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矯正治療を受けるときに親知らずは抜歯しなければならないのか?
21.05.16
矯正治療を受ける前に親知らずの抜歯は必要なのでしょうか。
親知らずといえば「虫歯になりやすい」「変な方向に生える」といった不具合が多く、抜歯に至る人も多い歯です。
そこで矯正治療を行うにあたり、現状特に問題がなくても事前に抜歯すべきなのか、また、抜歯していないと矯正治療や治療後に歯並びに影響を与えてしまうことがあるのかなど、矯正治療前に知っておきたい、親知らずの対処についてお話したいと思います
親知らずとはどんな歯?
親知らずは中央の前歯から数えて8番目に生える歯で、上下に2本ずつ計4本ありますが、4本すべてがほかの歯のように生えそろうことはあまりありません。
7番目の歯が12歳前後に生えそろってからしばらく間が開いて、20歳前後の忘れたころに生えることが多いことが「親しらず」と言われている語源です。正式には「第3大臼歯」といいます。
- トラブルが起きやすい歯として有名
- 埋伏したままや存在しない人もいる
- 問題なければそのまま生えていても問題ない
- 親知らずがあっても矯正治療は可能です
- 歯並びに影響を及ぼしている原因となっていれば抜歯する
- 親知らずを抜いてスペースを確保したい場合は抜歯する
- いずれ影響を与えるかもしれない場合も抜歯を提案されることがある
現代人はだんだん顎が狭くなりがちで、親知らずが7番目の歯の横にきちんと揃って生えることは少ないのが現状。横向きに生えたり、斜めに生えて7番目の歯を押してしまうような生え方も多いのはそのためです。
歯磨きがしづらく虫歯になりやすかったり、手前の歯を横から押してしまい、そのしわ寄せで前歯の歯並びが悪くなってしまうといった不具合を起こしてしまいます。
中には、親知らずが生えない人もいます。レントゲンを撮ってみると、親知らずの頭の部分(歯胚)はあるのに歯根が形成されておらず、そのまま埋伏したままの状態です。
また、親知らず自体が形成されておらず退化してしまっている人もいます。持っていない人は矯正治療で影響を及ぼすことはありませんが、歯胚がある人は経過を観察しなければなりません。
親知らずというと抜歯のイメージが強い歯かもしれませんが、特に何の問題もなく7番目の歯の横に揃って生えている場合は、抜歯は必要ありません。もし虫歯になっても、ほかの歯と同様に削って埋める治療を行います
矯正治療前に必ず親知らずを抜歯するのか
では本題の矯正治療に関してですが、親知らずがあると矯正治療には何らかの影響を及ぼすのでしょうか。また、親知らずがある場合は、矯正前に必ず抜歯しなければならないのでしょうか。
矯正治療をするにあたり「親知らずがあるからできない」といったことはまずありませんのでご安心ください。もしも途中で生えてきたとしても、治療を中断して抜歯するといったようなこともありません。
親知らずはそもそも歯列矯正の対象外となっている歯ですので、途中で生えてきても矯正装置をつける必要はないのです。
歯並びが悪くなってしまった原因が確実に親知らずにあると判断した場合は、矯正治療前に抜歯を行うことがあります。矯正治療を行っても治療がなかなか進まないか、もしくは後戻りしてしまう可能性が高いからです。
例えば、親知らずが横向きに生えていて、前の歯を押している場合、いくら矯正治療で重なった部分を整えても、後ろから押される力がなくならない限り歯は再び押されてしまいます。
このように、歯並びの乱れの原因となっている場合には事前に抜歯を行うことがあります。
前歯にスペース不足が起こっている場合、奥歯を抜歯して後方へ下げる治療を行うことがあります。その際は親知らずがあると下げるスペースんい限界があるため、スペース確保のために抜歯するのです。そもそも親知らずは矯正装置を付ける対象の歯になっていないので、矯正前に抜歯することもあれば、矯正期間中に抜歯を行うこともあります。ここは矯正歯科医の判断により見解が異なる場合もありますので、治療の経過と矯正期間中の追加処置の必要性等に関しては十分理解できるように説明を受けておきましょう。
今は特に前の歯を押していなかったり、歯根が形成されていない状態で歯ぐきの中に埋伏している状態だったとしても抜歯対象になることもあります。
例えば、埋伏している歯胚の向きが7番目の歯の方向を向いて横向きだった場合、将来的に移動して7番目の歯を押してしまう可能性もゼロではありません。
矯正治療後に後戻りの原因になる可能性があれば、前もって抜歯しておくことを提案されることがあるでしょう。歯科医師によって見解が異なる場合がありますので、治療方針など事前に十分理解した上で抜歯をするかどうか判断してください。
矯正治療に伴う親知らずの抜歯についてのQ&A
矯正治療のための事前準備として親知らずの抜歯を行う場合に、患者さまからよくいただく疑問や質問にお答えします。
〇Q:矯正治療のために親知らずの抜歯する際の費用は保険診療ですか?
親知らずの抜歯に関わらず、矯正治療をおこなうために必要な処置については保険適応外となりますので、全額自己負担となります。そのため、スペース確保のために奥歯の抜歯も必要となれば、その費用も同じです。
ただし、親知らずがひどい虫歯だった場合、「矯正前のタイミングでもあるので、装置をつける前に抜歯しておきましょう」というようなケースであれば、虫歯治療の一環としての抜歯ということで保険適応で行えることもあります。
抜歯の費用に関してはお口の状況によっても異なるため、担当の歯科医師に都度確認しておきましょう。
〇Q:矯正歯科で抜歯してもらえないのですか?
抜歯は矯親知らずの抜歯は、他の歯に比べて難しいケースも多いです。歯の頭の部分(歯冠)がまっすぐに生えていれば問題ありませんが、横を向いて生えていたり、顎の骨の中に埋伏しているケースもよくあります。このような難しいケースの場合は一般的な歯科でも取り扱えないことも多く、設備の整った大学病院や、口腔外科治療が得意な一般歯科で行うことがほとんどです。矯正歯科専門の医院の場合、基本的に抜歯は行わず、そのような医院に紹介となります。
まとめ
矯正治療を行う際には、スペース不足解消のための抜歯はよくある事前処置です。特に親知らずは複雑な生え方をすることも多く、中には矯正治療に影響を及ぼすケースもあるでしょう。
とはいえ、抜歯することのリスクも考慮して、親知らずを残したまま矯正治療できるケースもありますので、矯正歯科医の見解とご自身の希望など、事前に十分な説明を受け、理解した上で抜歯・日抜歯などの選択を行うようにしましょう