歯科コンテンツ
CONTENTS
インプラントの治療期間はどれくらいかかる? 治療の流れと期間の目安
20.09.29
インプラントがしたいと思っても、治療期間がトータルでどのくらいかかるのか分かりづらいので踏み出せないという方もいると思います。
そこで、インプラントの平均的な治療期間や治療のプロセスを、治療の流れに添ってご紹介したいと思います。
治療を検討されている方はぜひ参考にされてくださいね。
インプラントの治療期間は3ヵ月~1年が平均です
インプラントは虫歯の治療のように、削って型取りをして、次の来院時には被せるというような短い機関で治療が終わることはありません。
なぜなら、インプラントは人工歯を被せるまでに
- 土台となる人工歯根を埋入する
- 人工歯根が骨と結合するまでの期間を置く
- 人工歯根と人工歯を結合するための装置を取り付ける
といった何段階ものプロセスを踏まなければならないからです。
■3ヵ月~1年と差があるのはなぜ?
治療期間に差があるのは、個々の口腔内の健康状態に差があるためです。
顎の骨がしっかりしていて歯ぐきも健康な方は、すぐに埋入手術が受けられますし、骨と人工歯根の結合も早く進みます。
逆に歯ぐきが歯周病であったり顎の骨が溶けて薄い方は、歯ぐきの治療や造骨手術を先に行ったり、骨との結合期間も長くかかることがあるためです。
インプラントの治療の流れとそれぞれにかかる治療期間
では具体的にインプラント治療の流れに沿って、そのプロセスと治療期間をご紹介していきましょう。
■治療計画と精密検査:通院回数2~3回、通院期間2日~2週間
インプラント治療では、人工歯根を埋入するための外科手術を伴います。
そのため、治療前に口腔内や顎の骨の現在の状況や健康状態を細かく確認することが重要です。
レントゲンやCT撮影、口腔内模型などを用いて患者の状況把握と治療方針を決定します。
このタイミングで治療法や費用、通院期間などの説明と患者の意思の確認などを含めたカウンセリングを行い、同意が得られた場合は治療開始です。
■事前治療:状態が改善されるまで
事前治療とは、治療計画の段階で人工歯根埋入手術を受ける前に治療が必要な項目があった場合に行われます。
歯周病で歯茎の状態が悪い場合には事前に治療が必要です。また、重度の歯周病で顎の骨が少なくなっている場合には、造骨治療や人工骨埋入手術を行うこともあります。
必要が無い場合には、この期間を必要としないので、すぐに埋入手術に入ります。
■人工歯根埋入手術:1日
インプラントの土台となる人工歯根(フィクスチャー)を顎の骨に穴を開けて埋入する手術です。
手術には1回法と2回法があり、口腔内の状況などによって歯科医師が判断し提案されます。
朝から始まることが多く、麻酔を使って行われますが入院は必要ありません。
- 2回法:通院回数4~6回、通院期間3~7ヶ月
- 1回法:通院回数1~2回、・通院期間1日~2週間
まず1回目の手術で人工歯根を顎の骨に埋入し、安定するまで歯肉を縫合して定着期間を置きます。手術時間は1~3時間です。
その後土台が安定した頃、再度歯ぐきを切開して人工歯根を露呈させ、そこに人工歯と連結させる装置のアバットメントを装着する2回目の手術を行います。
口腔内の環境を考え、細菌感染のリスク回避や人工歯根の安定を図るために2回に分けた方がよいと判断された場合に行う方法です。
埋入手術の際、人工歯根と接続部となるアバットメントが一体型になったフィクスチャーを一度に埋入します。埋入手術の時間は2回法の1回目とさほど変わりません。
アバットメントを装着する処置を省略できるため、手術が埋入時の1回で済みます。
これは顎の骨がしっかりと安定しやすい方や、装置が歯茎から出たままになるので、細菌感染のリスクが低い方でしか施術することができません。
■インプラント定着期間:3~6ヶ月
2回法で手術を行った場合は、1回目と2回目の間に3~6カ月の定着期間が必要です。
この期間は人工歯根と顎の骨が結合するための期間で、定着期間に個人差があるため歯科医師が期間を提案します。
2回目の手術に関しての所要時間は30分程度で終わります。その後は人工歯を被せるまでの期間を1~6週間開けてセットを行います。
■人工歯をセットする:1日
1回法、2回法どちらも、インプラントの土台が安定し切開した歯ぐきの傷口が治ってから人工歯をセットします。
噛み合わせの確認をおこない、人工歯をアバットメントと連結させて終了です。
インプラント治療期間が追加される要因
インプラントの治療期間が長くなる要因として、さまざまな追加治療を必要とする場合は、その分の治療期間が追加されて長くなります。
■顎の骨を増やす治療:通院回数2~4回、通院期間…4~7ヶ月
骨移植やサイナスリフト、ソケットリフトといわれる骨移植や骨造成手術を行ってから埋入手術をおこなう場合にこの期間が追加されます。
■骨誘導再生(GBR):通院回数2~4回、通院期間3~6ヶ月
インプラントを埋入し、そのタイミングで薄い骨の部分に骨補填剤を入れ、人工メンブレンという材料で覆います。これで骨の再生を誘導し、インプラントの安定と同時に薄くなった部分の補填も行う方法です。顎の骨を増やした後埋入を行う方法よりも少し期間が短くなります。
■歯ぐきの移植手術:通院回数2~4回、通院期間1~2ヶ月
重度の歯周病により、歯ぐきが下がったり痩せたりする症状が進んでいる場合、インプラントを安定させる顎の骨が露呈してしまうため、歯肉移植手術をおこなう場合があります。
歯肉が安定するまでに要する期間を置いてから埋入手術をおこないます。
治療後は定期的なメンテナンスが必要です
インプラントの治療自体は、人工歯が装着されたら終わります。
しかし、インプラントは適切なメンテナンスを行わないと、不具合を起こしてしまうことがあるため、定期的な検診と日々のセルフメンテナンスが必要となります。
■定期検診を受けましょう
インプラントは人工物ですが、天然歯と同じように歯周病様の症状が起こります。
これをインプラント周囲炎といいます。
治療後に口腔内が不衛生になると、歯ぐきが炎症を起こしてインプラント体に感染します。歯周病と同じように歯ぐきが炎症を起こして顎の骨を溶かし、インプラントを支えきれなくなると脱落してしまうこともあります。
まとめ
インプラントは、確かに治療期間が長くかかる治療です。
ですが、機能性・審美性全てにおいて、どの修復方法よりも天然歯に近い回復が期待できます。
生涯おいしく食事ができ、見た目も美しい状態を継続できるメリットを考えると、治療期間がかかったとしても行う価値はとても高いと考えます。
インプラントが気になっている方は、治療期間の目安を加味し、ご自身のライフスタイルに合わせてぜひご検討ください。