インプラント 基礎知識

治療前に知っておきたい!インプラント治療にはどんな設備を使うの?

21.01.19

インプラント治療を検討されている方の不安なことのひとつとして「どんな設備や器具を使うのか分かりにくい」ということがあります。通常行われる虫歯治療などとは違い外科的な治療を伴うと聞くと、未経験の方は不安になられることもあるのではないでしょうか。そこで、インプラント治療に使われる設備や器具などを、治療の流れに沿ってご紹介します。治療前にぜひ参考にご覧ください。

まずはインプラント治療の流れを理解しておきましょう

インプラント治療は虫歯治療などの一般的な治療とは異なり、事前に精密検査や治療計画、外科手術による土台埋入、人工歯の装着の治療完了まで通院期間が長くかかります。
どのような流れで治療が行われるのか分かっていると、使用する器具や設備も理解しやすくなりますよ。

  1. 事前検査とカウンセリング
  2. インプラントは顎の骨に土台を埋め込む手術が必要となるため、事前の精密検査が重要となります。肉眼で見えない部分ですから、さまざまな検査で事前にシュミレーションをおこない、安全に埋入できるように準備を行います。

  3. 必要であれば歯周病治療、造骨・骨移植などの処置を行う
  4. もしも歯を失った理由が歯周病の悪化の場合、現状も歯周病を発症していたり、顎の骨が破壊されていることも考えられます。その場合すぐにインプラント埋入ができませんので、歯周病の治療や、骨が薄くなっている部分の造骨・人工骨の移植などを先に行う場合があります。

  5. インプラントの土台(フィクスチャー)となる人工歯根を埋入する外科手術
  6. インプラントを支える土台となる人工歯根を埋め込む手術を行います。歯茎を切開して顎の骨に穴を開け、人工歯根(フィクスチャー)を埋め込みます。
    外科手術には1回法と2回法があり、1回法は人工歯根にアバットメントという連結部分も接続された土台を埋め込み、歯茎の上に出た状態にします。2回法は人工歯根のみ埋め込み、一旦歯茎を縫合して土台が顎の骨と結合するまで様子を見ます。
    どちらの方法で行うかは、患者の口腔内の健康状態によって異なり、歯科医師から提案があります。

  7. 土台を安定させるための期間
  8. 埋め込まれた人工歯根は徐々に顎の骨や周辺組織と結合します。お口の状況によって個人差がありますが、3カ月から半年ほどどのまま様子を見ることが多いです。
    この間、順調に結合しているか、不具合が起こっていないかなど定期的に歯科医院でチェックを行いながら間をおきます。

  9. 人工歯(上部構造)の装着
  10. 土台が安定したら、いよいよ人工歯(上部構造)の装着です。
    1回法ではそのまま人工歯を装着しますが、2回法の場合は土台が歯茎の下にあるため、再度切開しアバットメントを装着する外科手術が必要となります。

  11. 定期的なメンテナンス
  12. 人工歯が装着されたら終わり。ではなく、定期的にインプラントの状況をチェックしメンテナンスを行う必要があります。不具合やインプラント周囲炎の早期発見・早期対処を継続することで、末永く健康にインプラントを維持することができます。

インプラントに用いられる設備・器具のご紹介

〇検査・診査・診断に用いられる設備

  • レントゲン設備
  • インプラント治療は顎の骨に土台を埋入するため、必ずレントゲンでのチェックは欠かせません。治療前には骨の状態や口腔内の健康度の確認。正しい位置に埋入されたかどうか確認のためにも撮影します。

  • 歯科用CT
  • インプラント治療は精密な挿入位置や角度、深さなどが求められるため、CT画像を用いて3次元の情報を基に検査・診断を行います。顎の骨(歯槽骨)の厚みや高さ、血管や神経の位置などもしっかり把握し、安全性の高い治療へ繋げます。

  • インプラントシステム
  • インプラントのナビゲーションシステムです。インプラントは肉眼で見えない部分の治療となるため、インプラント埋入位置や角度、深さなどを確認するために用いられます。術前にCTのデータをチェックすることができ、高度な技術が必要となる外科手術には必要不可欠な装置といえます。

  • 3Dコンピューターシュミレーションソフト
  • CT画像を再構築して3D化し、手術のシュミレーションが行えるソフトです。診断や治療計画の立案、術中ミスの予防に役立てることができるため、より安全性の高い治療を提供できます。

  • 咬合力測定器
  • 噛み合わせのバランスや力のかかり具合を計測する器械です。インプラント埋入後に上部構造に大きな負担がかかると破折や土台に悪影響を及ぼすこともあるので、事前にチェックすることもあります。

〇外科手術に用いられる設備

  • 手術室
  • 医院によって違いますが、個室の手術室を設けている歯科医院もあります。空調設備や消毒・滅菌機器も手術室専用にあることで、外科処置中に空気感染等を予防するためにも安心・安全に手術することができます。

  • 麻酔
  • インプラントの外科手術は麻酔科で行われます。通常の虫歯治療などで用いる局所麻酔だけではありません。電動麻酔器や全身麻酔(笑気や静脈内鎮静法)など、患者の恐怖心や緊張の度合いなどによって使い分けされます。

  • マイクロスコープ
  • インプラントのような細かい作業を伴う治療には、高度な技術が必要となります。マイクロスコープは肉眼で確認できない患部を鮮明に拡大することができ、より細やかで正確な治療を行うために役立ちます。

  • 生体モニター
  • 手術中の患者の容体を常に確認できるよう、心拍数や血圧、心電図、酸素飽和度を測定しながらおこなう場合があります。

    〇滅菌・消毒に用いられる設備

    • 滅菌機器
    • インプラント治療の際に使用する器具を滅菌するための設備は必須です。術中だけでなく、検査や術後の定期検診に至っても、インプラントの細菌感染を予防するために、用いられるピンセットやミラーから、切削に使うエアタービンなど、歯科用器具もすべて滅菌処理されたものを用います。熱に弱い器具に関しては消毒液で対応します。

    • ディスポーザブル可能なものは使い捨て
    • 医療従事者としては当たり前のことですが、細菌感染予防のために、使い捨てできるものは1人の患者に対して1回の処置で使い捨てで対応します。グローブやマスク、エプロン、バキュームの先端など、医院によってどこまで対応するかは違いがあります。

    まとめ

    今回はインプラントでよく用いられている設備についてご紹介しましたが、これは一般的によく使われるものばかりです。他にも細かく検査や診断に用いるためにさまざまな設備を導入している医院もあります。
    インプラント治療は豊富な知識だけでなく高度な技術が必要になる治療です。そのため、どれだけ安全性の高い治療を受けることができるかということも、治療後のトラブルリスクを減らすことに繋がります。治療をどの医院で受けるか選定する時、参考にホームページなどで設備もご覧になってみてくださいね。

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