インプラント お悩み

インプラント治療を受ける前に知っておきたい インプラントと感染症の関係性

22.11.30

インプラント治療で一番注意したいのが「感染症」と言っても過言ではないでしょう。
感染症によって、インプラント治療が成功するか失敗するかが決まります。また、治療後の感染症はインプラントの寿命も左右します。そこで今回は、インプラントと感染症の関係について詳しく解説します。インプラントを健康に長く使っていただくためにも、ぜひ参考にお読みください。

インプラントと感染症の関係

歯科用インプラントは、失った歯を補う方法として、入れ歯やブリッジに比べて天然歯に近い見た目と噛み心地などの機能性から、昨今注目されている治療です。外科手術を伴うため、術中術後にインプラント埋入部が細菌に感染してしまうと、何らかの問題につながる可能性があります。
なぜインプラントが感染し、問題が起きてしまうのでしょうか。要因は以下の3つが考えられています。

要因1:インプラント治療後のメンテナンス不足

どんなに歯科医師が十分な感染対策を行い適切な治療を行っていたとしても、患者さん自身が術後のメンテナンスを怠ってしまうと術後感染を起こすことがあります。これを「インプラント周囲炎」といいます

<術後に細菌感染を起こしてしまう事例>

・術後に患部を不衛生な指で触ったり、不用意に舌で刺激してしまうと傷口から細菌感染する可能性があります
・強くうがいをしたり、歯磨きでブラシの毛先を患部に当てると、傷口を治すための血餅が剥がれてしまい、傷の治りが遅れ、その分細菌感染が起こるリスクが上がってしまいます
・雑菌が繁殖した歯ブラシによる歯磨きや、日々の口腔ケアを怠ると、口腔内の菌が繁殖して感染しやすい環境になります
・順調に抜糸が終わった後の定期健診を怠ると、歯ぐきが炎症を起こしていることに気づかず、インプラント周囲炎を発症してしまうことがあります

要因2:歯科医院の感染対策不足

インプラント治療は外科手術を伴うため、衛生管理には十分な配慮が必要です。歯科医院は衛生管理されている手術室や個室等で治療を行ったり、歯科機材、道具、材料など滅菌・消毒を十分に行ったうえで治療にあたります。
しかし残念ながら、中には対策が不十分なことから、手術中に細菌感染してしまうこともあります。歯科医院は目に見えない菌やほこりが舞っている可能性もあるので、これらに対する対策をどれだけどのように行っているのか、事前にHPで確認したり、実際に足を運んでカウンセリングを受けるなど情報収集をして医院を決められることをお勧めします。

要因3:患者の健康状態

患者さんの免疫力や抵抗力が低下している状態で治療を受けると、傷口の治りが悪かったり、細菌への抵抗が出来なかったりと、感染のリスクも高くなってしまいます。
インプラントを埋入する部位には、上顎洞という骨の空洞があります。ここは細菌感染を起こしやすいので、近い場所に埋入する場合、歯科医師は慎重に治療を行います。もともと上顎洞が炎症を起こしやすい体質の方もいるので注意が必要です。
インプラント治療を受けるにあたっては、全身の健康状態も整えて臨むことをお勧めします。

インプラントが感染症を起こしたらどうなる?

インプラントが細菌感染を起こしてしまったとき、まず術後すぐの場合には痛みや腫れを伴うのですが、1週間~10日で治まるはずの腫れや痛みが長引き、もしくは酷くなることがあります。また、インプラント体を顎の骨に埋入後は骨と結合するのを数カ月待つのですが、インプラントが骨となかなか結合せずいつまでも動揺したり、膿が出るなどの症状が出ることもあります。

インプラント治療が無事に完了した後も油断は禁物です。先にお話したように、メンテナンスを怠れば、歯垢汚れや歯石から細菌が出す毒素によって歯ぐきが炎症を起こします。歯周ポケットが広がるとインプラント体に細菌感染が起こり「インプラント周囲炎」を起こして顎の骨を溶かし、インプラントを支えられなくなることもあります。

正しいケアで感染症を予防しましょう!


インプラント治療の成功と、健康で長持ちさせるためには、感染症を予防していくことが重要なポイントです。歯科医院では定期健診を設けていますが、患者さん自身でもできるケアがあります。

術後の注意点をしっかり守ってケアしましょう

インプラント埋入後すぐは細菌感染しやすい時期です。術後の過ごし方やケアの仕方、注意点など歯科医師やスタッフから説明があります。傷口が早く良くなるように、注意点を意識して正しいケアを行いながら生活しましょう。

お口の中を清潔に保ちましょう

お口の中が不衛生になると当然細菌感染のリスクは高くなります。インプラントは見た目は天然歯に近い修復物ではありますが、インプラント体と顎の骨、歯ぐきを繋ぐ周辺組織までは再現できません。
そのため、天然歯よりも歯周ポケットが開きやすく細菌も侵入しやすいため、意識してお口を清潔に保つケアを行っていただきたいと思います。

歯科医院で定期健診を受けましょう

どんなに頑張ってもセルフケアには限界があります。どうしても落としきれない汚れが蓄積してしまうこともありますし、磨き癖がある場合には、一部に汚れが残りがちになります。
定期的に歯科医院でインプラントのチェックに加え、歯ぐきに炎症がないか、歯磨きは十分に出来ているかなど確認してもらいましょう。何か不具合があっても早期発見・早期対処ができます。また、定検診では歯科衛生士からクリーニングをしてもらったり、歯磨き指導をしてもらったりすることもあるため感染症予防につながります。

まとめ

インプラント治療は修復物の中では丈夫な装置ですが、外科手術を伴うことや、人工物が顎の骨に埋まっていることなど、細菌感染のリスクは十分に注意しないと不具合を起こすことがあります。健康に使うことができれば10年以上は長持ちするとされ、海外では40年も長く使ったというデータがあります。長持ちの秘訣は感染症にならないことが重要なポイントです。感染対策が十分行われ、適切な処置が受けられる医院で治療を受け、その後は正しいメンテナンスを継続することで、インプラントを健康に長持ちさせましょう。

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