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矯正治療で起こりえるトラブルの原因や対処法とは?
21.01.15
矯正歯科では通常、歯科医師がしっかりと精密検査を基に計画を立てて行います。しかし時に、計画通りに治療が進まないことや、思っていたような効果が得られない状況も起こることがあります。このように矯正歯科での「トラブル」にはどんなものがあるのでしょうか?原因や対処法なども併せてご紹介しますので、これから矯正をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
矯正歯科で起こるトラブルにはどんなことがある?
歯列矯正を行って起こるトラブルについては、原因もさまざまあるでしょう。ここでは起こりやすい具体例をいくつかご紹介しますので、参考にご覧ください。
- 計画していた時期になっても終わらない
- 正中にズレがある
- 歯列のゆがみが起こってしまった
- 後戻りをおこしてしまった
- 歯が弱ってしまった
- 虫歯や歯周病が起こってしまった
- 医院とトラブルで通院継続できなくなった
矯正がなかなか思ったように進まず、何年経過しても気になる部分が整わないといったトラブルがあります。想定されていた年数を大幅に経過して撤去時期がずれてしまい、結婚や就職といった計画があった場合に間に合わないというケースもあるでしょう。
歯並びは整ったものの口の中心となる正中(せいちゅう)がズレた仕上がりになってしまった状態です。歯は整って並んでいればよいのではなく、前歯の中心が鼻の下の人中(じんちゅう)と合っていることが上下左右全体的なバランスの条件とも言えます。ズレがあるということは、噛み合わせにもズレが起こっている可能性が高いので、顎のズレによる顔の歪みや頭痛・肩こりといったトラブルの要因になりかねないのです。
矯正治療を継続している中で前歯が出てきてしまうことで出っ歯や開咬といった歯列のゆがみを起こすことがあります。そうなると口元が閉じにくくなったり、食べ物が噛み切れないといったトラブルにつながってしまいます。また、噛む時の圧力が奥歯に大きくかかるため、奥歯が悪くなる要因にもつながってしまいます。
一旦綺麗な歯並びと正しい噛み合わせになったのに、歯が元の場所に戻ろうと動いてしまう「後戻り」を起こしてしまうことがあります。後戻りを予防する保定装置をきちんと使えていなかったり、歯並びを歪ませてしまう悪習癖が改善されていないと起こりやすいので、矯正装置撤去後も注意が必要です。
矯正治療で歯に力を加えて動かしたことで、歯の根っこに負担がかかりぐらつくトラブルを起こすことがあります。また、矯正によって噛み合わせが変わったことで顎に負担がかかり顎関節症になってしまうケースもあります。口を開けると痛みを生じたり、顎関節付近で雑音がするといったトラブルにつながることもあるのです。
矯正期間中に装置が邪魔をして歯磨きが行き届きにくくなります。そこで虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます。矯正専門の医院では虫歯治療を行っていない医院もあるため、治療のために別の医院も並行して通院することになることもあるのです。
矯正治療は年単位の治療期間になることがほとんどです。途中で医院の方針や治療に不信感を感じたりトラブルになってしまって通院継続できなくなった場合、別の医院へ転院が気軽にできる治療ではありませんので、治療がストップしてしまいます。
なぜトラブルが起こってしまうのか
先にご紹介したような矯正治療におけるトラブルはなぜ起こってしまうのでしょうか?考えられる原因を挙げてみました。
- 難しい歯並びの場合
- 抜歯を伴う矯正治療かどうかの判断
- 後戻り対策が上手くいかなかった
- 装置が邪魔で歯みがきが上手くできていなかった
- 歯科医院との信頼関係ができていない
かなり重なりが強い叢生(乱ぐい歯)や、噛み合わせた際に上下の歯列に隙間ができている開咬(かいこう)といった歯並びは、噛み合わせのズレや顎の歪みも伴っているケースも多いです。また、外科治療が必要になることもあり、治療期間も長くかかってしまうことが多い傾向があります。
矯正治療において、歯が並ぶスペースを確保するために抜歯が必要かどうか判断します。歯科医師の精密検査による判断と実際歯を動かした場合にズレが生じていた場合、抜歯したのにうまく並ばなかったり、抜歯をしなかったことで並びきれなかったというトラブルにつながることがあります。抜歯をするか・しないかの判断はとても重要で、歯科医師の技術や経験が問われる部分でもあります。
矯正で整えた歯並びは、装置撤去後に元の位置に戻ろうとして動いてしまいます。そこで矯正終了後は保定装置という着脱可能な装置を一定時間装着しながら日常生活を送る「保定期間」が必要です。この保定期間が適切に行われなかったり、自己判断で外す時間が長かったりすると、後戻りを起こしてしまうことがあるのです。
矯正装置、特にブラケットとワイヤーを用いる矯正は取外しができませんので、装置の凹凸やワイヤーが邪魔して歯垢が残りやすくなってしまいます。矯正期間中は通常とは違う歯磨き法や特殊な形状の歯ブラシを使いますが、それらを自宅でしっかり取り組んでいないと磨き残しが多くなり、虫歯や歯周病を起こしやすくなってしまいます。
全てのトラブルに通じることとも言えますが、長期通院になることは確実ですので、しっかり信頼できる医院で治療を受けていただきたいと思います。
どんな歯並びになるのか、どんな装置を使うのか、どれくらいの期間を要するのか、治療費はどれくらいになるのかなど、不明点がないようにしっかり確認しておきましょう。
また、長期通院を考えると、院長先生やスタッフ、医院の雰囲気などご自身とのフィーリングが合う医院でないと長続きは難しいでしょう。
トラブルが起きたらどうしたらいいの?
矯正治療中にトラブルを感じてしまったら、どうしたらよいのでしょうか?
- まずはかかりつけ医院に相談してみる
- セカンドオピニオン
矯正治療は「気に入らないから続きから他院で」といったことが難しい治療です。
まずは現在抱えてしまったトラブルを解決できるかどうか、かかりつけの歯科医院に相談してみましょう。治療に関しては再治療をおこなったり、意思疎通ができていなかった場合はしっかり話すことで解決することもあります。
もしも通院中の歯科医院への不安要素がどうしても拭えない場合は、「セカンドオピニオン」をすることもできます。矯正治療もさまざまな方法があり、また治療法でも得意分野や専門医の称号の有無などもありますので、セカンドオピニオンとして他院へ相談してみるのも方法のひとつです。
まとめ
矯正治療は治療期間も長く、保険適応外ですので費用も高額な治療です。納得のいく治療を受けるためにもトラブルは避けたいと思うのは当然ですが、残念ながらトラブルがゼロというわけではありません。
これから矯正治療をお考えの方は、まず医院探しの時点からご自身の希望や症状、通いやすさなどを考慮して選定していかれることをおすすめします。