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親知らず抜歯後に腫れやすい理由と対処法
24.03.24
抜歯後は歯ぐきや頬が腫れることがあります。特に親知らずは、酷く腫れるイメージから仕事や日常生活に支障があるかもしれないという不安もあり、抜歯をためらわれる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、親知らずの抜歯後に「腫れやすくなるケース」をご紹介し、腫れた時の対処法や腫れを極力予防するためにできることなど、詳しくご紹介します。親知らずの抜歯を検討されている方はぜひ参考にお読みください。
親知らずの抜歯が腫れやすい理由は?
親知らずの抜歯後腫れるのは、歯を抜いた後に歯ぐきにできる傷を治すための「炎症反応」です。必ずしも全ての人が大きく腫れるわけではなく個人差があります。親知らずを抜歯した際にできる傷の大きさが大きいほど腫れやすい傾向があります。腫れやすいケースとして、具体例は以下のような理由があります。
炎症反応が大きく腫れてしまう
・歯ぐきの切開を伴う抜歯
親知らずは他の歯と並んでまっすぐ生えているケースが少なく、斜めや横向き、中には歯ぐきの中に埋没したまま横の歯を押しているというケースも多く見られます。そのため、歯ぐきの一部を切開してでないと抜歯できないことも多く、歯ぐきの傷が回復する際に炎症を起こして腫れるというケースは多いです。
・顎の骨の一部を削る処置を伴う抜歯
親知らずの生え方によっては、顎の骨に埋まっているケースも多いため、歯ぐきの切開と同様に、顎の骨を一部削らないと抜歯できない場合があります。歯ぐきの切開はもちろん、顎の骨にもダメージはかかることから、修復時に伴う炎症から腫れを起こしやすくなります。
・抜けるまでに時間がかかった
斜めや横向きに生えている、もしくは埋没しており真横を向いている場合などは、いわゆる「難抜歯」と呼ばれ、スムーズに抜歯ができない症例です。歯冠部を挟む抜歯鉗子(ばっしかんし)で掴みにくい場合には、歯ぐきの中で歯を分割して取り出すこともあり、通常の抜歯よりも時間がかかることもあります。時間がかかれば、それだけ傷口も刺激され、炎症が起こりやすくなります。
このように、「難しい抜歯」であればあるほど、大きく腫れる可能性が高くなる傾向があります。
難抜歯と言われるケース
親知らずの抜歯で「難抜歯」とされている生え方は以下のようなケースが挙げられます。
・下顎の親知らず
・歯ぐきに埋まっている部分が多い
・斜めや横を向いて生えている
・完全に埋没している
・根っこが複雑な形をしている
・顎の骨と癒着してしまっている
・虫歯になっている
抜歯後の腫れの経過
では続いて、抜歯後の腫れの経過について細かく解説します。腫れがどのくらい続くのか分かることで、仕事や日常生活の予定組みもできると思いますので、参考にされてみてください。
親知らず抜歯後の腫れはいつまで続く?
親知らずの腫れの程度は個人差がありますので、腫れがいつまで続くのかはさまざまです。とはいえ、一般的には1週間〜10日程度経過する頃には、ほとんどのケースで腫れは落ち着いています。仕事や日常生活の予定組みをされる際には、抜歯当日から1週間くらいは大切な予定は外しておかれると良いでしょう。逆に、抜歯予定の予約を、動かせない予定がある場合には避けて取ることをお勧めします。
腫れ方の経過について
抜歯後2、3日がピークに腫れる人が多いようです。そこから徐々に減り始め、1週間〜10日頃には落ち着く方が多いようです。抜歯後すぐは出血もあるので、話しにくさや食べづらさを感じたりすることもあります。また、顎関節に近い辺りを触っているので、顎の動かしづらさを感じることもあるようです。痛みを感じる方も多いので、1週間程度は身体を動かす予定(スポーツや旅行など)は入れないようにしておくのが無難です。
腫れた時の対処法
では、親知らず抜歯後に腫れてしまった場合、どのように対処すればよいのか、少しでも症状を和らげるための対処法をご紹介します。
患部を優しく冷やしましょう
炎症が起こっている時、周辺の血管が拡張して腫れを引き起こしています。濡れたタオルや、保冷剤を巻いたタオルを患部側の頬の上に当てて冷やしましょう。保冷剤を直接頬に当てたり、氷を口に含むなどして冷やすのは刺激が強すぎます。冷やしすぎは痛みや腫れを悪化させてしまう可能性があるので、冷やしすぎないようにしましょう。
次の日からは温める方がベター
抜歯後24時間後以降は、逆に患部は「温める」方が良いとされています。痛みや腫れの状態を見つつ、対処を行ってくださいね。
腫れが長引く時は歯科医院へ連絡を!
先ほどもお伝えしましたが、腫れはおおよそ1週間から10日ほどで落ち着きます。しかし腫れている期間が長引いたり、逆に酷くなっているといった心配な症状が続く場合には、感染症を起こしている可能性もありますので、早めに歯科医院に連絡しましょう。
親知らず抜歯後腫れないようにするには
親知らずの抜歯は腫れないようにするのは難しいかもしれませんが、腫れにくくする工夫はできます。そこで、どのような対策が腫れを増長させないことにつながるのかご紹介します。
治療前から心がけておくこと
口腔内を清潔に保つ
口腔内が不衛生な状態だと、抜歯後の傷口が細菌感染し炎症が悪化する可能性があります。そのため抜歯前から日常的に丁寧な歯磨きを心がけ、口腔内を清潔にしておくことを心がけましょう。
・体調を整えておく
体調が悪く免疫力が低下した状態で抜歯を受けると、炎症が悪化しやすくなることが考えられます。疲れやストレスなど溜めている場合も同様です。抜歯日を設定する際には、その日までに体調を整えておきましょう。
禁煙しておく
喫煙習慣のある方は抜歯前から禁煙しておきましょう。タバコの主成分「ニコチン」にの持つ血管収縮作用が働き、傷が治りにくくなることが考えられますので、抜歯前3日から抜歯後3日が理想です。
抜歯後に心がけること
強くうがいしない
抜歯後の傷口には、血の塊「血餅(けっぺい)」ができます。これはかさぶたのような役割をして、傷口を治していくのですが、強いうがいをすることで血餅ができにくくなったり剥がれやすくなったりするため、傷口が塞がり難くなる可能性があります。そのため、腫れが長引いたり悪化したりする可能性があるので、極力うがいを控え、歯磨きの際に行う場合には優しくうがいするようにしましょう。
患部を舌や指で触らない
舌先や指先で患部を触らないようにしましょう。傷口に雑菌が入り炎症を起こす可能性や、血餅を剥がしてしまう可能性があり、腫れを増長させる要因になってしまいます。
歯磨きは優しく
傷口に歯ブラシの毛先が当たってしまうと炎症を増長したり、痛みがひどくなる原因になってしまいます。傷口が塞がるまでは患部を避けて、手前の歯までをしっかり磨くことを意識して磨きましょう。ただ、不衛生にしておくと細菌感染を起こすことも考え、患部以外の歯はしっかり磨いて口腔内を清潔にしておくことは大切です。
血流がよくなる行為を避ける
激しい運動や入浴といった血流がよくなる行為・行動は、傷口からの出血を増長してしまうことがあります。血餅が作られにくくなり、同時に腫れや痛みを起こしやすくなる可能性があります。飲酒も同様です。抜歯後2、3日はアルコールは控えることが望ましいです。
薬をしっかり飲む
抜歯後ほとんどの場合、抗生物質と鎮痛剤が処方されます。腫れや痛みを起こしにくくするためにも、歯科医師の指示通りに用法・容量を守ってしっかり飲むようにしましょう。
抗生物質は腫れや痛みがなくても「飲み切る」ことが大切です。途中で辞めてしまうと、効果が持続せず腫れが起こってしまう可能性もあります。
まとめ
親知らずを抜いた後の腫れについてのご心配は、少しは解消できたでしょうか。今回ご紹介した「難抜歯」とされるケースについて、当てはまる場合は、抜歯前からできること、抜歯後にした方が良いことなどを意識して準備しておきましょう。とはいえ、ご心配なことも多いと思います。抜歯を受ける歯科医院が決まったら、治療を受ける前にご不安なことや治療の流れなどしっかり説明を聞き、十分理解した上で治療を受けましょう。少しでも不安がある場合には、治療前に歯科医院にご相談ください。