歯科コンテンツ
CONTENTS
インプラント埋入手術の症例について 治療適応症例や受けられない症例
22.11.30
インプラント治療は、歯を失ってしまった時の修復方法のひとつですが「どんな症例で行う治療なのかわからない」という方もいらっしゃるかもしれません。中にはお口の状態によって、インプラントを断られたというケースもあるようです。そこで今回は、インプラント埋入手術の症例をいくつかご紹介します。インプラント治療をご検討の方はご自身の症状と合わせて参考にしていただいたり、受診される際の参考にしていただければと思います。
インプラント埋入手術には1回法と2回法がある
インプラントの手術には大きく分けて「1回法」と「2回法」があります。1回法は、歯ぐきを切開する手術が1度の埋入手術で済む方法。2回法は1回目の手術でインプラントを埋入した後歯ぐきを縫合し、その後人工歯を装着するため2回目の切開手術を行う方法です。
インプラントの構造について
一回法と二回法の違いの前に、まずインプラントの構造について知っていただきたいと思います。
インプラントは、顎の骨に埋入される「インプラント体」、インプラント体と人工歯を繋ぐ役割の「アバットメント」、歯ぐきから上の部分を人工歯で補う「上部構造」の3つのパーツで更生されています。中には、インプラント体とアバットメントが一体となったタイプもあります。
1回法
1回法は切開手術を1回だけ行います。
歯ぐきを切開し、顎の骨に小さな穴を開けてインプラント体を埋入します。この時に人工歯との連結部分「アバットメント」(もしくは一体型のインプラント体)も一緒に取り付け、アバットメント上部を歯ぐきの上に露出させたままの状態にします。
このまま顎の骨とインプラント体が結合するまでの期間を置いて、上部構造(人工歯)を装着します。
2回法
2回法はm歯ぐきの切開を伴う外科手術を2回行います。
1回法と同じく、歯ぐきを切開し顎の骨に穴を開け、インプラント体を埋入します。1回目の手術でインプラント体を歯ぐきの下に完全に埋め込み縫合し、顎の骨と結合するまでの期間を置きます。
インプラント体と顎の骨が結合したら、再度歯ぐきを切開して術部を露呈させ、インプラント体にアバットメントを装着します。その状態で歯型を採り、上部構造(人工歯)を作製して、アバットメントに装着する流れです。
インプラント治療でよくある症例
では実際に、インプラント治療ができる症例を、よくある事例を中心にご紹介します。
単純に1本だけの修復から、複数本の修復もありますので、ご自身の状況とあわせて参考にしていただければと思います。
1本だけ失った場合
両側は健康な歯で、1本だけ損失してしまった場合は、単体で治療を行います。
入れ歯やブリッジで修復を行う場合は、両側の健康な歯を削ったり支えを取ったりと負担をかけることになりますが、インプラントは単体での修復治療のため、健康な歯に負担を欠けることなく治療することができます。
連続で複数本失った場合
複数本歯を失って、支えを必要とするブリッジが難しい症例の場合でも、インプラントであれば数福が可能です。連続で損失している部分は、場合によってはすべての支えを必要とせず、部分的に連結した修復物で補うこともできます。特に奥歯は入れ歯になると強く噛みにくくなることもありますが、インプラントであれば人工歯に近い噛み心地を取り戻すことも可能です。
ほとんどの歯(もしくは全部)を失った場合
歯をすべて失い、総入れ歯にするしかないのではとお悩みの方でも、インプラントで治療できることがあります。
骨が健康であることが条件にはなりますが、咬合圧を支えることができるポイント4箇所(もしくは6か所)にインプラントを埋入し、連結して作製された上部構造(人工歯)を固定することで、総入れ歯ではなくインプラントの機能を兼ね備えた修復を行うことができます。
インプラント治療ができない症例とは?
中にはインプラントが受けられないケースもあります。どのような症例の場合、治療が受けられないのでしょうか。よくある事例をご紹介します。
歯周病を発症している
歯ぐきが歯周病を発症している場合には、すぐにはインプラント出来ない場合があります。歯周病は歯ぐきが口腔内常在菌の出す毒素によって炎症を起こした状態をいいます。炎症には段階がありますが、歯ぐきがブヨブヨと腫れて出血や排膿がある状態のままではインプラントの外科手術をお子合うことができません。歯ぐきが健康でないと切開後の縫合も難しいですし、傷口の回復も悪くなります。また、術中に歯周病菌が内部に感染してしまうと、インプラントの結合を妨げる要因になる可能性もあります。
そもそも歯を失った原因が重度の歯周病が原因の方は、口腔内環境が歯周病になりやすい可能性があるので特に注意が必要です。
顎の骨が少ない
インプラントは土台となるインプラント体が顎の骨としっかり結合することが治療成功の大きなカギとなります。ですから、インプラントを埋入するために必要な顎の骨の厚みと密度が必要です。
歯周病ではを失っている、また加齢に伴って骨密度が低い場合には、インプラントを支えられないため、治療できないと診断されることがあります。インプラント埋入手術の前に、増骨や骨移植など顎の骨の手術を行ってからインプラント埋入手術を行うことになるため、治療期間が通常よりも長くなります。
持病があり手術ができない
糖尿病や心臓病など、持病で手術が難しいと診断される場合もあります。
インプラント埋入時には歯ぐきの切開や顎の骨の切削など、出血を伴う処置がありますので、出血が止まりにくかったり、身体に大きな負担がかかると危険と判断された方は治療は難しいでしょう。
また、手術には全身麻酔も必要です。このように、手術に耐えられる健康状態が必要です。
まとめ
インプラント治療は失った歯の修復方法の中では、最も丈夫で見た目も天然歯に近い方法と言われています。しかし、誰でも受けられるというわけではありませんし、失った歯の本数や部位によって治療方法も変わってきます。治療をご希望の際には、まずご自身が適応症例であるかどうかの確認と、どのような装置になるのかなど、十分理解してから治療を検討しましょう。まずはインプラントを行う歯科医院でご相談ください。