矯正 お悩み

矯正治療期間中は虫歯になりやすいの?

21.07.28

歯並びが悪いと歯みがきが行き届かないことも多く、虫歯や歯周病のリスクは高くなってしまいます。
歯列矯正は見た目が整うだけでなく、歯みがきがしやすくなるので虫歯や歯周病予防にもなり、健康な歯を維持するためにもお勧めの治療です。
とはいえ、1~2年、保定期間を入れると約3年程度お口に装置を入れることになるため、逆に虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうこともあります。
今回は、矯正治療期間中に心配のお声も多い「矯正治療と虫歯」について詳しくお話したいと思います。
矯正治療をお考えの方はぜひ治療開始前に参考にしていただきたいと思います。

矯正治療期間中は虫歯になりやすいのか

虫歯は、お口の中に常在する細菌が出す「酸」によって歯が溶けた状態です。
歯並びに凹凸や重なりがあると歯ブラシが届かず、歯垢汚れが残りやすくなります。
歯垢の中には虫歯の原因菌がたくさん常在しており、飲食物の糖分をエサにします。
分解する際に出す酸が歯面を脱灰させ、だんだん穴が大きくなっていきます。
ということは、歯垢汚れが長期的に残っていればいるほど、虫歯になりやすくなるということです。

装置によって違う虫歯のリスク

矯正治療と一口に言っても、今はその方法も増えています。装置によって虫歯のリスクも違いますの
で治療法を選択する際の参考にもなります。ここでは装置ごとのなりやすさや注意点などをご消化します。

  1. 表側のブラケットワイヤー矯正
  2. 矯正治療の先駆けとなった、最もポピュラーな矯正治療です。1本1本の歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を取り付け、装置をワイヤーで連結し、動かしたい方向に圧力をかけて動かします。
    装置は一度取り付けたら、歯並びが整うまで1~2年程度付けたままです。
    ブラケットがワイヤーを固定するために凸凹した形をしていることと、連結されるワイヤーが邪魔をして、歯の表面に毛先が届きにくくなります。
    歯は裏側よりも表面のほうが汚れが付きやすいため、余計に歯垢汚れが付きやすくなってしまい、矯正治療期間中に虫歯が多発してしまう例もあるので注意が必要です。

    <注意点>
    ・矯正治療中は日々歯並びに変化が起こるため、定期的に歯科衛生士から歯みがきのアドバイスを受
    けて歯みがきの仕方を工夫しましょう。歯ブラシも通常のものでは届きにくいので、隙間を磨く「ワ
    ンタフトブラシ」などを併用するなどの補助具が必要になります。
    ・ワイヤーに麺類や繊維質の食材が絡まりやすくなります。また、アメやガム、餅などがくっつくと
    取れなくなったり、無理に剥がそうとして装置が壊れることもあるので、食事にも注意が必要です。

  3. 裏側のブラケットワイヤー矯正
  4. 表側のブラケットワイヤー矯正と歯を動かすメカニズムは同じですが、装置が歯の裏側に付いています。
    歯の表面は矯正治療前と同じように歯みがきできるため、歯並びが整ってくると磨きやすくなります。
    歯の裏側には装置が付いているので、表側矯正同様に磨きにくさはありますが、歯列の内側は唾液に満たされていることで、自浄作用という洗浄効果や殺菌作用などが働いて虫歯のリスクは表側に比べると低くなります。
    <注意点>
    ・歯の裏はそもそも磨きにくいので、歯垢は付きやすいです。装置が邪魔して磨きにくくなるので、表側矯正同様、定期的に歯科衛生士から磨き方のチェックを受けましょう。
    また、同じくワンタフトブラシや歯間ブラシなども併用することをおすすめします。
    ・裏側矯正の場合も食事に注意は必要です。絡みやすいもの、くっつきやすいものは控えるようにしましょう。

  5. マウスピース矯正
  6. 動かしたい歯に圧力がかかるように設計されたマウスピースを定期的に交換していくことで、歯並びを整えていく方法です。
    薄く透明な素材でできているため、矯正治療中であることが分かりにくく、今人気の矯正治療法となってきています。
    ブラケットワイヤー法と違い可撤式の装置なので、ご自身で取り外すことができます。
    お手軽ではありますが、逆にお口の中が不衛生のまま付けていると虫歯のリスクは高くなるため、装置もお口の中も常に清潔に保つことが大切です。
    また、外している時間が長いと思ったように歯が動かないため、自己管理力に自身の無い方にはあまりお勧めできません。
    <注意点>
    ・装置は歯科用プラスチックを使った柔軟性のあるマウスピースです。使っていると、透明できれいに見えても表面に細かい傷ができてしまい、細菌が繁殖しやすくなります。マウスピースは毎日洗浄して清潔にしましょう。
    ・お口の中が不衛生なままマウスピースを装着すると、歯全体が覆われたままになるので細菌が繁殖しやすくなります。
    食後はお口に戻す前に、必ず歯みがきが必要になります。

    矯正治療中に虫歯が見つかったら?

    矯正歯科では、治療に入る前に必ずお口の中の精査もおこないます。
    その際に虫歯や歯周病が見つかった場合、先に治療をしてから矯正治療に入ります。虫歯があるのに矯正治療をしてしまうと、症状の悪化にもつながりますし、ブラケットワイヤー法は特に治療がしにくくなるためです。

    1. 矯正専門医院の場合は一般歯科で治療が必要
    2. 矯正治療を専門で行っている医院は、知識や技術は高度な治療が受けられますが、もしも虫歯が見つかった場合の一般的な治療は行っていない医院がほとんどです。
      そのため、治療前に別の一般歯科で虫歯治療が必要になったり、矯正治療中同時期に虫歯治療では別の医院に通院が必要となることもあります。

    3. 一般歯科併設医院は虫歯治療が可能なことも…
    4. 虫歯治療や歯周病治療などを行っている一般的な歯科医院で矯正治療も行っている医院の場合は、同じ医院で虫歯治療も矯正治療も受けられるというメリットがあります。
      矯正治療をお考えの方で、虫歯や歯周病の心配もある方は、併設医院を選ばれるのもよいでしょう。
      ただし、併設医院の場合は、どれくらい矯正治療に力をいれているか、医院によって差があります。
      常時矯正医がおらず、毎月決まった曜日に矯正専門医師が通っているという医院もありますので、治療開始前に確認しておくことをおすすめします。

      まとめ

      矯正治療中はどのような装置であっても虫歯のリスクは高くなります。
      矯正治療終了後に「装置が外れたら虫歯だらけだった」といった事態にならないためにも、日頃からお口の中を清潔に保つことは勿論ですが、できれば矯正治療開始前に虫歯や歯周病の無い状態で開始されるよう、コンディションを整えておきましょう。
      矯正を行う医院を選択する際には、虫歯治療も受けられる医院を選ぶのが良い気もしますが、医院によっては矯正治療に通いにくい条件となってしまう場合もありますので、専門医院か併設医院か、ご自身のライフスタイルに合わせてじっくり検討してください。

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