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親知らず抜歯後の口の中が臭い原因と対策:なぜ口臭が起こる?
24.05.06
親知らずを抜歯した後、お口の中が「臭い」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。抜歯後に起こる口腔内の不快な臭いは、親知らずが原因で起こっていることが確かにあります。原因となっていたはずの親知らずを抜歯したにもかかわらず、口臭が気になるという方はこの記事を参考にお読みになられてみてください。記事内で、親知らずが原因で口臭が起こるプロセスや、抜歯後の臭いを予防するための正しいケアなどを解説します。
親知らず抜歯後の臭いの原因
抜歯後に口臭が気になる場合、その臭いの原因は、いくつかの要因によって引き起こされています。例えば以下のようなことが挙げられます。
・傷口の適切なケアが行われていない
・抜歯部位が細菌感染を起こしている
・血餅ができずに凝固不全「ドライソケット」を起こしている
・歯周病に罹患している
などです。
口臭が気になるからといって、何度も歯磨きしたりうがいをしたりする方がいますが、逆に口腔内環境を悪化させてしまい、臭いの原因を増やしてしまうことになることがあります。
抜歯後に口臭を感じたとしても、通常は1〜2週間程度で治るケースがほとんどです。まずは傷口が少しでも早く回復するように、安静に保つことを優先しましょう。あまりにも臭いがきつくて心配な場合や、1〜2週間経ってもなかなか治まらず、より酷くなっているなどお困りの場合は、抜歯を受けた歯科医院に相談しましょう。
親知らず抜歯後に口臭が強くなるケース
親知らずを抜歯したあたりから不快な臭いがしてくる場合、先ほどご紹介したような要因から発症する、以下のようなケースが考えられます。
親知らず抜歯部位に膿が溜まる
抜歯によって生じた傷口(抜歯窩と呼びます)は、血餅(けっぺい)で塞がれることで、約1週間から10日程度で縮小します。この治癒過程で、白血球やリンパ球などの免疫細胞が傷口の修復を助けてくれます。しかしこれらの血液細胞が膿に変わり、強い臭いの原因になることがあります。また、抜歯窩が不衛生になっていると、細菌感染を起こして膿が溜まることもあります。
食物や歯垢が溜まる
抜歯後は歯茎に窪みができてしまいます。また、痛みや不快感もあって、歯磨きもし辛く、食物残渣や歯垢が蓄積しやすくなるため、それらが臭いの原因になってしまうことがあります。抜歯窩が塞がれば解消するため、抜歯後すぐから1週間程度は、適切な口腔内のケアと傷口を刺激しすぎない食事を心がけるなど、食事にも気を配ることをお勧めします。
歯周病に罹患している
親知らずの生え方が斜めや横向きで歯磨きがし辛いと、虫歯や歯周病になりやすくなります。抜歯の要因のひとつでもありますが、特に歯周病に罹患していた場合は、歯周病で歯茎周辺に膿が溜まっていたり、炎症を起こした歯茎に歯垢や歯石が蓄積していることも考えられ、それらが臭いの原因になっていることも考えられます。
親知らず抜歯後の臭いを解消するには
親知らず抜歯後に口臭が気になった時、解消する方法はあるでしょうか。治る過程で起こる一過性のものもありますが、少しでも解消できるように参考にしてみてください。
口腔内を清潔にする
親知らずの抜歯後は抜歯窩が塞がるまでは特に、口腔内を清潔にすることを意識しましょう。傷口を刺激しすぎないように、歯磨きにはしばらく柔らかめの歯ブラシを用いるようにしましょう。
口腔内洗浄液の活用
抗菌性の口腔内洗浄液や、ノンアルコールのマウスウォッシュなどを活用して、お口の中を洗浄するのも効果的です。ただし、血餅ができるのを阻害してしまわないよう、うがいは優しく行うようにしましょう。
親知らずは「抜歯」すべき?
「こんなに抜いた後も嫌な思いをするんだったら、抜歯しなくても良かった」と思う方もいるかもしれません。確かに抜歯しなくても良いケースもありますが、抜歯して臭いがする原因が「歯が横向きもしくは斜めに生えていた」「虫歯や歯周病になってしまっていた」というケースの場合は、抜歯しておいた方が良いと思います。これらが原因で抜歯という診断になった場合、症状が落ち着けば臭いも解消されるでしょう。
親知らずを残すメリットがあれば抜かない
親知らずがまっすぐ生えていて、上下に正しい位置で噛み合っている場合や、歯磨きも行き届く場合には、他の歯と同じように使えているので、無理に抜くようなことはありません。
また、完全に顎の骨の中に埋まっていて、手前の歯を押すなどの悪影響もなさそうであれば、歯列矯正のための抜歯も行われません。中には、将来入れ歯やブリッジになる予定の歯がある場合には、その歯の支台に活用できたり、抜歯部分の移植歯として利用できる場合もあるので温存するケースもあります。
抜歯になるケース
以下のようなケースで親知らずの抜歯が提案されますので参考にしてください。
・部分的に萌出し、隣の歯に当たっている
・横向きや斜めに生えている
・虫歯や歯周病に罹患している
・治療を試みたが腫れや痛みを繰り返している
・歯列矯正など歯並びに影響を及ぼしている(または及ぼす可能性がある)
まとめ
抜歯後の口腔内の臭いは、治る過程で起こる一過性のものもありますが、術後の適切なケアと予防策で軽減することもできます。一番のポイントは、「抜歯後の口腔内を清潔に維持する」ことです。とはいえ、傷口の治りを阻害してしまうほどの歯磨きやうがいは逆効果になるので、傷口を刺激せず清潔にすることを心がけましょう。また、定期的な歯科受診も忘れないようにしましょう。