歯科コンテンツ
CONTENTS
子供の「出っ歯」は歯列矯正でないと治らないの?原因や治療方法は?
21.11.29
お子さんの歯が乳歯から永久歯に生え変わる時期によくいただくご相談に「子どもの出っ歯」があります。
お子さんの小さなお顔に、乳歯に比べ永久歯はとても大きく感じるため、前歯だけ永久歯の時期には特にそう感じるということもあるかもしれません。
しかし中には、それだけの問題ではなく、前歯だけが大きく突出したり、上あごが骨格的に前に出るといった「出っ歯」の症状を招くこともあります。
今回はお子さんの出っ歯についての症状や原因、歯列矯正治療法・予防法など詳しくご紹介します。
生え変わりが始まったお子さんの歯並びについて、ぜひ参考にお読みください。
子どもの「出っ歯」について
出っ歯は正式には「上顎前突」(じょうがくせんとつ)といいます。矯正治療の対象となる不正咬合のひとつで、正しい噛み合わせの位置よりも、前歯が前に突出している状態の歯並びのことです。
中央の前歯だけが他の歯に比べて前に突出している状態と、上顎が全体的に前に突出している状態があります。
- 自力で治せるの?
- 生え変わってすぐの出っ歯は様子をみます
- 骨格性の場合は予測できることもある
- 口腔機能が弱い
- 顎の成長が弱い
- 悪習癖や影響を及ぼす習慣がある
- 虫歯などの口腔内環境によるもの
- 先天的な原因によるもの
- 生後すぐからできること
- 悪習癖や生活習慣の改善
- 定期検診を受けましょう
「前に出ている部分を指で押して力を加えていたら動くのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、突出しているのには何らか要因があります。単純に「押せば治る」というものではありません。
力を加えれば歯は動くかもしれませんが、他の部分にしわ寄せとして症状が出る可能性があります。
また、健康な歯の神経にダメージを与えることも考えられるので、自分で無理な力を加えることは控えましょう。
乳歯が永久歯に交換し始めるのは6歳ごろからで、まだまだ成長過程の小さなお顔に大人と同じ大きさの歯が生え始めます。
ですから歯が大きく見えたり前に出て見えたりということもありますし、一時的にスペースが不足して凹凸が生じることはあります。顎の成長に伴って歯並びが動き、出っ歯が目立たなくなることもあるので、生え変わってすぐは様子をみることがほとんどです。
幼いころから何らかの要因で上あごが前に突出した形で形成されていると、生え変わる前でも将来的に出っ歯になると予測できることもあります。自力で顎の形状を治すことは難しいので、その場合には成長過程でできる治療を行いながら様子をみつつ、将来的な矯正治療の計画を立てていきます。
なぜ出っ歯になるの?
お子さんが出っ歯になってしまうのはなぜなのでしょうか。お子さんの時期から出っ歯になってしまう要因をご紹介しますので、気になる方は当てはまる要素がないか確認してみてください。成長過程のお子さんであれば、改善できることや予防策などもありますので参考にしてみてください。
口元の筋肉や舌筋の発達が弱いと、口元が緩んで日常的にお口が開いてしまいます。歯並びは唇や舌に押されることで位置を保つことができますが、口が開いていると前歯が前方に突出しやすくなってしまいます。
顎は授乳や離乳食などの運動を経て成長します。さまざまな刺激を受けて上あごが引き上げられ、側方と前方へバランスよく成長すれば問題ありませんが、側方の成長が弱いと細いU字で前に突出した歯列弓になると、スペースが不足して前方へ突き出てしまいます。
指しゃぶりや爪噛み、口唇を噛む・吸う、ろう舌癖などの悪習癖は過度な力が前歯の一部にかかってしまい歯並びに悪影響を及ぼします。また、口呼吸や頬杖をつくなど歯や顎に力がかかってしまうような生活習慣から歯並びに影響を与えてしまうものもあります。ひどい場合には顎の変形も起こし、骨格的に前へ突出してしまうこともあるため注意が必要です。
乳歯が大きな虫歯になったまま「いずれ抜ける歯だから」と放置される方がいます。しかし症状が悪化して乳歯の根っこの先に病巣ができると、永久歯はその部分を避けて生えようとします。そのため本来乳歯の歯根を沿って生えてくるはずの永久歯が、理想の位置からずれて生えてしまい、前歯の場合は出っ歯の原因にも関係してしまいます。
まれに永久歯が生まれつき足りない「先天性欠如歯」があります。永久歯が足りない部分があると歯の生えるべき位置にずれが生じるため出っ歯の要因になることもあります。また、先天的でなくても、転倒事故等で歯が脱落してしまった方や、「癒合歯」※も歯並びのずれを起こす要因になることがあります。
※癒合歯:2本の歯が癒着して生えてくる状態
出っ歯になるのを予防することはできる?
ここまでご紹介した要因を少しでも回避できれば、出っ歯になるリスクを減らす予防策となります。
まだ歯が生える前の時期からできることもありますので、気にかけてみてください。
まずは生後すぐの授乳によるお口の機能から成長は始まっていますので、しっかり上顎と舌を使って
母乳やミルクを飲めるような姿勢、哺乳瓶の乳首選びなど気にかけてみてください。離乳食が始まっ
たら、お口の機能の成長を促せるよう、良く噛める食事を心がけ、全身を使って思いっきり遊びまし
ょう。
歯並びに影響を及ぼしてしまう癖や生活習慣がある場合は、顎の形を形成する目安として5歳くらい
までに治しておきたいものです。治らない場合は出っ歯になる可能性が高くなる要素になることもあ
るため、歯科医院で相談するのもよいでしょう。
乳歯は生え変わりますが、虫歯の悪化や早期欠損(虫歯や事故による抜歯や脱落など)は、永久歯が
生えてくる道しるべを失うため、歯並びが悪くなる要因になってしまいます。また、永久歯が揃って
いるかどうかはレントゲンでないと分かりません。定期的に歯科を受診し、お子さんのお口の管理を
継続的に行うことで、早期に対処することができますので、定期健診は大切です。
まとめ
出っ歯は骨格性のものは若干遺伝の要素も関係するかもしれませんが、ほとんどの場合は顎の成長や口周辺の筋機能の弱さや悪習癖、生活習慣などによって起こります。歯が生え変わりはじめの時期混合歯列期)はお口の大きさに対して前歯が大きく見えたり、一時的に前せり出してしまっていることもあります。成長に伴い歯が動いて目立たなくなることもあるため過度に心配はいりませんが、顎の形状や習癖などご心配な点があれば歯科医院で診断してもらいましょう。