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八重歯は不正歯列!? 矯正治療で治す必要性とその方法とは
21.12.30
八重歯は「可愛らしさの象徴」とされることがあります。しかし、八重歯は本来並ぶべき場所からはみ出して生えてしまった歯並びで「不正咬合」のひとつです。
そこで歯科では、虫歯や歯周病になりやすい歯並びであることからも、矯正治療をおすすめしています。
今回は八重歯に焦点を当てた矯正治療についてのご紹介です。
八重歯になる原因や、八重歯は治した方がいいのか、どんな治療法になるのかなど、矯正治療をお考えの方はぜひ参考にご覧ください。
なぜ「八重歯」になるの?
「八重歯」とは、糸切り歯が歯列よりも上の方から生えた状態をこう呼びます。
これは永久歯へ交換順が関係していることと、顎の成長弱く顎が狭いことで、歯が並びきれずに八重歯になってしまうのです。
八重歯になるのは「生え変わりの順番」が関係しています
八重歯は、中央から数えて2番目の前歯(側切歯)と4番目の奥歯(第一小臼歯)の上あたりから糸切り歯(犬歯)が生えてしまう歯並びです。本来、糸切り歯も側切歯と第一小臼歯の間に並ぶはずなのですが、入り込むスペースがないため、仕方なく上部から出てきてしまいます。
乳歯が永久歯と生え変わるのは、まず真ん中の前歯(中切歯)から始まり、次に側切歯が抜けます。
しかし、その次に犬歯ではなく、ひとつ奥の第一小臼歯が先に交換して生えてきます。
また、6歳前後に乳臼歯の後ろに第一大臼歯が生え、この歯を噛み合わせの中心として前にある乳歯が生え変わるため、顎の成長が弱く狭い歯列になっていると、側切歯と第一小臼歯が生え変わる時に犬歯が入るスペースが無いといった状態ができてしまうのです。
なぜ顎の成長が弱くなってしまうのか
顎は生後すぐから成長を始め、縦と横に広がります。これらは授乳時の上顎と舌によって加わる力や、食事で顎を動かすことによって成長が促されますが、成長を促す口腔機能があまり使われていないと、顎は成長が弱く小さな顎になってしまうのです。
顎の成長が小さくなる例としては、以下のようなことが考えられています。
・乳首を顎にしっかり押し当てて授乳できていなかった
・卒乳が遅く、離乳食をあまり食べていない
・固いものをあまり食べず、柔らかいものばかり食べていた
・常に口呼吸になっている
他にも、おしゃぶりを日常的に長い期間使用したり、指しゃぶりをするなど、顎の筋肉が緊張し顎の骨を圧迫する力がかかることも成長を妨げてしまうことになります。
また、乳歯に虫歯が多かったり、早期に抜歯したりすると、乳歯の位置にズレが生じ、永久歯が出てくるスペース不足を起こして八重歯になってしまうこともあります。
「乳歯はいずれ抜けるから」と放置してしまうと、永久歯の歯並びに影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
八重歯の治療方法
八重歯はスペース不足が主な原因ということはお解りいただけたと思います。
「飛び出ている部分だけを抜けばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、歯は上下左右に対象となる歯が噛み合うべ
き場所で噛むことで機能するため「邪魔な部分だけ抜く」では解決しません。
特に八重歯になる「犬歯」は、上下左右に1本ずつしかない歯で、歯並びのカーブの部分に位置します。
そのため機能性と審美性(見た目)を考慮し、抜歯することはほとんどありません。八重歯は歯列矯正で治療でき、方法は主に2つあります。
奥歯を抜歯してスペースを確保する
犬歯の両側にあるべき歯(側切歯と第一小臼歯)の間に八重歯を戻すスペースが無い場合がほとんどです。
そこでスペース不足解消のために第一小臼歯を抜歯して、そのスペースに八重歯になっている犬歯を移動させます。
ワイヤーで歯を誘導する方法や、マウスピースによる圧力を利用して歯を動かす方法が主な矯正方法です。
歯の横幅を小さくする
八重歯の程度があまり強くない場合には、抜歯せずに歯を並べることができる場合があります。
そのままの顎の大きさに歯をならべてしまうと、前にせり出して出っ歯になってしまう可能性が高いため、歯の両側を少しだけ削って歯の横幅を減らすことでスペースを作ります。
前歯6本の両サイドを0.2~0.5mm位、歯質に支障のない程度削ることで生じるスペース内に八重歯になっている糸切り歯が入るスペースができる場合に行われます。「スライス」や「非抜歯矯正」といわれる方法です。
八重歯を矯正治療で治す方法
では、八重歯を矯正治療する方法を具体的にご紹介します。ご希望の矯正方法を検討される際の参考にご覧ください。
表側矯正(ワイヤー矯正、ラビアル矯正)
表側矯正は、最もスタンダードな矯正方法です。ブラケットという装置を歯に取り付け、ワイヤーで連結し、歯を並べたい位置に誘導します。
ブラケットとワイヤーは銀色の物がスタンダードですが、装置が目立ちにくいように透明や白いブラケット、ホワイトワイヤーが選択できる医院もあります。
裏側矯正(リンガル矯正)
裏側矯正は、ブラケットとワイヤーを歯の裏側に取り付け、ワイヤーの力で歯を動かす方法です。
動かす方法は表側矯正と同じですが、矯正装置が目立たないので、矯正治療中であることに気づかれにくいメリットがあります。
ただし、取り付けや調整に高度な知識と技術を要するため、どの矯正歯科でも取り扱っている方法ではありません。ご希望の場合には事前に確認が必要です。
マウスピース矯正
マウスピースで動かしたい歯に力を加え、定期的に交換しながら徐々に歯を動かしていく方法で、近年取扱い医院も増えてきています。
透明で薄い素材でできたマウスピースは取り外しも可能なため、治療中の見た目が気になる方や、お掃除のしにくさなどが懸念点となっていた方に選ばれています。
ただし、ワイヤーのように細かな調整が難しく、歯並びや骨格的な変形がある場合などはマウスピース矯正が適応できないケースもあります。
まとめ
八重歯が「かわいい」の象徴といわれるのは、実は日本独特の考え方です。欧米では八重歯は不正歯列として、大多数は子供のころから矯正治療で治しています。
もちろん感じ方は人それぞれですので、八重歯をチャームポイントと考える方もいるでしょう。
とはいえ、歯列からずれて高い位置に歯が生えていることや、歯列のアーチ部分にある歯であることなどから歯磨きしづらく磨き残しが多くなってしまうのも事実です。
虫歯や歯周病のリスクを考えると、歯科的には矯正治療の対象となります。気になる方はぜひ矯正歯科にご相談ください。