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抜歯と同時治療できる「即時インプラント」について知りたい!
21.08.25
抜歯と同時にインプラントを埋め込む「抜歯即時インプラント」という方法があります。
この方法は、抜けてしばらく経った部分にインプラントを行うよりも効果的なメリットがあることから、これから抜歯する予定の方がその後の修復方法として検討していただく際におすすめの方法です。
そこで今回、何らかの要因でやむを得ず抜歯予定となってしまい、抜歯後インプラント治療をお考えの方へ、「抜歯即時インプラント」について詳しくご紹介したいと思います。
抜歯即時インプラントとはどんな治療?
抜歯即時インプラントはその名の通り、抜歯を行ったと同時にインプラントも埋入する方法です。
通常は抜歯を行った後は歯ぐきや顎の骨の回復を待って行われます。
そのためインプラント治療開始まで2ヵ月から、長いと半年ほど待たなければならない場合もあります。
治療が完了するまでとても長くかかりますし、歯が使えない期間の不自由さを感じて生活しなければなりません。
しかし即時抜歯インプラントは、抜歯後にすぐインプラントを埋入するため治療期間の短縮につながり、患者さまのご負担の軽減につながる治療だといえます。
対応できる場合とそうでない場合があります
とはいえ、抜歯即時インプラントは誰でも受けられる治療ではありません。
抜歯と同時にインプラントを埋入するためには、それに耐えうる健康な顎の骨と周辺組織でなければ行えないのです。
インプラントを支えるための顎の骨が少ない場合や、病的な歯茎や歯周組織である場合はインプラントが安定しないため、即時抜歯インプラントができないと診断されます。
抜歯の理由が歯周病の方は特に、歯周組織や顎の骨が破壊されている可能性があります。
ご希望の場合、まずはご自身の状況で抜歯即時インプラントができるかどうか確認が必要です。
抜歯即時インプラント4つのメリット
抜歯即時インプラントが受けられると診断された方はぜひ検討していただきたい治療ですので、「なぜ抜歯後すぐにインプラントを埋入することが良いのか、以下にメリットをご紹介します。
- 骨が痩せることを予防できる
- 骨の再生治療をしなくて済む
- 機能・審美性を確保できる
- 術後の痛みが少なくて済む
抜歯をして歯を失った部分の歯槽骨は、歯が無い期間が長くなるとだんだん痩せてしまいます。
抜歯即時インプラントを行えば、歯槽骨に何もない時期がなくなり、骨が痩せることを予防することができます。
歯を失って期間が経過していると、骨がインプラントを支えられないと判断された場合、骨造成や骨移植など、骨の再生治療を先に行わなければならなくなります。
治療期間がさらに長くなってしまいますが、即時インプラントはその必要がありませんので、治療期間短縮にもつながります。
通常のインプラントは埋入後しばらく仮歯を入れずに、インプラント体が安定するまでの期間を置きますが、即時インプラントはサージカルガイドを用いて仮歯を事前に作成しておくことができます。
そのため、埋入後すぐに仮歯を入れることができ、審美的にも機能的にも歯が無い不自由を感じることが少なくなります。
歯を失っている部分にインプラント行う場合は、埋入部の歯ぐきの切開と顎の骨の切削を行います。
抜歯即時インプラントは抜歯と同時治療で行えるため、あらためて歯ぐきの切開や骨の切削など行わなくて済む分、術後の痛みが少ない傾向にあります。
抜歯即時インプラント以外の治療法との比較
もちろん、抜歯即時にインプラントを入れなくても、歯を失った部分の修復方法は他にもあります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、事前によく検討されてください。
入れ歯
抜歯後、歯茎の状態が良くなってから行う治療です。損失部に人工的な歯と歯茎の形状をした装置を歯ぐきの上に乗せ、両側に歯が残っていれば金属のバネをかけて固定します。
インプラントのための外科手術を行わずに済みますが、歯茎や歯槽骨が痩せると歯ぐきとの接触面が合わなくなり都度調整が必要になります。
また、歯茎の部分も覆うため入れ歯が目立ったり、健康な歯に負担をかけることになります。
ブリッジ
入れ歯同様、抜歯後歯茎の状態が良くなってから行う治療です。
両側の健康なを少し削り、連結した形状の修復物を作製して装着します。
入れ歯のように外れませんし、歯茎部分を覆うことはありません。
しかし、両側の歯も装置を被せるため負担がかかりますし、失った部分の歯茎が痩せると人工歯と歯ぐきの間に隙間ができ、虫歯や歯周病の要因になることもあります。
抜歯即時インプラントにデメリットはある?
抜歯即時インプラントは、歯を失った後すぐに機能・審美敵に回復をしたいとお考えの方には最適な治療とお伝えしましたが、あえて「デメリット」となる可能性もお伝えします。
これには個々の状況やお考えに違いがあると思いますので、ご自身のライフスタイルに合わせて参考にされてください。
費用が高い
抜歯即時インプラントに関わらず「インプラント治療」は保険適応の治療ではありません。
そのため、費用は保険の入れ歯やブリッジに比べると高額になります。
不具合が起こったら修理が難しい
装置が顎の骨の中に埋まっていますので、もしも不具合が生じた場合、入れ歯やブリッジのように外して修理が容易にできません。
まとめ
インプラントは他の歯に負担をかけることもなくしっかり噛むことができる機能を再現できる治療法です。
失った歯の修復方法として、機能・審美性ともに優れていますし、特に抜歯即時インプラントは、埋入のための外科手術をしなくて済むことや治療期間の短縮にもつながることから、インプラントをお考えの方にはおすすめの方法といえます。
もちろん、入れ歯やブリッジにも保険適応外の素材を使って作製できる良い機能性のものもありますが、経年とともに顎の骨や歯ぐきの衰退は起こります。
インプラントは歯槽骨に人工歯根が埋まっていることで骨が刺激され、骨や歯茎の衰退の予防にもつながります。
もしも抜歯しなければならなくなった時には、その後の修復方法について十分理解した上で、10年後、20年後も見据えてご検討いただければと思います。