい「他の病気」とは?
先述したように、インプラントは虫歯にはなりませんが、他の病気やトラブルによって「インプラントを失ってしまうことになるかもしれない」ということを意識していただきたいと思います。
インプラント周囲炎を含め、いくつか注意すべき病気やトラブルをご紹介します。
術後の歯ぐきの腫れや痛み
インプラント治療は、歯ぐきの下にある顎の骨にインプラント体を埋め込む外科手術を伴います。そのため、術後しばらくは傷口からの出血や歯ぐきが腫れることがあります。この出血や腫れは治療後安静にし、主治医の指示にしたがって薬を飲むなどの対処を行っていれば、1週間~10日ほどで徐々に落ち着いてきます。もしも出血や腫れがなかなか落ち着かず長引いたり、症状がさらに悪化した場合には、術中に細菌感染を起こしたか埋入部のトラブルが起こっている可能性があるので、担当歯科医師に必ず相談してください。
インプラント周囲炎
インプラント周囲炎は、天然歯の「歯周病」と同様の症状を起こす病気です。歯磨きを怠ってしまって口腔内が不衛生になることで発症します。インプラントは天然歯に比べて歯周病菌に感染・繁殖しやすい特徴があるため、術後は術前よりも意識して口腔ケアに取り組むことが必要です。
特に、歯を失った原因が歯周病であった方は歯周病菌が多い可能性もあります。術前と同じ生活習慣や口腔ケアを行っているとインプラント周囲炎を発症してしまうので注意が必要です。
インプラントの破損
丈夫な装置とはいっても、インプラントは人工物なのでヒビや破損などのトラブルがゼロとはいえません。外部から強い衝撃によるものや、歯ぎしり・食いしばりなど、インプラントに過度の負担がかかるクセがある場合などが考えられます。また、治療の段階で細菌感染を起こしていたり埋入位置の失敗に気づかないまま治療が進んでいたりといった要因でインプラント体と顎の骨の結合不十分なまま治療が進んでいた可能性なども考えられます。
残存歯の虫歯
当然お口の中にあれば人工物にも歯垢や歯石、食べかすなどの汚れが付着します。インプラント自体が虫歯にならなくても隣接して生えている天然歯は、その汚れから発生する酸によって虫歯になります。新たに抜歯や脱落を起こす歯を増やさないようにするためにも、インプラントを清潔に保つことは必要なことなのです。
インプラント装置は他の修復物に比べて天然歯により近いと言われていますが、そうはいっても歯冠部とインプラント体の継ぎ目や本体に付いたキズ等に汚れが付きやすくなるので、丁寧な歯磨きが必要になります。歯ブラシに加えてデンタルフロス(糸ようじ)やワンタフトブラシ(筆先のように細い毛先のブラシ)などの清掃補助具の活用がおすすめです。
顎の骨への過度な負担
経年とともに顎の骨が痩せてしまったり、噛みグセや歯ぎしり、食いしばりなどの悪習癖によって顎関節への過度の負担から、インプラントの破損やぐらつく原因となってしまうことがあります。
噛む刺激が無くなることで歯ぐきが痩せることもあるので、あまり噛まないのも問題ですが、過度の負担も顎の骨やインプラント事態にダメージを与えてしまうので、長持ちさせるためにも治療後は食生活や生活習慣も見直していくとよいかもしれません。
まとめ
インプラントは装置そのものは虫歯になることはありませんが、インプラント以外に残存している歯が虫歯になることはあります。その影響でインプラントの寿命を縮めてしまうことになる可能性はあるので、治療後は適切なメンテナンスを継続する必要があります。
また、インプラント自体や周辺組織ににトラブルが生じることも起こり得るため、毎日のセルフケアだけでなく、定期的な歯科医院のメンテナンスも重要です。
インプラント治療後は適切なケアを継続できるよう、歯科医院をぜひご活用下さい!