インプラント お悩み

インプラント術後の過ごし方とは? やっていい事ダメな事

22.07.31

インプラント治療は、失った歯の修復治療として最も天然の歯に近い見た目と機能回復ができる装置といわれています。平均寿命は10~15年以上といわれており、インプラント発祥のアメリカでは、患者さんがお亡くなりになるまで40年使い続けたという事例もあります。とはいえ、これだけ丈夫な装置ですが「術後の過ごし方次第で寿命を縮めてしまうことになってしまう」ということもあるため、治療後のメンテナンスが重要です。
そこで今回、インプラント治療術後にやっていい事やダメな事をご紹介します。治療後末永くお使いいただけるためにも、ぜひ治療前に参考にしていただければと思います。

インプラント治療とはどんな治療?

まずはインプラント治療がどんな治療なのか、充分理解することから始めましょう。
インプラントは歯科医院で行う治療ですが「外科手術」を伴います。ですから、削って詰める虫歯治療とは違って、最終的に治療完了まで治療回数が数回に渡りしばらく期間がかかります。
インプラント治療の流れは概ね以下のとおりです。

1.術前カウンセリング

まずはじめに充分なカウンセリングを行います。インプラント治療はどのような治療なのかの説明を受け、その後は歯の状態、口腔内の状態、全身の状態に至るまで、手術に関わることを確認します。
そして、最終的にインプラント手術可能と判断されたら、患者さまが治療を受けるかどうか最終確認を行います。

2.術前検査

虫歯や歯周病の有無の診察、CTによる顎骨や内部組織の画像診断、血液・心電図などの臨床検査などを行います。

・虫歯や歯周病診査
虫歯や歯周病がある場合は、インプラントの結合に支障をきたす要因になってしまうことがあるため、事前に治療を済ませてから手術を行います。
・CTによる顎骨や内部組織の画像診断
インプラントを顎骨内に穴を開けて挿入しますので、CT画像を基に神経や血管を傷つけないように施術するためのガイドを作成します。また、顎骨や周辺組織の状態も確認できますので、治療に耐えうることができる状態であるかどうかも確認します。

・血液・心電図などの臨床検査
インプラント体を埋め込む外科手術を行う際には、歯ぐきの切開や顎骨の切削など、観血処置となります。手術に耐えうる健康状態であるかどうか、持病などに影響を及ぼさないか等、事前に充分な診断を行います。

3.インプラント埋入手術

①麻酔
インプラントの埋入手術は麻酔下で行います。虫歯の治療等で行う局所麻酔で行うこともありますが、歯科治療への恐怖心の強い方や緊張しやすい方などの対処法として「静脈内鎮静法」を行うこともあります。
②インプラントの埋入
歯ぐきを切開し、顎の骨に穴をあけてインプラントを挿入します。
インプラント治療には手術が1回で済む「1回法」と2回に分けて行う「2回法」があります。1回法は最終的に被せる人工歯との連結部分(アバットメント)が一体型になっているインプラント体を埋入し、歯ぐきの上部に装置が出ている状態で手術完了です。2回法はインプラント体を埋め込んだ後歯ぐきを縫合し、インプラント体と骨が結合するのを待って再度切開し、2回目の手術でアバットメントを取り付けます。どちらの方法で行うかは顎の骨の状態によって歯科医師が提案します。

4.上部構造の装着

インプラント体と顎の骨がしっかり結合する期間や歯ぐきが治るための期間を置いて、人工歯を装着します。

5.定期メンテナンス

インプラント埋入治療の後は、定期的なメンテナンスが必要になります。適切なケアを継続しないと、インプラントは天然歯よりも周辺組織が歯周病になりやすいからです。「インプラント周囲炎」と呼ばれ、罹ってしまうと顎の骨を溶かしてインプラントの維持を妨げてしまうこともあります。
術後すぐは1カ月後、3か月後というような短いスパンでの来院が必要ですが、その後問題なければ半年~1年置きくらいの間隔になることがほとんどです。

術後やっていい事ダメな事

メリットとデメリット
それでは本題です。先述したように、インプラントは丈夫な装置とはいえ、外科手術が必要なことや治療後の経過観察を怠ると、インプラントの維持が難しくなってしまう事態も起こります。
保険適応外で高額な費用がかかるインプラント治療が、わずか数年で脱落や撤去しなければならなくなってしまったら…と考えると、術後のメンテナンスはしっかり行いたいものです。他にも術後インプラントの維持に影響を及ぼすことになりかねないこともありますので、参考にしていただければと思います。

術後当日から食事が可能です

術後当日から食事はできるのでご安心ください。ただし、歯ぐきの切開などを行った後ですので、傷口に刺激があるものは控えるようにしましょう。例えば香辛料の多く使われているものや、噛む力が大きく必要になる固い食材、アルコール類などは傷の治りを妨げてしまいます。術後は痛みや腫れが起こりやすいので、おかゆやスープ、柔らかく煮たうどんなど、噛む力があまり必要ないものを食べてしのぐとよいでしょう。約1週間~10日程度で徐々に傷口の腫れや出血は落ち着きます。

歯磨きは傷口に注意して行いましょう

傷口や腫れの治りをよくするためにも口腔内を清潔に保つことは大切です。術後、歯科医師もしくは歯科衛生士から歯磨きの仕方について説明があると思いますので、傷口に当たることが怖いと思われるかもしれませんが、注意して歯磨きしましょう。うがい薬や専用歯ブラシなど、インプラント治療後の歯磨きに役立つ清掃補助具を教えてもえることもありますので、必要に応じて併用するのも良いでしょう。

手術当日はお風呂は控えましょう

身体を温め血流が良くなると、傷口から出血が止まりにくくなってしまいます。傷口の治りも遅くなってしまうため、当日は入浴は控えていただくよう歯科医師から指示があると思います。次の日からシャワーはOKですが、2~3日は湯船につかるのは控えておいたほうがよいでしょう。

次の日からの仕事は条件付きでOKです

術後入院の必要はなく、お仕事もしていただけます。とはいえお風呂と同じく、傷口や腫れの治りを悪くしないためにも、活動量は多くないお仕事であれば大丈夫です。力仕事や接客業など、身体を大きく動かすお仕事は注意が必要です。せめて次の日だけでもお休みされることをお勧めします。

喫煙習慣のある方は注意が必要です

喫煙しているとインプラント治療の成功率が低くなってしまうことから、禁煙は術前から始まります。愛煙家の方にとってはきついことかもしれません。「術後だったらいいのでは?」と思ってしまいそうですが、タバコに含まれる成分がインプラントと骨との結合を妨げてしまうため、引き続き喫煙は控えていただくように注意があります。インプラント治療成功のためにも、状態が安定して歯科医師からOKが出るまでの我慢です。

人工歯装着後は歯科医院の定期健診を受けましょう

人工歯が付いて固いものも食べられるようになると「治療が終わった」と安心してしまいがちです。しかし、口腔内が不衛生になるとインプラント周囲炎も心配ですし、人工の装置ですからネジのゆるみなどから破折などを起こすことも考えられます。定期的に口腔内を管理してもらうことで、不具合の早期発見・早期治療につながります。

まとめ

インプラント治療の歯科医院の選び方
インプラント治療は術後のメンテナンスや生活習慣が成功を左右してしまいます。術後は顎の骨とインプラント体がしっかり結合するため、また、上部構造の人工歯が付いた後は、装置が長持ちするために、術後やっていい事、ダメな事を押さえて歯科医師からの指示やメンテナンスを行っていきましょう

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