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インプラントを撤去しなければならなくなった! その理由とは?
22.10.30
インプラント治療は「丈夫な修復物」というイメージありあせんか?
しかし何らかの原因で、せっかく治療したインプラントを撤去するという事態になることもゼロではありません。保険適応外で高額な費用を支払うことになる修復治療ですので、できれば撤去なんてことになりたくありませんよね。
そこで今回、インプラント治療後、撤去しなければならなくなる症状や理由を中心にご紹介します。インプラント治療をお考えの方は、治療後のメンテナンスのことも事前に知っていただくきっかけにしていただければ幸いです。
インプラントを撤去しなければならなくなる原因
では、どのようなことが原因でインプラントを撤去しなければならないほどの事態になってしまうのでしょうか。よくある原因をご紹介します。
〇インプラント周囲炎
インプラントのトラブルで最も多いのが「インプラント周囲炎」です。この症状は天然歯でいうところの歯周病と同じような症状で、装置周辺が歯垢や歯石で汚れたまま担っていると、歯ぐきが細菌感染を起こして炎症します。進行すると排膿を起こしてインプラント体を支える顎の骨が溶けてグラグラし始めます。悪化するとインプラントを維持することができなくなり、脱落したり撤去せざるを得なくなってしまうのです。インプラントは顎の骨に埋まっているので丈夫ではありますが、天然歯に比べて「歯根膜」や「シャーピー繊維」というクッションの役割をする組織がないため細菌感染を起こしやすく、ダメージを受けやすいので、症状の進行も速い特徴があります。
インプラント周囲炎は初期には自覚症状が無く、痛みや腫れが起こったときにはすでに悪化しているということが多いので、日々のセルフケアと定期的なメインテナンスがとても重要になります。人工物は天然歯よりも汚れが付きやすいので、毎日の歯磨きは細かく丁寧に磨く必要があります。とはいえ、磨き癖や歯ブラシの毛先が入りにくい部分はどうしても汚れが残りがちになるので、定期的に歯科医院で歯磨きの仕方を確認してもらい、適切な磨き方のレクチャーを受けたり、落としきれていない汚れをクリーニングしてもらったりといったプロフェッショナルケアを受けることも大切です。
〇インプラントの破損
インプラントがこれ以上維持出来なくなるほどの破損が起こってしまった場合、撤去せざるを得ない場合があります。
インプラントは3部構造に分かれていて、根っこの役割をする「インプラント体」、人工歯との連結を行う「アバットメント」、歯ぐきから上の歯の部分を人工物で補う「上部構造」となっています。人工歯部分の上部構造の一部が欠けたりヒビが入ってしまった程度であれば作製しなおして再装着することができますが、インプラント体部分が破損してしまった場合には修理することが困難となり、撤去することになってしまいます。
破損が軽度な場合は自分で気づきにくいことも多いので、定期健診を受けていると早期に発見でき、軽い修復で済むこともあります。しかし、気づかずそのまま噛んでいると大きな破損になってしまうこともあるので、できるだけ早期に対処するためにも、定期健診は欠かさず受けることが装置を長持ちさせることになります。
〇インプラントが細菌感染を起こしてしまった
インプラント体を埋入する外科手術を行う際、衛生管理が十分でないことからインプラント体が細菌感染してしまうことがあります。そのまま手術を終えると内部で炎症を起こし、術後の腫れがいつまでもひかない、痛みが継続する、もしくは酷くなるといったような症状が続きます。悪化すると内部に膿が溜まり、インプラント体がいつまでも安定しないため、最悪の場合には撤去しなければならなくなってしまいます。
このような事態が起こらないように、歯科医院では手術に関して徹底した感染対策を行います。通常は滅菌した器具、使い捨てできるもの(グローブやマスク、手術着など)は都度交換するなどの対策を行いますが、飛沫感染などのリスクもあるので、空調や口腔外バキュームなど、インプラント治療を受ける歯科医院選びには十分に設備が整っているところを選ぶことをおすすめします。
〇神経麻痺が起こってしまった
ほとんど起こらない事ではありますが、術後にしびれや麻痺が起こってしまうことがあります。これは、インプラント体を埋入する際に、下顎部分にある「下顎管」という動脈や神経が通る場所を傷つけてしまったことが原因です。傷ついても数日で麻痺が落ち着くことがほとんどですが、麻痺がずっと残る場合は、インプラントを撤去することになります。
通常は術前に神経の位置をCT画像撮影など行って把握し、埋入角度や深さをシュミレーションして、神経や血管を傷つけないように行われますが、まれに歯科医師のミスで起こってしまうことがゼロではありませんので、これまでの経験や症例数、医院の設備内容なども医院選びの際に参考にされることをおすすめします。
〇金属アレルギーを発症してしまった
インプラントは身体との親和性の良い素材として「チタン」を用いることがほとんどです。金属アレルギーも起こしにくいため、インプラントをしたことで金属アレルギーを起こすことはまれですが、もしも金属アレルギー症状が出てしまう場合には、原因となるインプラントの撤去を余儀なくされてしまいます。
術前に金属アレルギーがあることが分かっている場合には、きちんと主治医に申請しておきましょう。
もしもこれまでは無かったという方でも、金属アレルギー症状が落ち着かない場合には、残念ですが撤去することになり、再度インプラント手術をすることは難しいでしょう。
インプラントは世界に多くの取扱いメーカーがあり、日本では厚生労働省が、身体に安全な素材でできたインプラントと認定したメーカーもあります。金属アレルギーを発症した場合は、もしかすると純度の高いチタンを使っていない可能性もあり、混合物にアレルギー反応しているかもしれません。
費用が安い場合などは特に注意して、使用されるインプラントメーカーや治療後の保証内容など確認しておかれることをおすすめします。
まとめ
インプラントは適切なメインテナンスやホームケアを継続して行ってれば、良い状態で長く使うことができる装置です。ただ「丈夫だから」「治ったから」と侮ってしまい、メインテナンスやケアを怠ると不具合につながり、最悪の場合は撤去しなければならなくなるケースもあるので注意が必要です。
また、まれではありますが、インプラントが破損したり細菌感染を起こしたことから不具合につながることもありますので、取り扱っているインプラントの素材や医院の導入している検査機器なども十分に納得した上で治療を受けましょう。