インプラント お悩み

インプラント治療と金属アレルギーの関係性を知っておきましょう

21.07.28

インプラント治療と言えば、金属を顎の骨の中に埋め込む手術が必要となるため、中には「金属アレルギーは大丈夫?」とご心配になる方もいらっしゃるかもしれません。インプラントは身体にとても優しく安全な装置であり安心して治療を受けていただける修復方法です。
しかし、絶対にアレルギーを起こさないとも言い切ることは難しいのが実情です。
では金属アレルギーが心配な方はインプラントを受けることができないのでしょうか?
今回はインプラント治療とアレルギーとの関係について詳しくご紹介します。

金属アレルギーの人でもインプラント治療を受けられる?

インプラントの土台として顎骨内に埋め込まれるインプラント体は金属でできているため、金属アレルギーの人は治療が受けられないのでは無いかと思われるのでしょう。インプラント体には「チタン」という金属が使われており、ペースメーカーや人工関節などにも用いられる、身体に親和性の高い素材です。
ひとくちに「金属」といってもさまざまな種類があり、アレルギーを引き起こす可能性の少ない素材を用いています。
ですから、金属アレルギーがある方でも、基本的に問題なくインプラント治療を受けていただけると思っていただいてよいでしょう。

可能性は「ゼロ」ではありません

ただし、絶対にインプラントは金属アレルギーを起こさないとは言い切れない部分もあります。
なぜなら、100%純チタンでインプラント体を作ることが難しいからです。
インプラントを開発・販売しているメーカーは数多くあります。個々によって純度も違いますし、安価なインプラントの中には混合のものもあります。
仮に純チタンのインプラント体であっても混合物がゼロというのは難しいので、そのわずかな金属に反応してしまえば、アレルギー反応を起こさないとも限りませんので注意が必要です。

純度の高いチタンのインプラント治療を受けましょう!

どんな治療にも100%は難しいものです。確かに金属アレルギーは起こしたくない症状ですが、だからといって他の修復方法である入れ歯やブリッジにしても金属が用いられることがほとんどです。
インプラントは喪失歯の修復方法の中でも、審美性・機能性共に天然歯に近いといわれている装置であり、用いられる素材も、他の装置よりもアレルギーを起こしにくい金属を使います。
インプラントによってチタンの純度に違いがある場合もあるため、どのメーカーのものを使っているのかなど、かかりつけの歯科医院に確認してみるのもよいでしょう。
できるだけ純度の高いチタンを使っているインプラントの治療を受けることがその後の安心感につながります。

金属アレルギーとは

「接触皮膚炎」ともいわれる金属アレルギーで、よくあるのは身につけていたネックレスの付近の首元が赤くなったり痒くなったりしてしまうとった症状です。
金属が汗や唾液などの影響で溶出し、接触した皮膚に含まれているタンパク質に反応して起こります。
歯科で起こりやすいのは、虫歯治療などで修復物に使われる銀製のインレーやクラウンの経年劣化によるイオン化で、金属が溶けだすことによって起こすアレルギーです。今まで金属アレルギーでなかった人も、イオンの溶出などを引き金にアレルギーを発症してしまう例もあるので注意が必要です。

どんな金属がアレルギーを起こしやすいのか

金属もさまざまな種類があり、アレルギーを起こしやすいものとそうでないものがあります。

①ニッケル
最も金属アレルギーを起こしやすいといわれている金属です。食器やアクセサリーなど、日常よく使
うものに使用されています。
②コバルト
代表的なものとしてはリチウムイオン電池の材料として有名で、歯科で入れ歯などに用いられるもの
があります。
③水銀
公害病の原因としてもよく耳にする金属なので有名ですが、体温計や電池、蛍光ランプなどに今でも
使用されているものがあります。2020年から水銀を使用する商品の製造や輸出が禁止となるため、
歯科で用いられるようなことは一切ありません。

インプラント治療で金属アレルギー発症のリスクはあるのか

インプラントの土台に使われる素材には、主に「チタン」が使われており、金属アレルギーは出にくいといわれています。
とはいえ、前述したように、チタンに混じっている微量の化合物である金属に反応し、金属アレルギーを発症したという報告もあるため、アレルギーは起こさないとは言い切れないのです。
とはいっても、チタンは表面が強力な酸化物でおおわれており、耐食性に優れ非常に安定しています。
ですから、金属のではアレルギー発症リスクは低い素材といえるでしょう。

もしもインプラント治療で金属アレルギーが起こったら

万が一金属アレルギーの症状が出てしまい、その症状が著しく、原因がインプラントにあると特定された場合には、残念ですがインプラントを撤去しなければなりません。
<症状の例>
赤い腫れ、痛み、白い線条、手足に小さな丘疹、かゆみ

治療開始前に「パッチテスト」を受けるのもおすすめ

もしもインプラント治療前に金属アレルギーを持っていないか不安な方は、パッチテストを行うこともおすすめです。
パッチテストは皮膚科で受けることができます。
歯科材料でよく用いられる金属(チタン、パラジウム、ニッケル、第二水銀)のアレルギーを確認してもらいましょう。

まとめ

金属アレルギーに関わらず、どんなアレルギーでも一度起こしてしまうとずっとその原因物質を除去する生活を強いられるため、できる限りリスクは避けたいと思います。
インプラント治療で金属アレルギーを発症することは限りなくゼロに近いといえますが、100%安全とも言い切れないため事前に
知識を持っておくことは大切です。
使われているインプラントの素材や、パッチテストを受けておくなど事前にチェックをおこなうことをおすすめします。

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