矯正 お悩み

矯正治療中にスポーツは支障がない?気になる「マウスピース矯正」について解説

21.11.30

歯列矯正治療を検討中の方から「矯正治療中にスポーツには支障がないか」というご質問をよくいただきます。
これはスポーツの種類にもよりますし、矯正装置の種類によっても対応が異なります。
また、スポーツで用いられる「マウスガード」として使用できないかとお考えの方もいらっしゃいます。
そこで今回、歯列矯正治療中のスポーツとマウスピースについて詳しく解説します。
部活やスポーツをされていて矯正治療をすることを迷われている方は、ぜひ参考にご覧ください。

歯列矯正用マウスピースは「マウスガード」の代用ができる?

結論からいうと、歯列矯正用のマウスピースはマウスガードの代用はできません。
マウスガードを使うスポーツといえば、ボクシングやラグビーなど、お口の中を傷つける可能
性がある激しいスポーツです。これらに使用されているマウスピースは外傷を予防するために作られています。
一方、歯列矯正のためのマウスピースは、動かしたい歯に少しずつ圧力をかけながら動かすための装置であり、口腔内で違和感をできるだけ少なくするよう薄い素材で作られています。ですから、歯を衝撃から守るような効果はありません。

スポーツで矯正治療はあきらめないで!

「スポーツに支障をきたしたくないから矯正治療はしない」とあきらめないでください。
実は歯並びとスポーツは深い関係があります。歯並びは見た目に整っているだけでなく、噛み合わせがしっかりと正しい位置で噛めていることも重要で、バランスの良い噛み合わせはスポーツに必要なパワーや瞬発力、脳の活性化などさまざまな効能にプラスとなるとされています。
歯列矯正期間は不自由に感じることもあるかもしれませんが、歯並びと噛み合わせが整うことでスポーツにも良い効果をもたらしてくれる可能性が広がります。

歯列矯正中でもスポーツは可能です

歯列矯正をしていても通常通りスポーツをすることは可能です。ただしスポーツの種類と歯に付ける装置の種類にもよります。
一般的なスポーツは矯正治療中であっても何ら支障はありません。ただし、激しくぶつかり合う競技は注意が必要です。

どんなスポーツに注意が必要?

例えば、先ほどご紹介したボクシングやラグビー、アメリカンフットボール、柔道、レスリングといった、激しく交錯することの多い競技です。また、サッカーや野球、バスケットボール、バレーボールなども場合によっては口元がぶつかったり、ボールが当たる可能性なども考えられます。
一般的なブラケットとワイヤーを使った矯正装置が歯の表面についている場合は、装置で口腔内を傷つけてしまうリスクはあるでしょう。

スポーツの影響が気になる方は「マウスピース」矯正がおすすめです

部活動やクラブチームでスポーツをされているお子さんや、社会人チームなどに入られている成人の方など、スポーツでの歯列矯正の影響が気になる方には、マウスピース矯正がおすすめです。

一番のメリットは「取り外し可能」であること

マウスピース矯正はご自身で取り外すことができます。装着時間は20時間以上必要なので、ほぼ1日中装着が必要ではありますが、スポーツの時だけ外すことも可能です。また、そのまま付けたまま行える競技でも、装置で口腔内を傷つける心配はありません。

競技に合わせて使い分けもできます

マウスピース矯正装置を付けたままプレイしていただくこともできますが、矯正用マウスピースは薄い素材ですので、激しくぶつかるような競技では破損してしまう恐れもあります。スポーツをする時間だけ外しておいてマウスガードに入れ替えることも可能ですので、競技によっては使い分けることもおすすめです。

激しいスポーツをする場合の矯正治療への対策

矯正治療を行うにあたりスポーツを行うことが前提にある場合、治療をを受けるにあたって対策を行っていれば問題ありません。治療方法や装置選択の参考にしてください。

治療前に申し出ておく

治療のためのカウンセリングや精密検査の際に、担当の矯正歯科医師にスポーツをおこなっていることを事前に申し出ておきましょう。スポーツの頻度や種類によって、歯科医師が治療方法の提案時に考慮した内容での提案をしてくれます。
特に、ブラケットワイヤー装置は一度装着すると外すことができない装置ですので、事後報告では安全性を考慮した提案ができなくなってしまいます。

裏側矯正にする

歯並びによってはマウスピース矯正では難しいと診断されることもあります。その場合、ブラケットとワイヤーを用いた矯正を行うことになりますが、もしもスポーツでの外傷がご心配な場合には、歯の裏側に装置を付ける裏側矯正(リンガル矯正)をするという方法もあります。
装置が内側に付くため、比較的衝撃を受けても装置と口腔粘膜が傷つくような影響は回避できます。

ブラケット装置のマウスガードを作製する

どうしても歯並びによってブラケットワイヤーを用いる必要がある場合などは、ブラケット装置ごとカバーできるマウスガードを作り、スポーツ時に装着するということもあります。歯科医院によって対応できる医院・できない医院がありますので事前に確認が必要です。また、作製には矯正治療とは別途費用がかかることや、歯並びの動きによって作り変えが必要になることもご了承いただくことになります。

矯正期間終了後は?

歯列矯正期間が終了したら、歯並びが後戻りしないように「保定期間」があります。その間は保定装置を装着しますが、こちらは付けたままスポーツを行っていただいて構いません。

マウスピース矯正の場合

マウスピース矯正はそのまま入れたままでプレイしていただけます。破損にだけは注意しておきましょう。矯正期間中同様、マウスガードに付け替えても構いません。

プラスチックのリテーナーの場合

ワイヤーと歯科用プラスチックでできた保定装置(リテーナー)の場合は、破損時に口腔内を損傷する恐れがあるので、プレイ中は取り外します。その際は専用のケースなどを準備して紛失や破損しないように管理しましょう。

小児矯正用の装置の場合

小児矯正(Ⅰ期治療)の可撤式装置は常時装着のものであっても、激しいスポーツ時には取り外しておくことをおすすめします。ご不明点や不安なことは、事前に担当の矯正歯科医師に確認しておきましょう。

まとめ

激しいスポーツであっても、マウスピースを活用したり、矯正方法を工夫すれば、安全に矯正治療を受けていただくことができます。スポーツをしていると歯列矯正をすることをためらわれる方もいらっしゃいますが、スポーツで最大限に能力を発揮するためにも、正しい噛み合わせは大切です。歯列矯正をお考えの方はぜひ治療に取り組んでいただきたいと思います。
気になることはぜひ、担当の矯正歯科医師にご相談ください。

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