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矯正治療を始める前に知ってほしい 歯並びに影響する悪習慣とは?
22.05.30
歯並びが悪くなる原因を「遺伝で」と言われる方がいます。確かに生まれ持った骨格なども関係するかもしれません。しかし実は、お口周辺のクセや生活の悪習慣などを繰り返し行っていることが大きな原因となっているようです。それらは、矯正治療を行うにあたっても大きく関係しています。そこで今回は、矯正治療を受ける際に影響がある「悪習癖・悪習慣」について解説し体と思います。歯並びを悪くしたり、矯正治療に支障をきたすクセや生活習慣とはどんなものでしょうか?
子どもの頃に多い、歯並びに影響与える悪習慣とは?
子どもの頃に多いのが「指しゃぶり」や「爪噛み」「就寝時の歯ぎしり」などが、親御さん方からよくお聞きする代表的なクセです。このようなクセをそのまま長く続けていると、歯並びに悪影響を与えてしまうことがあります。その他の歯並びに影響のあるクセも含め、以下に詳しく解説します。
指しゃぶり
指しゃぶりは、生後2~3カ月ごろから始まることが多いです。目が少しずつ見えるようになり、自分の手を認識すると「何かをお口に運ぶ」という動作のひとつとして行っているので、つかまり立ちが始まる頃から手を使うことが増えるとだんだん減ってくると考えられています。しかし中には、さみしい時や眠たい時など指をしゃぶることで落ち着くことから、指しゃぶりが辞められないお子さんもいます。
指しゃぶりが長く続くと、親指と舌で上あごを押してしまうため、顎が前に突出した「出っ歯」や、上下の歯列に隙間が出来てしまう「開咬」になりやすくなります。
爪噛み
これも精神的な不安などが原因とも言われていますが、日常的に爪を噛んでしまうクセです。お子さんが成長し、意識して噛まないようになれば自然と治るクセですが、長い期間噛み続けると前歯に過度な負担がかかり、歯がすり減ったり根っこが短くなったりすることがあります。また、前歯だけで噛むクセがついてしまい「受け口」を助長する原因にもなってしまいます。
就寝時の歯ぎしり
歯ぎしりの原因はいまだにはっきりとは解明されていませんが、子どもの歯ぎしりの原因のひとつとして考えられているのが、これから生える歯の位置の調整や顎の位置を整えたりするためといわれていますので、成長段階の一時的なものであることが考えられます。しかし、永久歯が生えそろってくる12歳以降も続く場合は、噛み合わせに何らかの要因がある可能性があり、長く続くと顎や周辺の筋肉に過度な負担をかけてしまいます。
口呼吸
人間は自然呼吸をするとき、口を閉じて鼻で息をします。しかし慢性鼻炎やお口の筋肉が弱いため口がポカーンと開いて、日常的に口で息をしているお子さんが増えています。口呼吸をしていると舌や口輪筋などが弱くなってしまいます。本来は口を閉じていることで口唇と舌に押されて歯並びが整いますが、その作用が働きません。また、舌を前に出してしまうクセ(弄舌癖)も助長し、それらが原因で歯並びが悪くなってしまうのです。
姿勢も歯並びに関係するって本当⁉
姿勢と歯並びは一見関係がなさそうに感じますが、実は歯並びが悪くなる原因として「姿勢」も大きく関係しています。歯並びは「並び」だけがよければ良いというものではありません。上顎と下顎の歯が咬み合うべき正しい位置で噛んでいないと不具合の原因になるのです。姿勢に影響を与えてしまう悪習慣をいくつかご紹介します。
頬杖をつく
頬杖をついてテレビを見たり、本を読んだりする人がいます。クセでいつも同じ方向に手を置いて頬杖をつくことで、片側の顎が慢性的に押されているため、顎の歪みにつながります。顎が歪めば、そこに並ぶ歯もおのずとズレてしまうので、歯並びがわるくなってしまいます。
カバンを同じ方向に斜め掛けをする
中高生に多いのですが、学生カバンや部活のカバンなどを同じ方向に斜め掛けしたり、片側の肩にかけていると、いつも同じ方側に大きな負荷がかかっています。頚椎、肩、背骨、腰などが歪むことで、顎の歪みにもつながることから、顎が歪んで歯並びも悪くなってしまいます。
口呼吸が姿勢にも悪い影響を及ぼす
歯並びや舌・口輪筋などの成長に悪影響を及ぼすとお話した口呼吸ですが、実は姿勢にも大きく関わっています。口呼吸がクセになると、楽に呼吸するために肩を前に出し、猫背の姿勢を取りやすくなります。姿勢が悪いと顎の歪みから歯並びが悪くなりますし、口呼吸も歯並びが悪くなる原因の一つでもあるので悪循環を起こしてしまいます。
悪習慣は歯列矯正にも影響を及ぼします
歯並びを悪くする原因となってしまう悪習慣を改善のないまま歯列矯正をおこなってしまうとどうなるでしょうか?せっかく歯を正しい位置に整えようと装置で力を加えても、悪習慣が勝ってしまい歯が思ったように動かない場合があります。
例えば、舌癖があると、装置で動かしたい方向と逆に舌圧が働いてしまいますし、頬杖や肩掛けカバンのように外からの強い力による歪みは、装置で動かしたくても力で負けてしまいます。ですから、矯正治療を行う際には、もしも思い当たる悪習慣やクセがある場合には、その改善も行う必要があるのです。そして、歯列矯正をされたとしても、悪習慣やクセがそのままの方は、その影響で再度同じように歯が動いたり顎が歪んで「後戻り」を起こしてしまう可能性もあります。
口腔筋機能療法(MFT)の活用
MFT(口腔筋機能療法)とは、歯列(歯並び)の関係する口腔周辺の筋肉の機能を改善・育成を行う訓練です。矯正治療を行いながら、同時に舌や口唇、口腔周囲筋を本来働くべき機能が正しく使えるようにすることで、矯正治療がスムーズに行えるようになります。
また、乳歯の時期のお子さんであれば、口腔機能が正しく成長することによって、矯正装置を使わなくても正しい位置に歯並びが整う可能性もあるため、小児矯正Ⅰ期治療ではよく用いられるトレーニングです。
まとめ
悪習慣やクセは長く継続して行ってしまうと、歯並びが悪くなる要因になってしまい、虫歯や歯周病のリスクもあがり、身体の不調まで引き起こしてしまうかもしれません。また、せっかく始めた歯列矯正も、悪習慣が原因で思ったように進まない、終わった後で後戻りしてしまうといったトラブルも起こしてしまうかもしれません。
歯並びに影響のある悪習慣は気づいたら早めに辞められるようにしていきましょう。また、歯列矯正を始める際には治療がスムーズに行えるようにMFTを受けたり、生活習慣の改善に取り組むことをおすすめします。