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悪化すると歯を失う怖い病気⁈ 歯周病の原因と症状を知りましょう
20.09.29
日本人が歯を失う原因第一位を知っていますか?実は虫歯でも、事故による破折でもなく「歯周病」なのです。
今回は歯周病の原因とその症状を進行度熱にご紹介します。ご自身にもしも心当たりがある場合は、ぜひ受診の目安となりますので、参考にお読みくださいね。
歯周病はどんなことが原因で起こるのか
歯周病の原因には、直接的な原因と間接的な原因があります。この2つが重なり、さらに症状を放置していると悪化を招いてしまうのです。
歯周病の予防や症状の悪化を防ぐためにも、まず歯周病の原因を知ることから始めてみましょう。
■歯周病の直接的な原因とは
歯周病の直接的な原因は、歯の表面に付着するプラーク(歯垢)です。
プラークはお口の中の常在菌の宿巣となっていて、磨き残しがあるとどんどん増殖してしまいます。
このプラーク中に含まれる歯周病の原因菌が出す毒素によって、歯ぐきが炎症を起こしたものが『歯周病』なのです。
■歯周病の間接的な原因とは
歯周病の進行は、プラークの沈着だけでなく、他のさまざまな間接的因子によって進行しやすくなることがあります。これを「リスクファクター」といいます。
リスクファクターはお口の中の環境の差や、生活習慣や持病などの全身的なものがあります。
- 環境的因子
- 全身的因子
お口の中が不衛生であったり、不適合な修復物や装置が入っている場合。また、歯並びが悪いなど、プラークが付きやすい(付いたまま)の状況は、歯周病の進行を促してしまう因子となっている可能性があります。
睡眠不足やストレス、運動不足といった生活環境の場合、唾液の分泌が減ることなども関係し、お口の中の環境が悪くなる可能性があります。
また、持病で飲んでいる薬や、女性ホルモンのバランスの変化、喫煙習慣なども歯周病を悪化させてしまう要因になるともいわれています。
歯周病になるとどんな症状が起こるの?
歯周病が悪化すると、歯が抜けてしまうと聞いたことはありませんか?
進行して歯ぐきの腫れや出血、痛み、排膿などの症状で気づきはじめる人が多く、それでも放置していると一旦痛みが治まる場合もあります。
これは治ったのではないのですが、症状が軽くなったことでさらに放置すると、歯を支えている顎の骨が溶け、歯がぐらつき、最終的には脱落することもあります。
■歯周病の症状の分類
歯科では、歯周病の進行度によって4段階で表されます。
「歯肉炎、歯周炎軽度、中度、重度」という進行段階に、それぞれどのような症状があるのか分類されています。
それぞれの段階によって症状や治療方法に違いがあります。
歯周病の進行度とそれぞれの症状を知っておきましょう
歯周病は歯肉炎と歯周炎の総称です。
段階によって目安の症状や治療法などがありますので、症状に気付いた場合にはできるだけ早期に歯科を受診していただきたいと思います。
症状を知っておくと初期症状にも気づきやすくなりますので、ぜひ参考にしてくださいね。
■歯肉炎(P1)
歯と歯の間や歯と歯茎の境目にプラークが残っていることで、慢性的に細菌の出す毒素が歯茎に炎症を引き起こします。
この初期の状態を「歯肉炎」といい歯周病の第1段階です。この時期に歯周病であるということに気付く人はあまりいません。
- 歯ぐきの軽い赤み
- まれに出血することもある
見た目はよく見ると歯ぐきに少し赤みを帯びているといった程度で、この時期は痛みも感じません。
まれに歯ブラシが当たると出血を起こすこともありますが、すぐに止まる程度です。
そもそも歯ぐきに歯ブラシが当たっていないことが原因なので、出血を起こす状態であることに気づかないという人もいるでしょう。
■軽度歯周炎(P2)
歯肉炎に気づかず、歯みがきの改善も無いまま過ごしていると、歯肉炎が進行して歯周炎になります。歯周病の第2段階です。
- 軽く触れただけで出血する
- 軽い違和感
- 歯周ポケットが広がり始める
この頃になると、歯ぐきに軽い刺激(歯ブラシの毛先や食事のときお箸が当たったなど)でも出血することがあります。
まだ激しい痛みを感じるようなことはありません。
時折歯ぐきが浮いたような感じや、歯ぐきにかゆみのようなムズムズ感を感じるという方はいますが、それが歯周病の原因と考える人は少ないようです。
また、炎症で歯周ポケット(歯ぐきのすき間)が3~5㎜程度に広がり、食物やプラークがさらに残りやすくなってしまいます。
歯ブラシの毛先が届かずさらに落としにくくなるため、症状の改善が難しくなる要因でもあります。
■中度歯周炎
歯周ポケットが拡がり、歯周ポケットは4~7㎜とさらに深くなります。歯周病の第3段階です。
- 歯ぐきに痛みを感じるようになる
- 出血量の増加
- 歯の根っこが病気になる
- 口臭が気になりはじめる
歯ぐきの炎症が悪化し、この頃になると痛みも感じるようになることが多いでしょう。
出血だけでなく、炎症が悪化して膿が溜まり、血液と一緒に排膿するようになると、何もしなくても歯ぐきから出血することもあります。
歯周ポケットの奥の方に汚れが残ったままになるため歯周病の原因菌が歯の根っこの方まで侵入してしまい、歯根部分が露出して細菌感染を起こします。根っこが露呈するため知覚過敏になり、さらに強い痛みを起こすこともあるでしょう。
さらに、歯の根っこが病気になると蓄膿や神経の壊死を起こすこともあります。
腐敗臭や膿のの臭いが混じり、口臭の異変を感じる方もいらっしゃいます。
■重度歯周炎
中度の症状がさらに進行すると歯周ポケットはさらに深くなり、6㎜以上になると「重度」と診断されます。歯周病の第4段階です。
- 歯ぐきの腫れがひどくなる
- 歯がグラグラ揺れる→脱落する
- 口臭がきつくなる
歯ぐきがブヨブヨに腫れて出血や排膿がひどくなります。
歯の根っこが細菌感染を起こしたことで、周辺の支えていた顎の骨が溶けてしまいます。
支えを失った歯がだんだん動揺するようになり、最終的には支えきれなくなって脱落してしまうこともあります。
中度で感じていた口臭がさらに悪化し、周りの人から指摘されるという人もいます。
腐敗が進んだり、溜まっていた膿が血液と混じって排膿されることが要因です。
まとめ
歯周病の症状は初期段階では気づかない人も多い病気です。気づいたころには重度の段階まで進行していたという人も多いため「サイレントキラー」といわれています。
今や日本人の8割は歯周病だといわれる時代。症状を知っておけばできるだけ早い段階で対応することができます。
もしも気になる症状があった方は、早めに歯科医院を受診しましょう。