インプラント 基礎知識

もしもインプラントが破損したら?気になる修理や再治療について

21.09.28

インプラントは保険適応外の治療ということもあり、治療をお考えの際に「破損したら修理できるの?」「再治療になったら費用はどうなるの?」といったご心配もあるのではないでしょうか。
確かに入れ歯やブリッジといった他の方法に比べ、とても頑丈で寿命が長いとされている修復物ですが、使い方によっては劣化・破損を起こすこともあります。
そこで今回、インプラントが破損してしまった場合の対処いついて解説します。これから治療をお考えの方も、治療後のメンテナンスや破損が起こったときの対応など参考にご覧ください。

インプラントが破損することはあるの?

非常に稀ではありますが、インプラントの人工歯部分(上部構造)が破損してしまうことはあります。
例えば人工歯の素材に使われているセラミックが欠けたりヒビが入ったりといった症状です。
何らかの強い力が加わることで破損につながってしまいます。
また上部構造の寿命は素材にもよりますが、約10年ほどが目安と言われています。
どんなに丈夫な素材でも経年とともに劣化は起こりますので、経年による劣化の破損も考えられます。このような場合には人工歯の交換や修理が必要となります。

  1. 経年劣化以外で破損するケース
  2. 中には、経年劣化以外の要因でインプラントが破損しやすくなり、寿命が短くなってしまうケースもあります。
    例えば咬み合わせが悪く、インプラントに強く当たる噛み方をしている場合や、歯ぎしりや喰いしばり、歯で硬いものを噛むことが多いなど、日常的に過度の負担がかかる要素があると破損しやすくなってしまいます。

  3. 実は「破損」も必要なこと
  4. 上部構造が破損するということは、実はインプラント本体を守ることにもつながります。
    そもそも上部構造も保険で作られる一般的な修復物に比べれば強度は高い装置です。
    ある程度強めの負荷が罹ったからといってすぐに壊れるようなことはありません。
    しかし丈夫過ぎると過度の負荷はインプラント体や顎の骨に伝わり、内部が破損してしまう可能性もあります。
    そうなればインプラントを維持すること自体が難しくなり、撤去や再治療を起こしてしまいます。つまり、ある程度の破損であれば、インプラント体や顎の骨にかかる負荷を逃し、破損を防ぐことにもつながるのです。

  5. もしもインプラントが破損したら
  6. 「破損したかな?」と思ったら、まず調整や簡単な修理で対応できるレベルの破損なのか確認が必要です。
    インプラントは土台となるインプラント体が顎の骨に埋入されているため、撤去が必要なほどの破損はほとんど起こりません。
    もしも撤去・再治療になるとすれば、インプラント周囲炎を起こし顎の骨がインプラントを支えきれなくなっている場合がほとんどです。
    何らかの原因で欠け・ヒビなどが入ってしまったり、不安定になってぐらぐら揺れたり折れてしまったりした場合は、すぐに治療を受けた歯科医院に相談しましょう。

    破損状態ごとの対処法について

    破損の状態によって対処方法が変わります。担当医師の治療方針の違いもあるため、一概に決まった方法があるというわけではありませんが、一般的に行われる対処法をご紹介しておきますので参考にしてください。

    1. 人工歯の破折やヒビ
    2. インプラントは土台部分と上部構造が別で、これらを連結した形状になっています。
      インプラント体に何も問題がなければ、上部構造だけ外し、人工歯部分を修理することができます。

    3. 人工歯と連結部の緩み
    4. 人工歯はインプラント体との連結部である「アバットメント」という部分で繋がっています。
      人工歯が緩んでぐらぐらしていた場合は、再度しっかりと連結させるための調整で済むこともあります。
      連結部が破損している場合は、その部分を修理・調整を行い、人工歯と再度しっかり連結させます。

    5. インプラント体からぐらぐら揺れている
    6. 人工歯の破損もアバットメントの不具合もないのにインプラントがぐらぐら動揺している場合は、インプラントそのものの問題ではなく、支える側の顎の骨に問題が生じています。
      まずはインプラント周囲炎や顎の骨や周辺組織異常がないか確認して原因を特定し、撤去するのか再治療するのか診断することになります。

      再治療になる場合

      再手術は基本的に初めの埋入手術と同じで顎の骨にインプラントを埋め込みます。
      インプラント脱落の原因がインプラント周囲炎の場合は顎の骨が少なくなっていることが多いので、再治療の前に骨を増やす治療や人工骨を移植する手術が先に必要になることもあります。

      1. 再治療は治療を受けた医院へ相談を
      2. 不具合が起こったら、まずははじめに治療を受けた歯科医院に相談しましょう。なぜなら、インプラントによって治療のシステムや使用する器具が違うことがあるため、これまでの流れを把握している医院で治療を受ける方がスムーズに進むことが多いためです。

      3. 脱落の原因はインプラント周囲炎が多い
      4. 顎の骨を溶かすインプラント周囲炎の悪化によって脱落し、再手術もできない場合は、撤去してブリッジや入れ歯など別の修復方法にすることもあります。

      5. 費用はどうなるの?
      6. いくら修理で済むとなったとしても、当初保険対象にならない治療として高額な費用がかかるインプラント治療ですから、費用がどれくらいかかるのか気になるところだと思います。
        多くの医院が、インプラント治療に関して破損時等に備えた保証制度を備えています。
        しかし、決まった制度はなく、医院ごとに設定している場合や、インプラント事態に保証が付いているものなどあり、内容はさまざまです。
        そのため、できるだけ治療前に、破損時の対応や保証内容などは十分確認の上で治療を受けることをおすすめします。

        まとめ

        寿命が長く頑丈だと言われているインプラントでも、何らかの原因で破損することはあります。
        破損は悪いことだけではなく、インプラント本体を守ることにもつながります。
        だからといって、破損に気づかず放置している時間が長いと、修理ではおさまらない事態を招くことになるかもしれません。
        少しでも異変に気づいたらできるだけ早めにかかりつけ医に相談しましょう。
        また、破損や不具合に気づかない場合もありますので、早期発見のためにも歯科医院で定期的なメンテナンスは欠かさないようにしましょう。

                                   記事一覧へ戻る