インプラント お悩み

顎の骨が少ない人でもインプラント治療できる「骨造成」とは?

21.09.26

インプラント治療は、土台となるインプラント体を顎の骨に埋め込まなければならないため、支えるだけの骨の厚みや高さが必要です。ですから、顎の骨が少ない場合治療できないと診断されることもあります。
そのような問題を解説する方法として、インプラントを行いたい部分に「骨造成」をするという方法があります。
そこで今回、骨造成や骨移植について治療の流れやメリット・デメリットなども含め詳しく解説したいと思います。
治療を検討している方はぜひ参考にご覧ください。

「骨造成」とは

インプラント治療は顎に十分な骨の厚みと高さが必要です。そこで、足りない顎の骨を増やすために行われる処置のことを骨造成といいます。この治療によって、インプラントを諦めずに治療を受けることができるのです。

  1. 骨が少ないとどんなことが起こる?
  2. 顎の骨が薄かったり高さが低いままインプラントをするとすれば、インプラント体が顎の骨を突き抜けてしまったり、歯肉から露出してしまったりするでしょう。
    そもそも埋入するための穴を開けることも難しいですし、骨や周辺組織と結合しづらく安定することもできないことが予測されます。
    そこで、インプラントを埋入する前に骨造成手術を施し、インプラントをしっかり安定させるために必要な厚みと高さを補うのです。

  3. どんな人に必要?
  4. 顎の骨が足りなくなる要素はいくつかありますが。大きく分けると2つのパターンが多く見られます。
    ひとつはご高齢の方に多いのですが、長年の入れ歯生活などで刺激を受けにくくなったため、顎の骨が痩せてしまうケース。もう一つは、重度の歯周病で顎の骨が解けてしまったことで歯を失ったケースです。
    他にも抜歯や脱落で歯が抜けたのにそのまま放置していた期間が長かった場合や、腫瘍などの影響で顎の骨の一部を失ってしまった場合など、インプラントを埋め込みたい場所の顎の骨が少ない場合は骨造成治療の対象となります。

  5. 誰でも受けられる?
  6. 喫煙習慣のある方や全身疾患があり手術自体を受けられないといった方は、骨造成手術を受けられない場合もあります。
    喫煙はタバコに含まれる成分で血流が悪くなり、骨や周辺組織の結合や術部の傷の治りを妨げてしまいます。
    また、全身疾患をお持ちで観血的な外科手術を受けること自体が難しい方は、身体の負担も大きくなるので骨造成はもちろん、インプラント埋入手術も受けられない場合があります。ご希望の方は問診時に必ず状況をお話しいただきご相談ください。

    骨造成法の種類

    骨造成の方法として行われる治療は主に2つです。全般的に行われるGBR法(骨誘導再生法)と、上顎に行う場合のサイナスフト法です。それぞれの方法を解説します。

    GBR法(骨誘導再生法)

    歯ぐきを切開し、インプラントする場所の顎の骨が不足している部分に自分の骨(自家骨)や人工的な骨(骨補填材)を充填し、人工膜「メンブレン」で覆います。歯ぐきを閉じてその後数か月、顎の骨が再生・増骨される期間を置き、安定するのを待ちます。厚みや高さが安定したらインプラント埋入手術を行います。

    サイナスリフト法

    この方法は上顎の骨が不足している場合に行われる「上顎洞挙上術(じょうがくどうきょじょうじゅつ)」といわれる治療です。上顎は鼻のそばにある上顎洞という空洞が近いため、個人差はありますが下顎に比べるともともと顎の骨が薄い傾向にあります。この部分の骨の厚みを安定する厚みにしておくことで、インプラントを安定して埋入できる状態にする治療です。

    骨造成法のメリット・デメリット

    骨造成はインプラント治療ができないであろうと判断されても、治療を受ける可能性の広がる画期的な治療方法です。
    とはいえ、そのためには外科治療を行う必要があり、メリットだけでなくデメリットも含め治療内容について十分な理解が必要です。

    メリット

    最大のメリットは、骨の厚みや強度を確保することで、インプラントができないであろうと判断されるほど骨が少ない人でもインプラント治療を受けることができるようになることです。
    単体だけでなく多数歯治療の場合でも対応できる可能性も広がります。
    また、これまで骨が少ないことで歯ぐきが痩せてバランスが悪かった歯茎が元の高さに戻るので、審美的回復も期待できます。

    デメリット

    通常のインプラント治療でも歯ぐきの切開や顎の骨の切削をするための外科処置を行いますが、骨造成が必要な場合、その前に同じような外科処置をすることになるため、2度の手術が必要です。術後の腫れや痛みも起こりますから、身体的な負担はインプラント手術のみの場合よりもかかります。
    骨造成後半年くらいは増骨し組織との結合や安定するまでの期間を設けますから、その後インプラント治療となれば、完了までに長期間を要することは覚悟が必要です。

    治療の流れ

    1:麻酔
    局所麻酔を行い治療開始です。外科手術への恐怖心が強い方は「静脈鎮静法」を行う場合もあります。

    2:歯肉切開
    骨造成を施す骨のある部分の歯ぐきを切開して露出させます。

    3:骨の切削
    上顎洞に行うサイナスリフトの場合、骨を一部削り、上顎洞を覆っているシュナイダー膜という粘膜を露出させ剥がします。

    4:骨移植
    骨が薄くなっている場所に、事前に採取しておいた自家骨や骨補填材を充填し、「メンブレン」という人工膜で覆います。人工膜のメンブレンで覆います。

    5:縫合
    切開した歯ぐきを戻し、縫合して終了です。

    6:再生期間
    骨が再生し安定するまで約半年ほど待ちます。個人差があるので実際の治癒機関はかかりつけ医に確認しましょう。その後インプラント埋入手術へと移ります。

    まとめ

    インプラント治療を行っている医院すべてが骨造成を行えるわけではありません。
    骨造成をおこなっていない医院で治療相談された場合、インプラントできないという診断を受けることもあるでしょう。
    そのような方がインプラント治療を諦めずに済む方法が骨造成です。骨造成することでインプラント治療が可能であれば、治療の選択肢が広がります。
    そして治療後は、しっかり噛める歯や整った歯茎を手に入れることができます。
    ご自身のライフスタイルや健康状態と併せて十分ご検討いただき、取扱い医院にぜひ一度相談されてみてください。

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