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格安マウスピース矯正で歯列矯正を受けるってどうなの?
23.09.24
近年、安い費用で行えるマウスピース矯正についてよく耳にするようになりました。従来のワイヤーを使った矯正のように目立たず、さらに安く治療ができるとなれば、気になる方も多いのではないでしょうか?当院でもマウスピース矯正を導入しているため、費用についての質問をお受けすることもあります。
そこで今回は「格安マウスピース矯正(LCM)」についてお話したいと思います。マウスピース矯正をお考えの方にぜひ参考にしていただきたいと思います。
格安マウスピース矯正はなぜ安くできるの?
LCM(ローコストマウスピース)と呼ばれるマウスピース矯正は、従来の相場費用の1/3くらいの費用で行えるものもあることから、これまでにくらべて費用面での敷居が低くなり、希望者が増えている治療法です。
まずはじめに、なぜ従来の相場よりも費用が低いのかをご説明します。
〇中間コストの削減によるもの
従来は各クリニックがマウスピースメーカーへ製造の発注を行うものが主流でしたが、近年、自社で製作することなどからこのような中間コストを削減し、その分費用を下げることができるようにしているものもあります。中には、自身で歯型を採って送るメーカーもあるようで、歯科医院で行う歯型採りや3Dスキャンなどの費用を安くすることができます。
また、メーカーによっては仕入れ数が多いことで費用が安くなるものもあり、症例数が多い医院ではその分費用を下げることができるということもあるようです。
〇矯正できる範囲が限定されているため
歯列矯正治療には、奥歯を含め全体的に歯を動かす「全体矯正」と、気になる部分だけを限局的に動かす「部分矯正」があります。
ワイヤーの場合でも、部分矯正は動かす範囲が少ないため治療費が安く、治療期間も短く済むため、調整費を合わせてもトータルで費用を抑えることができます。
マウスピース矯正の特性上、複雑な歯並びは適応できないこともあり、部分矯正対応のメーカーの場合は必然的に費用は安くなります。
〇モニター価格で治療を受ける場合
歯科矯正を行っているクリニックの中には、モニター価格を設定しているところもあります。
治療中や治療完了前後の写真を資料として提供したり、治療アンケートの回答をすることを条件に、通常の歯科矯正料金よりも安くなるキャンペーンを利用した場合、何割かお安く治療を受けることができます。
格安マウスピース矯正の注意点
「同じマウスピースを使った矯正なら、安いほうが良い」
そう思うのは当然なことだと思います。
ただ、すべてのマウスピース矯正が、どのような歯並びでも治療できるということではありません。
格安マウスピース矯正を検討する際に注意していただきたい点をお伝えします。
〇自身の歯並びに適しているか確認しましょう
先述しましたように、マウスピース矯正はたくさんの種類があり、メーカーごとに治療できる症例も異なります。多くの格安マウスピースが「部分的な治療」に適していることが多いです。広告されている費用だけで決めるのではなく、まずは取扱い医院でカウンセリングを受け、自身の歯並びに適しているのか確認しましょう。
〇基本費用だけで終るか確認しましょう
広告やHPに掲載されているのは「基本的な費用」であることがほとんどです。
例えば初期費用が安くても、交換用アライナーの枚数が少なく、継続して治療を受ける場合には追加購入が必要という場合もあります。
また、開始したものの思うように歯が動かないので、顎を拡大する装置や歯を削る処置(IPR)、奥歯の抜歯が必要になることもあります。追加の装置や施術費用がかかる可能性があるのかどうかも事前に確認しておくことをお勧めします。
〇通院頻度やトラブル時の対応を確認しましょう
格安マウスピースの中には、通院頻度が少なく自身で管理することでコストカットを行っているものがあります。安く・気軽に取り組むことができる反面、「装置に違和感がある」「装置が壊れた」といったトラブル時に、すぐに受診できない可能性もあります。また、定期的な通院間隔が長いことで、咬み合わせの不具合や計画通りに動いていないことにも気づかないというリスクもあります。通院頻度は適しているか、急なトラブル時には対応してくれるのかなども事前に確認しておきましょう。
〇予約は取りやすい?
格安マウスピース矯正のコストカットの方法としてお話したように、沢山のマウスピースの注文をすることで仕入れ値を下げることができることがあります。費用が安いこともあり、人気の医院では患者数が多く、学校や仕事で受診できる時間が限られている人は思うように予約が取れないという声も耳にします。定期的なチェックは治療の成功のためには必要ですし、メーカーによっては交換用アライナーを受診時にお渡しということもあるので、治療を計画的に進めるためにも予約の取りやすさも重要になります。
まとめ
格安マウスピース矯正は必ずしもNGというわけではありませんが、適した症例の方には条件があります。歯を正しい位置に並べることができるだけのスペースが確保できることと、咬み合わせに問題がない場合です。条件に合っていないのに始めてしまうと、思うように歯が動かなかったり、中途半端なところまで動いて終ったりと、治療の失敗を招く恐れがあります。
「歯列矯正をしたい」とお考えの方の歯並びは、噛み合わせのずれを起こしていることも多く、多くが奥歯も含め全体的に動かす事が必要な症例です。「安さ」だけで治療開始をきめるのではなく、まずはご自身の歯並びに最適な治療法を矯正歯科医院でご相談することから始められてはいかがでしょうか?