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インプラントで気になる「被せ物」はどんな素材でできているの?
20.11.25
インプラントによる歯冠部分の修復は、他の修復方法であるブリッジや入れ歯と違い、保険が使えない装置です。そこで、さまざまな材料から選んで作成しています。
しかし、インプラントの被せ物とはどんなものか、どんな素材を使っているのかご存知で無い方も多いでしょう。そこで「被せ物」はどんな素材でできているのか詳しく解説します。どの素材で仕上げるのか、選ぶ基準などにもご活用ください。
インプラントの上部構造について
インプラントは失った歯全体を再現する人工物です。インプラントの土台を顎の骨に埋め込む手術を行いますが、骨と結合したあと。人工歯の被せ物を土台に被せて治療完了となります。
- インプラントの「被せ物」ってどこのこと?
- 被せ物はさまざまな種類があります
- 金額の差は「インプラントの種類」が関係しています
インプラントは全体が3部構造になっており、歯根部にあたるフィクスチャー(インプラント体)、歯冠部にあたる上部構造(人工歯)、フィクスチャーと上部構造をつなぐアバットメント(歯台)の3パーツに分かれています。被せ物といわれるのは、この「上部構造」のことです。歯でいうところの「見える部分」のことです。
インプラントの被せ物は自身の天然歯に近い色に合わせた白い素材で再現します。
保険適応外の治療のため、歯科医院によって取り扱うインプラントの種類はさまざま。数百種類あるといわれるインプラントから医院ごとにどのメーカーを取り扱うのか厳選しています。
歯科医院のホームページなどで価格表を見ると、1本数万円の格安のものから、50万円ほどかかるものまで幅広く「何が違うの?」と感じると思います。
インプラントの金額の差は、埋め込むフィクスチャーの金額の差や、被せ物に使われる素材の差です。高い材料を使ったものは、それに比例して治療費が高くなります。
インプラントの被せ物に使われる素材にはどんなものがある?
上部構造には、どんな素材が使われるのでしょうか。医院によって取り扱っている場合といない場合があり、すべてが選択できるわけではありません。
またインプラントを入れる部位によって、硬度の関係もあり、使えるもの・使えないものなどもあります。素材が選択できる場合には歯科医師より提案があるため、その中から選択することになります。
- オールジルコニア
- オールセラミック
- ジルコニアセラミックス
- ハイブリットセラミック
- メタルボンド
- 金属製
白く修復できる素材の中で、いちばん強度に優れている素材です。歯の再現性が良く、歯肉との境界も自然な仕上がりになります。硬度が高い分、奥歯のインプラントに向いています。セラミック同様、金属アレルギーの心配もいらない素材です。素材の価格としては高価なため、費用は高額になります。
セラミックとは、天然歯に近いツヤや透明感がある素材です。100%セラミックで製作する被せ物は、見た目や硬度共に、より天然歯に近い再現性が期待できます。その分、費用は高額になることが多いでしょう。
金属を一切使っていないので、金属アレルギーや経年によるイオン溶出などの心配もありません。摩耗は少ないので傷には強いのですが、破折しやすい素材ではあるため、奥歯のインプラントで使用する場合は耐久性など注意が必要です。
人工歯の内部にジルコニアを用いて強度を増し、表面を天然歯に近い材質のセラミックを用いた人工歯です。セラミックとジルコニア双方の良い特徴を兼ね備えているので、インプラントだけでなく、さまざまな修復方法に活用されています。
セラミックと「レジン」という虫歯治療に良く用いられる歯科用プラスチック素材が混合された素材です。セラミックの良さである、天然歯のような透明感や光沢が再現できつつ、混合物であるため価格はオールセラミックよりも比較的安価で製作できます。
レジンは経年と共に色が付くため、周辺の歯と色の差が気になることもあります。
耐久性はオールセラミックに比べて欠けやすくなりますが、レジン特有の操作性で、お口の中でそのまま修理できる簡易さはメリットとして挙げられます。
内側に金属を使い、外側表層をセラミックで作った被せ物です。差し歯などでもよく用いられる製作方法で強度があります。オールセラミックに比べて費用は比較的安くなります。
ただし内側が金属なので、歯ぐきとの融合性が悪い場合、歯ぐきの変色の原因になることもあるため注意が必要です。
全体的に金属でできている人工歯です。強度があるため割れにくいのがメリットですが、目立つので前歯には使えません。費用は材料の中では一番安価で製作できます。また、金属アレルギーの方は使えない素材です。経年劣化も考えられるので、将来的に作り替えが必要になる可能性もあります。
被せ物を長持ちさせましょう!
インプラントの被せ物は、保険治療でおこなう銀歯や差し歯などに比べて丈夫な傾向にはあります。メンテナンスをしっかり行えば、10年後でも90%以上が維持されているというデータもあります。しかしあくまでも人工物ですから、ケアをしっかり行わなければ長持ちしません。インプラントを健康に長持ちさせるには、メンテナンスが重要です!
- 正しいホームケアを継続しましょう
- 歯科医院で定期的なメンテナンスを継続しましょう
インプラントの被せ物は虫歯にはなりませんが、オーラルケアを怠れば周辺を支える組織が歯周病と同様の症状を招きます。歯茎が炎症を起こしてしまうとインプラントを支えている顎の骨が溶け、インプラントが脱落してしまうこともあるのです。
被せ物と歯茎との境部分は歯垢が付きやすい場所ですので、ブラッシングはていねいに行ってくださいね。
どんなに頑張って歯磨きをしても、汚れは6割しか落とせないと言われています。
インプラントした部分は天然歯と比べて歯周病が進行しやすいため、「インプラント周囲炎」になりやすくなります。定期的にプロによる歯垢や歯石のクリーニングを受けて歯周病ケアをおこないましょう。定期的に通院することで、もしもインプラントに不具合が起こっている場合も早期に対処することができます。これも長持ちの秘訣です。
まとめ
インプラントの被せ物は、修復する場所に合わせてさまざまな特徴の素材を歯科医師が選んでご提案します。素材によって特徴や強度が違うため、提案された中から強度や自身の予算なども加味して選ぶことになります。
また、保険の効かない自費治療でもあるため、治療後はしっかりメンテナンスをおこない、長く健康に使えるようにしましょう。